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DEC/2019

年収交渉ってどうやるの?転職のプロに学ぶ“適正年収”を知るための4つの方法【#キャリアアドバイザーの本音 えさきまりな】

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特集:わたしの値段
先進国の中で最も男女平等から遠い国、日本。男女間で大きな収入格差があることがジェンダーギャップを広げています。がつがつ稼いで大金持ちになりたいなんて思わないけれど、然るべき収入が「女性だから」という理由でもらえていないとしたら……?そんなのって変じゃない!? 女性とお金にまつわる問題を、識者への取材やデータ分析から本特集では考えていきます。


転職をするときに、どうしても無視できないのが年収。せっかく転職をするのなら、多少なりとも年収は上げたい。少なくとも、今より下げたくはない……!

でも、年収の交渉ってどうやってやればいい?
希望年収ってどうやって決めればいいの??
ていうか、そもそも私の適正年収っていくら???

そんな「年収交渉」にまつわる疑問を「キャリアアドバイザーの本音」をSNSで発信する人気キャリアアドバイザーの江崎麻里奈さん(@MarinaEsaki)に聞いてみた。

なぜ年収を交渉する必要があるのか、自分の適正年収はどうやって調べればいいのか。まず前編では「年収交渉をするための事前準備」について見ていこう。

えさきまりな
株式会社キャリアデザインセンター
キャリアアドバイザー 
江﨑麻里奈(えさきまりな)さん

短大卒業後、大手自動会社の事務職やエステティックサロンでのカウンセラーや店長を経験。2016年、株式会社キャリアデザインセンター入社。キャリアアドバイザーとして、現場のみならずオンラインでも活動の場を広げ、「キャリアアドバイザーの本音」と題したTwitterアカウントが好評
Twitter:@MarinaEsaki

>>「年収交渉ってどうやるの?」後編記事もあわせて読む

年収交渉しないと「サイレントクレーマー」になりかねない?

−−今日のテーマは「年収交渉」です。年収の交渉ってどうしても気が引けてしまうのですが、苦手意識を持っている人は多いのでしょうか?

そうですね。特に女性は苦手な人が多い印象です。第三者であるキャリアアドバイザーに依頼することはあっても、直接企業に年収交渉を切り出す方はあまりいない印象です。

そもそも「企業と対象に交渉する権利がある」と思っていない女性が多いんです。まずはその認識を持っていただきたいなっていうのは、常日頃から思っていることですね。

−−交渉の権利があると分かっても、自分で希望の年収を伝えるのは躊躇してしまいそうです。こういうふうに感じてしまうのはなぜなんでしょう?

「お金の話をするのは品がない」という意識があるのかもしれませんね。あとは「奥ゆかしさが美徳」という価値観の中で育てられた女性も多いはずです。

ただ、内定後に提示された年収に不満があっても遠慮して口にせず我慢して入社した結果、「どうしてこれしかもらえないの?」と後から不満が爆発してしまうケースはよくあります。

ただ、これってもはやサイレントクレーマーなんですよね。転職後の年収が低いのは、会社や業界による差はもちろんありますが、自分が入社前に交渉しなかったことも大きな要因といえます。それなのに、後から不満や文句を言うのはお互い幸せではありません。

−−我慢した結果、サイレントクレーマーになってしまう……?

面と向かって相手に異を唱えるのが苦手な方は多いと思いますが、言うべきことをきちんと伝える努力も必要です。

転職に限らず、「上司に昇進したいと伝える」「パートナーとの家事分担に不満があるなら交渉する」といった自己主張を言語化することを普段から意識してほしいですね。

自分の適正年収を知るための4つの方法

−−そもそも、年収交渉をする以前に「いくらが自分にとって妥当な年収なのか」が分からない人も多いのではないでしょうか。

そう思います。「自分の頑張りに対して年収が見合っているのか」を考えている方は多いものの、女性はコスト感覚を言語化するのが苦手な傾向にあります。

なぜかというと、男性と比べて女性は具体的な収入の話をする機会が少ないんですよ。お金について語ることがあまり良しとされていない風潮があるし、女性の場合はライフステージの変化が大きい分、同い年でも専業主婦や一般職、総合職といった役割の差によって収入差も広がってしまいます。だから、友達同士で年収の話がしにくいんじゃないかと思います。

−−確かに、社外の友達がいくら稼いでいるか、そういえば知りません……。

身近な人から情報収集がしにくいので、結果的に「自社の同僚や先輩・後輩がいくらもらっているか」という、すごく狭い世界の中で年収相場を判断してしまいがちです。ただ会社内の相場って、世間の相場とは違うこともあるので要注意。

私自身、新卒の頃たまたま見た雑誌に「30代女性、年収500万円」みたいな内容が書いてあって、愕然としたことがありました。

当時は事務の仕事をしていたんですけど、初任給の手取りが13万円、年収が240万円ぐらいで。「この会社でそんなに稼ぐのは絶対に無理だ」と悟ったことが、最初の転職のきっかけになりました。

−−社外に目を向けることが自分の年収に疑問を持つ一歩になる、と。そこから自分の適正な年収を判断する方法はありますか?

インターネットで調べる」「友人に聞く」「人材紹介会社のデータベースを活用する」「面接で聞く」の大きく4つの方法があります。

1つ目の「インターネットで調べる」場合は、『OpenWork』などの社員の口コミサイト、あとは求人サイトで「経験者採用」の求人をチェックするのもオススメです。自分の現在の仕事と同じ条件を選んで、『未経験歓迎の求人』を除外して求人を検索することで、「自分と同じ仕事」の年収相場が見えてきます。

もちろん年齢や経験によって適正年収は異なるので、その相場がそのまま自分の適正年収というわけではないのですが、一つの目安にはなりますね。

−−なるほど。2つ目の「友人に聞く」はいかがでしょう?

同じくらいの年収をもらっているであろう友達に、率直に聞いてしまいましょう。

お金の話はタブーっていう暗黙の了解がありますが、もうちょっとオープンにしていいと思うんですよ。私、結構露骨に年収を聞いちゃうんですけど、案外前向きな反応が返ってきますよ。

−−たしかに、普段話しにくいからこそ誰かが切り出してくれたらありがたいかも……! では、3つ目の「人材紹介会社のデータベースを活用する」というのは?

人材紹介会社が持っているデータってすごいんです。職種や年齢別の年収はもちろん、いろいろな条件の掛け合わせで調べることができます。

例えば、「自分と同年代で同じような経験がある人の入社時の年収」と「その会社に勤めていた人が人材紹介サービスに登録した時点の年収」を比較すれば、「その会社にどの程度の年収の上げ幅があるのか」をチェックすることも可能です。

そうやって多角的に年収について調べていくことで、自社の昇給スピードや上げ幅が妥当なのかといったことも見えてくると思います。

−−求人サイトで調べた年収よりも、よりリアルな年収が見えてきそうですね。

そうやっておおよその適正年収を把握した上で試していただきたいのが、「面接で聞く」です。実際に転職活動を始めてから、面接の場で「私と同年代の経験者の場合、給与はだいたいどのくらいですか?」と聞いてみてください。

−−そんなこと聞いちゃっていいんでしょうか……?

聞いてしまって全然大丈夫です! 不安に感じる気持ちも分かりますが、むしろその質問をしないことの方が不安ですよ。

面接で提示する希望年収は「現在の年収+50~100万円」が目安

−−自分の適正年収を把握して、そこから「希望年収」はどうやって決めたらいいですか?

えさきまりな

正解があるものではないですが、今の年収と年収相場に大きな差がない場合は、「現在の年収+50~100万円」を目安にするのがいいと思います。

それ以上を希望する場合は、必ず実績を出せるという明確な根拠が求められますし、「希望年収が高過ぎる」という理由で不採用になってしまう可能性もあるので。

−−仮に現在の年収が400万円で年収相場が450万円前後だとしたら、「希望年収450万円」みたいな感じですか?

そうですね。そのくらいであれば交渉の余地はあると思います。ただ、もちろん各社の事情によっては希望年収が通らないこともありますから、絶対に譲れない金額を決めて、年収の上げ幅にはバッファを持っておくことが重要です。

−−逆に、今の年収が相場に比べて高過ぎるケースもありますよね?

はい。銀行や老舗メーカー、大手企業で働いている方に多いですね。また、最近は銀行や大手の先行き不安から別業界にキャリアチェンジを希望される方が多くいるのですが、その場合はどうしても年収は下がります。

そもそも転職には「同業界×同職種」「異業界×同職種」「同業界×異職種」「異業界×異職種」の4パターンがあって、それによって年収が上がるか下がるか、ある程度決まります。

一番年収アップしやいのは、言うまでもなく「同業界×同職種」の転職です。続いて、「異業界×同職種」→「同業界×異職種」→「異業界×異職種」の順に年収ダウンの可能性は増していく。そこも踏まえた上で希望年収を設定できるといいですね。

現在の年収が高過ぎると「うちの会社には合わない」と判断されて不通過になってしまう可能性もあるので、「本当は今の年収をいただきたいですけど、最終的にはお任せします」と伝えておくと安心です。

−−転職後の年収が全てではありませんしね。

そうなんです。仕事内容にもよりますが、新卒で入った会社が老舗の大手企業であればあるほど、転職市場と会社内での評価が食い違う可能性が高いです。まずは自分の適正年収を把握した上で、初年度の年収と生涯年収を分けて考えていただきたいと思います。

また、今の会社で不安を抱えながら目先の収入を維持するのと、転職して初年度の年収は下がるけど「たとえ会社がなくなっても稼げる力」を身に付けるのと、どちらがいいのかを考えてみてください。キャリアアドバイザー本音としては、「短期的な年収アップより、長期的な生涯年収アップの方が大事」というのが結論です。

>>「年収交渉ってどうやるの?」後編記事もあわせて読む

取材・文/天野夏海 写真/栗原千明(編集部)

『特集:わたしの値段』の過去記事一覧はこちら

>> http://woman-type.jp/wt/feature/category/work/mypriceをクリック

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