“代打女優”になって初めて感じた「死ぬほど頑張ること」の大切さ【今月のAnother Action Starter vol.10 女優・鈴木蘭々さん】


モヤモヤしながら打ち込んだ仕事の数々
その積み重ねが引き寄せた運命の転機
舞台初日まで、実質10日間しかなかった練習期間。決して十分とは言えない時間の中、想像力をフル回転させて、自分に求められていること、自分ができることを手探りし、カタチにしていった。
そして迎えた東京公演の千秋楽。主演として最後の歌を歌い終わったとき、蘭々さんは涙を流している自分に驚いた。それまで舞台の上で泣いたことなどなかったのに、あふれる涙が止まらなかったのだ。
「理性を超えた感情が湧いてくるという感じでしたね。もしかしたら、自分が思う以上に辛かったのかもしれません。でも、涙を流しながら、何とも言えない充実感が満ちてきたんです。『舞台って面白い! 私がやりたかったのはこれだ!』と思った瞬間でした」
彼女はこの転機を、「運命が導いたもの」だと表現する。
「自分でコントロールしたものじゃないから、やっぱりこれは運命なんだと思います。モヤモヤとわたしを悩ます時期もあれば、その後の転機も与えてくれるんですから、運命って不思議なパワーを持っていますよね」
それ以前の仕事でも、ミュージカルや演劇などさまざまな舞台で場数を踏んできた。しかし、本格的に声楽や演技を学んでいる歌手や劇団員に囲まれて、どこか自信を持てずにいたという。自分はダメなんじゃないかという勝手な思い込みが、蘭々さんを萎縮させていた。
けれど、モヤモヤしながらも仕事をより好みせず、「この仕事をしたら何かが見えるのではないか?」1つ1つの仕事に丁寧に取り組んできたことが、この転機をつかむきっかけにつながった。
「この舞台を終えたそのとき、『頑張ることは素晴らしい!』と、初めて素直に感じることができたんです。まるで小学生みたいな感想ですけれど、この気持ちを忘れずに、これから先もずっと頑張っていくんだと決心することができました」
芸能人じゃない友人を見て気付く
年齢相応の立ち居振る舞い

その後もさまざまな舞台に挑戦してきた蘭々さん。2013年6月には、最近注目が集まっている新進気鋭のミュージカル劇団『三ツ星キッチン』の舞台『Tomorrow』に主演する。今回演じるのは、実年齢に近い等身大の女性だ。
「逆にそれが難しいんですよね。高校生の頃から芸能界にいるので、一般の仕事をしている普通の人が感じる苦労や、歩んできた道に思いを馳せることなんて、普段はほとんどありませんから。役作りについてはちょっと心配でもあるんですよね」
けれど、蘭々さんの友人は、仕事とは関係のない一般の人たちがほとんどなのだとか。そんな友人たちから学ぶことも多い。
「話を聞いていると、いつの間にか同年代の友だちは、上司に相談する側から、部下に相談される側になっているんですよね。これって、すごいことだと思うんです。わたしたち芸能界に生きる人間は、主任とか課長といった肩書がないからか、いつまでも若いままで時が止まっているような錯覚を起こしがちなんですよ。だから友だちから刺激を受けて、自分の立場に照らし合わせては、『こういうことしちゃいけない年齢かな』と日々反省してます(笑)」
逆に言えば、「もう『知らない』とか『できない』とか言っちゃいけない年齢」という認識を持っているということ。仕事をする上で、自分を俯瞰して眺めたときに他者を意識できるようになったことを「大人になって丸くなった」と笑う。
そんな彼女の次のステップは、鈴木蘭々作・企画で舞台をプロデュースすること。
「予定は10月なんですが、これまでいろんな人に支えられて舞台に乗っかっていたんだなって、もう既に気付きましたね。感謝の気持ちでいっぱいです(笑)。舞台の裏方を経験することにより、さらに演技に深みが出てくればいいなと思ってます」
その笑顔に、モヤモヤと仕事に迷っていたという面影はない。
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