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JUN/2020

些細なことにイラッ…。コロナ禍で人がキレやすくなるのはなぜ? アンガーマネジメントのプロに学ぶ「怒り」への対処法

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持つべきものは、頼れるメンター!
「後輩たちへ」

長く仕事は続けていきたい。でも、どんな仕事が自分に合っているのか、そもそもどんな人生を送りたいのか、自分のありたい姿が明確にならない女性も多いはず――。そこでこの連載では、さまざまな人生経験を積んできた『Mentor For』のメンターたちが、“豊かなキャリア”を描いていくためのヒントを後輩女性に向けて送ります

はじめまして、女性のキャリアを支援する社外メンター事業をしている(株)MANABICIAの『Mentor For』で公式メンターをしている小磯幸子と申します。

今回は、コロナ禍で最近イライラしがち、怒りっぽくなっているという相談者の方からのお悩みに、アンガーマネジメントの考え方を取り入れて回答したいと思います。

先輩に聞きたい!
今回の相談内容

(Aさん/28歳/事務)

最近はコロナのせいか、テレビのニュース番組を見てはイライラ、SNSを見てはイライラ、自分の心が苛立っているときが多いと感じます。

仕事中も、同僚や上司の言葉にすぐムカッとしてしまったり。一度イライラするとそのことばかりが気になり、しばらく仕事に集中できないので困っていますが、どうしたらいいですか?

コロナ禍で、怒りの感情が強く出る理由

怒りの感情が強く出る理由

先日、東京でも緊急事態宣言が解除されましたが、今もメディアでは新型コロナ関連の話題がずっと流れていますよね。

感染者も徐々に減少してはいるものの、「第二波がくるのでは」という声もあり、withコロナの生活はまだ続いていきそうです。そんな中、日々変わっていく情報に戸惑ってしまうのも無理はありません。

コロナ禍では、直近の感染者数に一喜一憂し、多くの人が、感染しないだろうかという恐怖や、先の見えない不安、一変した生活様式への戸惑いや困惑といったマイナスの感情から、ストレスを抱えて心が消耗しています。

では、なぜコロナ禍でイライラや怒りが生まれやすくなるのか。こうした感情は、「こうあるべき」、「こうあってほしい」というその人の理想や価値観が裏切られ、マイナスの感情が生じることにより発生します。

Aさんがイライラしやすくなったことを、火を点けるライターに例えて解説してみましょう。

【1】Aさんの「こうあるべき」「こうあってほしい」が裏切られたとき、ライターの「着火スイッチ」が点火し、火花が散る
【2】そこに「ガス」となる「マイナスの感情や状態」が送り込まれる
【3】その火花が、炎として燃え上がったものが「怒り」

コロナ禍であれば、【2】の「ガス」は、「恐怖」「不安」「困惑」などにあたるでしょう。【1】で「こうあるべき」という理想が裏切られ、【2】で「ガス」が多く送り込まれれば、【3】の「炎」はいつもよりも大きく燃え上がるというわけです。

ですので、Aさんが以前と比べてイライラしやすくなった理由は、【1】理想を裏切られる回数が増えたか、【2】恐怖や不安を感じる量が以前より増えている、ということが挙げられるのではないでしょうか。もちろん、【1】【2】の両方が増えている可能性もあります。

【1】については、今だといろいろな事例が挙げられそうですね。

例えば、「自分は引き続きリモートワークを継続すべきだと考えているのに、会社がそうさせてくれない」とか。あるいは、「感染者数が減ってほしいと思っているのに、また増えてきている」とか。Aさんに限らず、思い通りにいかないつらさを感じている人は多くいらっしゃると思います。

ただ、こうして怒りの仕組みを理解するだけでも、少し落ち着くことができ、【1】や【2】を減らすにはどうしたら良いか、と考えられるようになります。

問題として対処すべき4つの「怒り」のタイプ

「怒り」のタイプ

また、アンガーマネジメントについて「怒りの感情は悪いもの」「怒らないように自分をコントロールすることだ」と考えている人も多いかもしれません。

しかし、アンガーマネジメントとは、「怒る必要のあることは上手に怒ることができ、怒る必要のないことは怒らないようになること」であり、「怒らなくなる」ことではないのです。要は、「怒っても良い」のです。

そもそも、怒りは、喜怒哀楽という人間の感情に含まれているように自然な感情なので、一切なくすことはできません。

とはいえ、次の4つの怒りはやっかいなもので、問題です。

【1】ちょっとしたことでもすぐに怒ったり、強く怒り過ぎる、大声を出すという行動に表れる「強度が高い怒り」
【2】昔の怒りを長年根に持っていたり、「この前もやったよね」といった言葉を、知らない間に相手にぶつけることが多い「持続性のある怒り」
【3】常にイライラし、せっかちな人に多いと言われる「頻度が高い怒り」
【4】他人や自分を傷つけ、モノを壊すような怒り方をする「攻撃性のある怒り」

自分の行動を振り返り、【1】から【4】に心当たりがある場合には、少し気を付けてみる必要があります。まずは、自分の怒りの特徴を自覚することが大切です。

怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニングをご紹介している「日本アンガーマネジメント協会」には、怒りの傾向を知ることができる、「アンガーマネジメント診断」もありますので、興味がありましたら、サイトを覗いてみてください。

怒りを鎮める「6秒」を意識して

リラックス

では、実際にイライラや怒りの感情が沸き上がってしまったときには、どうすればいいのでしょうか。

おすすめしたいのは、まず「6秒」待つこと。「6秒」は、怒りのピークの時間と言われており、このピークが過ぎると、売り言葉に買い言葉で暴言を吐く、怒りに任せてキーボードを叩きつけながらメールを送信する、といった、最悪の事態を避けることができます。

もちろん、6秒過ぎたからと言って、怒りがなくなるということではなく、ピークが過ぎれば、より冷静になって本来の問題解決に向かえるということなのです。次のような方法を参考に、まずは「6秒」をやり過ごしてみてください。

【1】怒りに点数をつける

人生最大の怒りを10点とした時に、Aさんの場合であれば、「今回は3点くらいかしら。前回は4点くらいだったから、まだマシだな」と、点数をつけて比較をすることで、冷静かつ客観的になることができ、怒りのピークをやり過ごすことができます。

【2】落ち着く言葉を唱える、お気に入りに触れる

怒りは、身を守るための感情と言われています。怒りを感じるということは、何かに攻撃されそうな自分を守る体制に入れるということです。自分を守るために、自分が落ち着く言葉、安心する言葉を引き出しに入れておき、怒りを感じたときに唱えてみましょう。

私自身は、「大丈夫、大丈夫」「何とかなるさ」「次がある」「美味しいもでも食べよう。」などの言葉を、心の中で唱えています。また、モノや香り、音楽など、お気に入りのものに触れることも、心のクールダウンに効果的です。心が落ち着いて、本来の問題に向き合う余裕ができますよ。

【3】その場から離れる

Aさんのように一度イライラすると他に手がつかなくなるようなときには、あえて自分からその場を離れ、そのイライラと関係のないところに身を置くのも一つの手です。トイレに行く、外の空気を吸って、お気に入りの飲み物でも飲み、気分転換をして、仕事に戻りましょう。

パートナーなど家族と喧嘩になり、エスカレートして相手や自分を傷つけてしまいそうになったときにも、相手に了承を得た上で、一旦その場を離れて少し落ち着いてから戻ることで仕切り直せることから、この方法は「タイムアウト」とも名付けられています。

今回ご紹介した対処法は一例なので、ご自分なりのやり過ごし方を見つけて実践してみるのもいいですね。

「べき」の数を減らすと、イライラの数も減る

さらに、普段からイライラし過ぎないようにするためのヒントも、3つお伝えしておきたいと思います。

【1】完璧を目指さない。白でも黒でもないグレーゾーンをつくる

真面目で責任感が強い人は、「べき」が強く、何事にも100%でないことが許せない傾向があります。「べき」そのものは悪いものではないのですが、強過ぎると自分を苦しめることに。

「べき」を緩めて「ここまでいければOKとしよう」「まあ許せるかな」というゾーンを作っておきましょう。世の中には、白黒はっきりせずに、グレーであるまま物事が進められることがあることを意識すると、気が楽になるかもしれません。

【2】不安を煽る情報や人とは距離を置く

Aさんは、ニュース番組やSNSからさまざまな情報を得られ、不安や苛立ちにかられることが多いと仰っていますが、この状態が続くと「ガス」がどんどん増えていくことになります。「ガス」を減らして精神衛生を保つためにも、これらの情報から一度離れてみましょう。

全く情報に触れないのではかえって不安になるということであれば、例えば「ニュースを見る時間は、1日合計1時間とする。チャンネルも行ったり来たりせずに固定する」、「SNSは30分だけ。不安や苛立ちを感じる投稿は見ない」などと、マイルールを決めてみてはいかがでしょうか。

【3】他人に期待しすぎない。他人の失敗に寛容になる

【1】 にも関連しますが、自分に厳しい人は、他人に対しても厳しい基準となる「べき」を求めてしまうことがあり、他人のミスや失敗が許せず、その基準に達していないことに対してイライラします。

私もかつては、「自分は約束を守っているのに、あの人はいつも守らない」などの小さな不満からイライラすることが多かったのですが、「最初から他人に期待し過ぎない。ここまでやってくれたら感謝する」という姿勢で過ごすようになると、相手からのミスや連絡漏れにいちいち反射することはなくなり、ここ数年は驚くほどイライラすることが激減しました。

また、イライラや怒りには、心身の不調が関連していることもありますので要注意。眠れない、自分や他人を強く傷付けてしまうようになった、不安や心身への疲労度が極度に大きい場合には、無理せず専門家に相談しましょう。まずは、いつもと同じではない状態が長く続くことを自覚することが、解決への第一歩です。

以上、アンガーマネジメントのアプローチを用いて、Aさんのご相談に回答いたしました。
自分一人で解決できることもあるかもしれませんが、例えば『Mentor For』のようなサービスを賢く利用し、上手に色々な人を頼ってみてください。

小磯幸子

【この記事を書いた人】
小磯幸子

国内航空関連会社にて、旅行会社スタッフ向けインストラクター及びインストラクター候補者育成に従事。その後、人材育成コンサルティングの企業研修講師供給部門に勤務、自らも社内認定講師となる。現在は、フリーの立場で人材育成コンサルタントやキャリアコンサルタントとして、企業の課題解決や個人の成長を支援する。小学2年と保育園児、二男児の母でもあり、自身の経験からも女性のキャリア支援のために、公私ともに積極的に活動する。披露宴MCとしての顔も持つ。一般社団法人 日本アンガーマネジメント協会認定 アンガーマネジメントファシリテーター/アンガーマネジメントキッズインストラクター/アンガーマネジメント叱り方トレーナー(https://www.angermanagement.co.jp/

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