怒って嫌われる人・好かれる人は何が違う?――働く女性のためのアンガーマネジメント講座『女の転職type』×『Eight』イベントレポート
気の合わない上司の発言や態度にムッとしたり、思うように進まない仕事にイライラしたり。日々、ちょっとした“怒り”を抱えながら働いている女性は多いかもしれない。しかし、怒りの感情が湧いてくるのは人として自然なこと。大事なのは、この“怒り”を上手にコントロールし、うまく付き合っていくことだ。
そこで今回、『女の転職type』では、名刺アプリ『Eight』と共同で、働く女性のためのアンガーマネジメント講座を2019年5月22日(水)に開催。会場となった、東京・表参道にあるSansan株式会社のオフィスには約30名の女性たちが集まり、「アンガーマネジメント」の基本を学んだ。
当日、セミナー講師を務めたのは、日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントコンサルタント/Sansan株式会社人事の松島徹さん。今では「怒りへの対処」について教える側に立つ松島さんだが、自身もかつては正しい怒り方が分からず、仕事で苦労した一人だという。
本セミナーで松島さんが教えてくれたアンガーマネジメントは、怒りの感情とうまく付き合うための心理トレーニング。一切怒らない状態を目指すのではなく、怒る必要があるときに、上手に怒れるようになることを目的とするものだ。
では、どうすれば上手に「怒り」をコントロールできるのだろうか。セミナー内容の一部をご紹介しよう。
怒りのピークが続くのは6秒間
反射的な発言・行動を避けるだけで「後悔する怒り」が減る
講演の冒頭では、参加者同士で「最近、自分が怒ったこと」をテーマにディスカッション。「イライラしたこと」や「怒りを感じたこと」について話し合ってもらったが、女性たちの顔は笑顔だ。それを受けて松島さんは、「怒りは瞬間的なもの。後から振り返ってみると、そんなに怒るようなことでもなかったな、ということも多いのではないでしょうか」と問い掛ける。
実際、怒りのピークは長くても6秒だと言われている。この6秒間のうちに反射的に発言をしたり、行動したりすると、あとになって後悔することが多いのだという。
「怒っているときの6秒は、思っているより長く感じてしまうものです。そこで私がおすすめしたいのは、自分がイラっとしたことを、手のひらや太ももなどに指で書くこと。書くことで気持ちをそらしてしまえば、時間があっという間に過ぎ、怒りのピークも過ぎ去ります」(松島さん)
また、反射的な怒りに振り回されないようになるためには、「自分の怒りを観察することが大切」と松島さん。6秒間やり過ごす上でも、怒りを可視化するのにも最適な方法は、怒りを点数化することだ。
「穏やかな気持ちでいられる状態を0点とし、人生最大の怒りを感じる状態を10点としたときに、今回自分が感じた怒りは何点なのかを記録していきましょう。すると、あなた自身がどんなことに怒りを感じやすいのか見えてきたり、怒りの点数がだんだんと低くなってきたりすることに気づくと思います」(松島さん)
怒りの感情だけを相手にぶつけるのはNG
自分のリクエストを明確に伝えよう
また、今回のセミナーに参加した女性たちの中には、「部下や後輩への注意の仕方が分からない」「自分の子どもをうまく叱ることができない」など、“怒り方”について悩んでいる人も多かった。
どうすれば、怒って嫌われて終わるのではなく、相手の成長を促したり、物事を良い方へと向かわせることができるのだろうか。
「まず抑えておきたいのは、自分が怒ることのラインを明確にしておくこと。機嫌で怒ったり怒らなかったりということが続くと、相手はあなたがなぜ怒っているのか理解することができず、同じ過ちを何度も繰り返してしまいます」(松島さん)
部下や後輩の育成に関わる人は特に、「怒るときのルール」を明確にしておくことが大切なのだという。さらに、「怒りに任せて人格攻撃をしたり、人前で怒って晒し者にしてしまうのも、やってはいけないNG行動です」と松島さんは続ける。
「遅刻してしまった人に、『遅刻はするな』と指摘するのはいいけれど、『遅刻するなんて、お前はなんて最低な奴なんだ』と言ってしまうと人格攻撃になってしまいます。すると、間違った行動を正されたのではなく、『自分を否定された』という印象だけが相手に強く残ってしまい、関係が悪化しかねません」
相手に自分の怒りを伝えることは、「自分のリクエスト」を伝えることと同義。感情をぶつけるだけぶつけて終わるのではなく、リクエスト内容を明確に伝える意識を持つことが、「上手な怒り方」を実践する上でのポイントだ。
参加者満足度100%!
「自分を見直す機会になった」などの意見多数
セミナーが終わった後は、参加者同士の交流会を実施。講師を務めた松島さんには、助言を求める声が相次いだ。
また、事後アンケートでは、当日のイベントに参加して「満足した」と回答した女性が100%という結果に。
・「自分の職場での振舞いを見直す良いきっかけとなった」
・「正しい怒り方を知ることができた」
・「もっとアンガーマネジメントについて学んでみたいと思った」
・「リラックスして参加できた」
などのコメントが寄せられていた。
今回紹介したアンガーマネジメントは、他者ではなく自分自身をコントロールするものだからこそ、すぐに職場で実践できるものばかり。ストレスフリーな職場づくりは、まずは小さな“自分の意識改革”から。できることから少しずつ始めてみてほしい。
取材・文・撮影/栗原千明(編集部)