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MAR/2020

ダイバーシティチームで“私らしく働く”ための心得は? デンマークで就職したインテリアデザイナー・本村らん子さんに聞く

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海外ノマドライター小林香織がお届け!
「自分らしく働く」世界の女性たち

この連載では、デンマーク在住ライター小林香織が海外で自分らしく働く女性たちのライフストーリーを紹介。女性たちが幸せに働き、自由に生きていくためのヒントを発信します!

ここ数年、日本で働く外国人の数が増えています。日本に住み、働いていても、多様なバックグラウンドを持つ人たちと仕事で関わる場面は、今後さらに増えていきそうです。

そこで今回は、デンマークの企業でインテリアデザイナーとして働く日本人、本村らん子さんを訪ねました。

本村らん子
本村らん子さん
1987年、大阪府豊中市生まれ。サンフランシスコのAcademy of Art University 内装建築デザイン学科を卒業。その後デンマークに移り、2013年OEO Studio入社。インテリアデザイナーとしてデンマーク・日本をはじめ、世界各国の内装プロジェクトに携わる

デンマーク、日本に加えて、世界各国のクライアントと取引するデザインスタジオ『OEO STUDIO』で働く本村さんが、異文化を持つ人と一緒に働くときに大事にしていることとは?

ダイバーシティーチームの中で“自分らしく働く”を実現している彼女に、お話を伺いました。

デザイナー歴6年半。国境を超えた内装プロジェクト

本村らん子

——内装デザイナーとして勤務されている『OEO STUDIO』では、具体的にどのような業務を担当されていますか?

現在、入社して6年目なのですが、私は内装デザインのイメージを実際に形にする肯定を担っています。

例えば、図面を起こしたり、模型を作ったり、3Dも使ってデザインしたり、案件によってアプローチは異なりますね。

弊社の場合、チームごとに一つの案件に取り組むスタイルなので、独断で何かを決めるということはせず、チームで話し合いをしながら一つの内装を作り上げていきます。

クライアントはデンマークや日本をはじめ、欧米やベトナムなどさまざまで、多くの国や地域とのお取引がありますね。

日本企業とは日本語、その他の国とは英語でコミュニケーションを取っています。

——とてもグローバルな環境ですね! これまで担当された案件で、特に印象的だったプロジェクトについて教えてください。

すべてがチャレンジで、すべてが刺激的だったので選ぶのは難しいのですが……、2016年に請け負った『Kaikado Café』(京都)のプロジェクトは、すごく達成感がありましたね。

『Kaikado Café』を運営する開化堂は明治8年に創業した高級茶筒メーカーで、「コーヒー豆の保存も可能な茶筒を使用してカフェを開きたい」というのがクライアントさんの意向でした。

『Kaikado Café』(京都)
『Kaikado Café』(京都)

カフェに利用している建物が歴史のある文化庁の登録有形文化財で、元々は京都市内を走っていた市電を修理する工場だったんです。

この場所の趣を残しつつ、開化堂らしい内装に仕上げるにはどうしたらよいか、メンバーで納得いくまで話し合いました。

結果的に壁の朽ちた感じをそのまま生かして、歴史あるものと新しいものを融合させた私たちならではのスタイルが完成しました。

『Kaikado Café』(京都)

——どことなく北欧らしさがありながら、日本の古き良き文化財の雰囲気も感じられて素敵ですね。本村さんがインテリアデザイナーとしてやりがいを感じるのは、どんな瞬間ですか?

インテリアデザインの仕事は大規模なものだと、完成までに1年を超えることもあり、膨大な数のステップをこなす必要があります。

自分が関わってきたこと一つ一つが形になる瞬間は、充実感でいっぱいになります。最終的に内装ができあがったときは、もう感無量ですね。

海外留学の経験が「デンマーク移住」のキッカケに

——本村さんが、「海外で働く」と決めたのは、なぜでしょうか?

一つ大きなキッカケになったのは、高校生の時、日本の教育の在り方に“窮屈さ”を感じて、オーストラリアに2週間のホームステイに行ったことでした。

留学先の高校では、黒板に書かれたことをノートに書き写すような日本でよくあるスタイルの授業ではなく、先生と生徒が納得するまでディスカッションするような授業が行われていて、「こんな授業があるなんて!」と、すごく驚きました。

日本に帰ってからも海外で受けた刺激が忘れられず、高校生時代に10カ月のアメリカ留学を経験し、その後ハワイの大学に進学しました。

そこで2年間、一般教養を学んだ後に、「将来は内装デザインに携わりたい」と考え、サンフランシスコの美術大学に編入しました。

卒業が近づいてきたタイミングで世界地図を広げて「どこで働きたいか」と考えた時に、一番惹かれたのがデンマークだったため、卒業後は単身デンマークに渡り、就職活動をしました。

そこで現在働いているデザインスタジオと出会って、彼らがちょうど日本企業と仕事を始めたタイミングだったこともあり、運良く入社することができたんです。

本村さんが働く『OEO Studio』のオフィスにて
本村さんが働く『OEO Studio』のオフィスにて

——本村さんは日本で働くという選択もできたはずですが、「未知の世界に挑戦したい」というマインドから海外で働くことを決めた、ということでしょうか?

「いつか日本で働くことになるだろう」とは思っていたんですが、その前に他の国で刺激的な経験がしたいなって。海外で働くことが、単純におもしろそうだと思ったんです。

もしかすると、海外旅行好きだった両親と、当時海外でアメリカの大学でグラフィックデザインを学んでいた兄の影響もあったのかもしれません。

多様性のあるチームで、“私らしく”働くために大切なこと

——社会人経験もない中で、海外企業で異文化の人たちと一緒に働くのは苦労があったのでは、と思うのですが……。

確かに、最初は感覚の違いがあったと思います。各所に配慮してオブラートに包んだマイルドな言い方を好む日本人に対して、デンマーク人はピンポイントに焦点を合わせて、ハッキリと自分の意見を主張します。

だから、こちらでは曖昧な言い方をするときちんと伝わらなくて、自分の考えを分かりやすい言葉にして伝えなきゃいけない、と学びました。

でも、彼らと一緒に仕事をしていくうちに、余計なことを削ぎ落としてシンプルに本質を突き詰めていくデンマーク流のワークスタイルが心地よいと思えるようになってきました。

彼らはズバリの指摘をするものの、仕事に私情を挟まない合理主義なので、慣れると効率的でラクなんです。

もしかすると、私は日本での社会人経験がないままこちらで就職し、「自分のスタイル」みたいなものが定着していなかったために、強い抵抗感を持たずに順応できたのかもしれませんが。

本村さんが働く『OEO Studio』のオフィスにて
本村さんが働く『OEO Studio』のオフィスにて

——なるほど。ただ、本村さんの場合、デンマーク人以外のさまざまな国の方ともやり取りされるんですよね。その都度、文化の違いを感じることもあるのでは?

もちろんありますよ! 私は日本よりもデンマークのワークスタイルの方がフィットしているので、日本人を含めたアジアの方とお仕事するときに、違和感が生まれるときもあって。

ただ、文化の違いからくる慣習の違いは、どちらが正解でどちらが間違いということはなく、単純なスタイルの違いだと捉えています。

たまに大変だと思うことはありますが、疑問に思ったら率直に伝えること、ガンコになりすぎずに、相手に寄り添う柔軟性を忘れないようにしています。

加えて、言葉以外にコミュニケーションを補助してくれるツールを持つことも、一つの解決策につながっていますね。

私の場合は職業柄、言葉を使わずにコミュニケーションが取れる「デザイン」という強力なツールがあるので、これに救われているなと思います。

本村さんが働く『OEO Studio』のオフィスにて
本村さんが働く『OEO Studio』のオフィスにて

——ダイバーシティーチームの中で心地よく働くには、絶対的な正解を決めつけずに「フラットなマインドを持つこと」が何より大事なのかもしれないですね。

そうですね。デンマーク人でも日本人でも、育った国のバックグラウンドだけじゃなく、人それぞれのキャラクターの違いもありますよね。

一人一人の考え方は違っていて当たり前なので、頭ごなしに否定せず、まずは「そうなんですね」と受け入れてリスペクトする

その上で、お互いにとって本質的に必要なことは何かを話し合って、折衷案を出すのがいいのかなと。

多少時間はかかりますが、毎回違った問題点があり、常に新鮮な気持ちで働けることも私にとっては魅力的ですね。絶対マンネリ化しない(笑)

——そうですね! さまざまな価値観を持つ人たちと関わることで、いい意味で自分の常識が壊され、どんな相手とでも心地よく働ける適応力が身に付きそうです。最後に、本村さんがこれから挑戦してみたいお仕事はありますか?

実は、アムステルダム在住の日本人の彼と婚約したことを機に、今年の7月にここを退職して、アムステルダムに移住することが決まったんです。現地では、フリーランスビザを申請して個人事業主として新しい一歩を踏み出したいなって。

挑戦してみたいのは、各国のプロダクトを一つのアイディアでつなげたり、新しいものに生まれ変わらせたりするような仕事です。

OEOで日本の伝統文化を新しいスタイルのデザインにアレンジして、ヨーロッパに提供するという取り組みを学べたので、そういった経験を生かして、また新たなスタイルで創造的な事業をつくっていけたらおもしろそうだなと思っています。

可能性だらけの新生活が、今からとても楽しみです!

フリーライター/広報PR 小林香織

【この記事を書いた人】
フリーライター/広報PR 小林香織

1981年、埼玉県生まれ。高校を卒業後、エンタメ業界に就職し、約10年制作進行を務める。その後、「編集・ライター養成講座」に通い、33歳でライターデビュー。2016年にフリーランスライターへ転身、「働き方・旅・ライフスタイル・IT」などの分野で800以上の記事を執筆。2017年から「旅と仕事を両立するライフスタイル」を開始、これまでに14カ国を訪問。東南アジアでの短期移住を経て、2020年からデンマークに本格移住。海外フルリモートワーカーとして現地取材を含めた執筆や企業のPRサポートを担当。「カフェ」「旅」「テクノロジー」が好き
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取材・文・撮影/小林香織

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