『私のおっとり旦那』シリーズ著者・木崎アオコさんに聞く“正反対な夫婦”の良さ「共通点の多さより、違いを認め合える人を選んでよかった!」
正反対な性格の夫婦が織りなすほのぼのした日常が共感を呼び、Twitterやpixivを中心に大人気となった『私のおっとり旦那』シリーズ。
「共通点が多い人や、自分と似た人でなければ、結婚生活はうまくいかないのでは?」
「性格や価値観がまるで違う人を、ずっと愛し続けるのは難しいのでは?」
そう考えている女性は多いかもしれないが、木崎さんと“おっとり旦那”さんの暮らしを見ていると、「そんなことはない」とはっきり気付かされる。
自分とはまるで正反対の夫が好きで仕方ないという木崎さんに、夫への愛と夫婦生活の中で得た気付きについて語ってもらった。
本能が「この人じゃなきゃ」と囁いた!?「同棲は私から強く説き伏せました」
--“おっとり旦那”さんとの出会いについて教えてください。
出会いは共通の友達が主催した飲み会でした。
夫は、そこに集まっていた人の中でもずば抜けて大柄だったのですが、とても穏やかそうだったんです。
思い切って私から話し掛けてみたら気が合って、二人で盛り上がってしまって。その後、メールのやり取りを経てデートを重ね、お付き合いするようになりました。
--それまでお付き合いした方とは全然違った?
そうですね。後にも先にも、彼氏にこんなに入れ込んだのは夫が初めてでした。本能的に、「この人じゃなきゃ」っていうのが働いたような気がします!
交際中に「同棲したい」と持ち掛けたのも、私からでした。私は思い立ったらすぐ行動するタイプで、夫は何でも慎重に様子見から始めるタイプなんですが、強く説き伏せて「うん」と言わせたんですよ(笑)
--結婚されたのは、3年前ですよね。
はい。付き合ってすぐ同棲を始めたし、私は早く結婚がしたくて結構急かしてたんですが、慎重派の夫にはだいぶ待たされました。
そんな中、一泊二日の旅行に誘われたので、「これはプロポーズ来るぞ!」と期待してたんですよ。でも、一日目に何もなかったので「ああ、これはただの旅行だったか」と落胆した二日目の夜……、ついにプロポーズされて、すごくビックリして。めちゃめちゃ嬉しかったのを覚えています。
詳しくは書籍の方に描かせていただいたので、ぜひご覧ください(照)!
夫婦のカタチに正解はなし。私たちの夫婦生活も「こんな二人もいるんだ」と楽しんでほしい
--自分と合うのは、自分と似た相手だと思ってしまう人も多いような気がしますが、性格が正反対ということに不安はありませんでしたか?
私が彼と結婚したいと思ったのは、性格が正反対なところも含め、彼のことが大好きだったから。純粋に大好きっていう気持ちがあったので、不安はありませんでした。
あと、私の友達が、「夫婦やカップルにとって大事なのは趣味や考えが同じことではなく、趣味や考えをお互いに否定しないこと」だと前に言っていたんですよ。まさにその通りだなと思って。
相手の趣味や性格を尊重さえしていれば、いろいろなことが正反対でも何も問題はない。むしろ、その方が新しい発見がいっぱいあって毎日が楽しいし、穏やかでいられるのではないかと感じますね。
--結婚生活3年目、“おっとり旦那”さんの好きなところは、改めてどんなところですか?
やっぱり「おっとりさ」が絶妙なところはたまらなく好きですね。ただ穏やかなだけじゃなくて、発言や佇まいが、ずっと私のツボなんです。
書籍にも描いていますが、本人は自分を「おしとやか」って表現するんですよ……(笑)。些細なことなんですけど、そういう彼らしいワードチョイスにいちいち笑ってしまうんです。
--それが実際に漫画にもなっているわけですしね(笑)!
はい。彼がポロリと発する言葉のセンスが好きで、ひっそり語録を取っていて。それがたまったので漫画にして、ネットのエッセイコンテストに投稿したんです。
コンテストで賞は受賞できなかったけれど、ありがたいことにたくさんの方から反響がありました。そこから、出版までこぎつけることができて。
書籍化にあたって気を付けたのは、「啓蒙的なエッセイにはしない」ということ。私たちは決して理想的な夫婦っていうわけじゃないし、「これが正解」みたいな夫婦の型を押し付けるつもりも全くないので。
現在に至るまでの私たちの体験を、エンタメとして笑って楽しんでいただけたらという思いで描いていますね。
--読者の方からの反応で、嬉しかったことや、意外だったものはありますか?
私たち夫婦の間で起こったことを、「分かる」って共感していただけたときは、やっぱり嬉しいですね。
最近はTwitterなどでもコメントが増えていますし、読者の皆さんとの距離をより近く感じるようになりました。いただいたお手紙も大事に保管し、たまに読み返しては癒されています。
また、男性読者の方から「こんな夫・彼氏になりたい」という言葉を数多くいただけたのは、嬉しい驚きでした!
夫婦二人で上手に甘やかし合うのが理想
--“おっとり旦那”さんとのエピソードはたくさん漫画でも紹介されていますが、特にお気に入りの回を教えてください。
では、2つ紹介させてください。
まずは、『私のおっとり旦那』に掲載した、「私のおっとり旦那との大喧嘩」を。
大喧嘩からの家出の中で、心の整理をつけながら「夫婦のあり方」に対する気付きを得ていくエピソードです。私にとっては非常に大事な経験になりましたし、読者の皆さんからの反響も大きかったです。
次は、『私のおっとり旦那〜はじまる凸凹夫婦生活〜』から「私のおっとり旦那との結婚生活②」です。
続刊となるこちらはサブタイトル通り夫婦生活に焦点をおいたエッセイなんですが、共同生活の難しさに関する我が家なりの答えを描きました。夫婦である以上、一生ものの課題だと思っています。
--ありがとうございます。では、最後に夫婦生活を長続きさせるために大事だと思うことをお教えいただけますか?
「甘やかし過ぎないこと」ですかね。
--というと?
私は世話焼きな性格なので、彼の身の回りのことまでせっせとこなしていたんですよ。そうしたら、いつの間にか旦那は家で何もしない人になってしまい、家事の面で私の負担が大きくなってしまいました……。
一方が甘えて一方が甘やかすのではなく、夫婦で上手な「甘やかし合い」が自然とできていたら、それが一番幸せなことなんじゃないかと思いますね。
お互いに主張をぶつけ合うだけじゃなくて、寄り添ったり、歩み寄ったりしながら、お互いが思う“理想的な関係性”を2人で築いていけたら、とっても素敵なことですよね!
取材・文/栗原千明(編集部) (c)Aoko Kizaki/SQUARE ENIX
【Information】
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