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NOV/2020

性教育YouTuberシオリーヌが“普通の助産師”として働いて見つけた自分だけの個性

性の話をもっと気軽に、オープンに語れる社会をつくりたい――。そんなテーマを掲げて活躍する助産師・YouTuber、シオリーヌさんをご存じだろうか?

総合病院産婦人科、精神科思春期病棟での勤務を経て、現在は正しい性知識を伝えるためにSNSやYouTubeで、日々情報を発信を行っている。

シオリーヌさん
シオリーヌさん
1991年生まれ。神奈川県立保健福祉大学看護学科卒業。助産師・看護師・保健師・思春期保健相談士などの資格を持つ。総合病院産婦人科、精神科思春期病棟での勤務を経て、YouTubeチャンネルや講演会・イベント等で性教育に関する発信を行っている。「性の話をもっと気軽にオープンに」をテーマに、妊娠の仕組み、生理用品の使い方、コンドームの付け方など正しい性教育の知識をYouTubeで発信。チャンネル登録者数は約12万人(2020年9月時点)
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一般的に、助産師のキャリアは「病院で経験を積み、スキルを上げる」以外の選択肢がないとされてきたが、シオリーヌさんは自分の特技を生かし、YouTuberとして新たな道を切り開いた。

“個の力”が大切だと言われる時代、どのように自分の強みを発見し、オリジナルのキャリアを歩み出すことができたのか。シオリーヌさんの軌跡を聞いた。

母親学級で気付いた「人前で喋るのが好き」

「個の力」と聞くと、何か特別な才能を持ったキラキラした人を思い浮かべるかもしれませんが、私はそうは思いません。「個の力」とは「自分の得意なことを見極める力」だと私は考えています。

私がYouTubeで性教育に関する情報発信を始めたのは2019年2月。看護師・助産師として病院で勤務している中で、自分の得意なことを追求した結果、性教育というテーマ、そしてYouTubeという場所に出会いました。

大学卒業後、私が始めに就職したのは総合病院の産婦人科。

助産師としての仕事にやりがいは感じていましたが、病棟勤務は想像以上にハード。夜勤が体に合わず、このまま30代、40代と働き続けられるのだろうか、と疑問に感じ始めていました。

そして、性教育に関心を持ったのもこの頃です。

思春期保健相談士という資格を取得し、地域のお母さんや子ども向けの性教育のイベントなどに携わらせてもらうようになってから、思春期の子たちと接する機会をもっと増やしたいと思うようになっていたんです。

そこで、精神科の児童思春期病棟に転職。家庭や学校で事情を抱えている思春期の子が入院する病棟で、看護師として勤務しました。

患者さんの中には、家に居場所がなく援助交際をして異性の家を転々としている女の子など、性のトラブルに巻き込まれている人も少なくありません。

そうした子どもたちに出会う度に、中高生のうちに性教育の知識を身に付ける重要性をひしひしと感じるようになりました。

シオリーヌさん

でも、自分の思春期の頃を振り返ると、学校で性教育の知識なんてろくに教えてもらえていなかったんですよね。

待っているだけではダメだ、助産師である自分から中高生のところまで会いに行かないといけないんだ、と気付いたんです。

そこでブログやTwitterなどさまざまなツールを試しましたが、そこで出会うのは大人ばかり。中高生がいる場所はどこだ、と考えて行き着いたのがYouTubeでした。

振り返ってみると、昔から「人前でお喋りをする」のが得意だったように思います。

助産師として働いていた時、人から一番褒められる仕事が母親学級の講師だったんです。出産の介助でもなく、母乳のケアでもなく、50人くらいのお母さんたちの前で話している時が、一番生き生きしているねと言われていました。

周囲の助産師は「緊張するからやりたくない」と言う人が多く、その時に初めて「あ、私は人より喋るのが得意なんだ」と気が付きました。

さらにさかのぼると、高校生の時はコンビを組んで漫才大会に出場したり、大学生の時は塾講師のアルバイトをしていたりと、人前で喋ることに抵抗がなかったんです。

現在も、YouTube撮影の時には台本を作らずに一発撮りで喋っています。自分が得意なことをすると成果が出やすいから、さらにやる気になっていく。

YouTubeという、「人前で喋る」ことが得意な自分を生かせる場に出会えて本当に幸せだと思っています。

たくさんの人に会って、自分のことを知ってほしい

シオリーヌさん

とはいえ、最初から自分が輝ける場所に出会えていたかといえば、そうではありません。性教育に関心を持ったのはいいものの、性教育という分野で活躍している助産師がいなかったんです。

助産師の主なキャリアプランは「お産を極める」か「母乳を極める」か、の二択しかないと言われていました。でも、人によっていろんな得意分野があるはず。私の場合は性教育や思春期支援が自分の得意分野だ、と思ったのです。

性教育で食べていきたい。でもロールモデルがいない。

そう悩んでいた時、一番大切にしていたのは「たくさんの人に会いにいく」ことでした。

ちょうど「働き方」というトピックが世間で注目され始めた頃で、起業家やインフルエンサー、病院以外の場所で働いている医療従事者の人たちなど、さまざまな働き方をしている人たちの話を聞くことができるイベントが多く開催されていて、そういう場所に足繁く通ったんです。

いろいろな人の話を聞いていくうちに「これは自分には向いていない」「こういう考え方には共感できる」と、自分の核のようなものが少しずつ分かっていきました。性教育もそうですが、情報に触れるのはすごく大事なことです。

最近は、流行っているからという理由だけで闇雲に何かを始める人も多いですが、YouTubeをやることもフリーランスで働くことも、目的ではなく一つの手段でしかありません。

自分の得意なこと、そしてやりたいことでないと、いつか気持ちがついていかなくなり疲れてしまいます。だからそれが本当に自分に向いているのかは、ちゃんと見極める必要があると思います。

私の場合は、助産師としての経験、性教育への熱意、人前で喋るという自分の特技という三つの要素が良いバランスで成り立ったのが性教育YouTuberとしての活動でした。周囲から「シオリーヌはYouTuberが天職だね」と言われると本当にうれしい気持ちになります。

シオリーヌさん

皆さんも、やりたいこととやれることのバランスを模索してみてください。やってみた仕事が合わなくても「合わない」ということが分かるだけで大きな収穫です。

無理に続ける必要はありませんから、自分に向いていることを探してみてくださいね。必ずあるはずです。

取材・文/太田冴 撮影/KOBA

シオリーヌさんインタビュー掲載中!雑誌『type就活』

シオリーヌさん

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