コロナ禍、“学び直し”で叶えるステップアップ転職。社会人大学院で得た知識・つながり・自信
コロナ禍、リモートワークの浸透も後押しし、「手に職」につながる資格取得や社会人大学院などでの“学び直し”に関心を寄せる人が増えている。
MBA・知的財産マネジメントの修士を授与する1年制の社会人大学院、虎ノ門大学院(KIT)では、コロナ禍に自宅からでも参加できるオンライン講座を拡充。ますます高まる学び直しの需要に対応している。
「KITで学び、第一志望の企業に転職ができた」と話すのは、現在東証一部上場のソフトウエア企業で法務として働くKIT修了生の清水靜帆さん(33歳)。前職時代、仕事と両立しながら1年半の学び直し期間を経て、ステップアップ転職を果たした。
清水さんはどのようにして、大学院での学びを自身のキャリアチェンジに生かしたのか。学び直しのきっかけや、大学院修了によって得たものを聞いた。
OJTと独学に感じた限界。20代後半で感じた“キャリア不安”
前職で未経験から法務の仕事を始めた清水さん。初めはOJTで仕事を覚え、何とか業務をこなしていたが、入社から2年が経ったころには“限界”を感じ始めたという。
「法務の仕事について知れば知るほど、分からないことが増えていったんです。法学部出身なのである程度は法律の知識を持っていましたが、ビジネスや経営についてもちゃんと理解していないと、任せてもらえる業務範囲が狭くてなってしまう。今のペースで独学していても、いずれ会社のニーズに応えられなくなるのでは、と焦る気持ちが大きくなっていきました」
その頃ちょうど、当時勤めていた会社が自社サービスを新たにリリース。業務範囲を広げるべく「知的財産(知財)」について学べる大学院を探し始めた清水さんは、1年制の社会人大学院、虎ノ門大学院(以下、KIT)の存在を知る。
「合同説明会で聞いた、知財の先生の模擬授業がすごく楽しかったんです。それがきっかけで『ここで学ぼう』と決めました。迷わず入学を決めましたが、実際に講義を受けてみても『間違いなかった』と感じられました。先生方は皆さん熱意に溢れていて、講義もすごく実践的な内容ばかりでした」
清水さんは目を輝かせて語る。KITの講義は仕事終わりの夜に受講していたが、肉体的に疲れている日があっても、「楽しさ」が勝ったという。
また、KITに入学して得られたものは、知識だけではなかった。同期生には、さまざまな業界で活躍する幅広い年代のビジネスパーソンがずらり。社内にいるだけでは得られなかった出会いから得られたものも多かった。
「職場で話をするのは、自分と同じ法務部員や、管理部門の仕事をしている方が多いのですが、大学院では営業やコンサルタントなど、ふだん接点のない職種の方々とお話ができて楽しかったですね。同期とは『同志』という感じでとても仲良くなり、今も交流が続いています」
選考のライバルは弁護士、ベテラン法務……
それでも「今の私なら大丈夫」
大学院で学び始めて数カ月。刺激的な講義や同級生との交流を通じて、清水さんの中に、ある変化が起こる。
「KITでは四半期ごとにテストがあり、自分がどれくらい勉強してきたか、目に見えるかたちで成果を確認することができます。さらに、大学院で学んだことを仕事に生かすチャンスが増え、知財についてもビジネスについても、仕事の幅が広がっていることを実感できました。KITでの学びが、いつの間にか私の“自信の源”になっていたのです」
以前から、定期的に求人サイトをチェックして、自分の市場価値や世の中でどんなスキルが求められているかを確認していた清水さん。いつものように求人サイトを見ていた時に、以前から興味のあった東証一部上場のソフトウエア企業が、法務の担当者を募集していることを知る。
年収アップもできるし、やってみたかった海外企業との仕事もできる。「ステップアップのチャンス」と清水さんは考えた。
昔から、行動力は人一倍あった。すぐさま転職エージェントに足を運び、「この企業の選考を受けてみたい」と伝えたところ、キャリアアドバイザーは「少し困った顔をした」と清水さんは明かす。
「この会社は条件的にすごくいいから、他の候補者も経験豊富な方ばかりで内定をもらうのは難しいだろう、と言われたんです。でも、KITで学んで自信をつけていた私は『それでも受ける』と言って引かず。一次面接を受けて手応えを感じられたので、その会社一本に絞って転職活動をしました」
キャリアアドバイザーに言われた通り、選考は激戦だった。募集ポジションはたったの一名。ライバルの中には、弁護士や法務のベテランもいたが、最終的に採用されたのは清水さんだった。
「入社後に、採用していただけた理由を聞いたら『学びの姿勢』も評価のポイントだったと聞きました。法務担当は、常に勉強し、知識をブラッシュアップし続けることが求められる職種です。今、持っている経験や知識に加え、自ら社会人大学院に通っているというやる気や、将来性を見せられたことが大きかったようです」
人生100年時代、「何があっても大丈夫」と思える自信をつけて
第一志望の会社に入社し、年収アップ、チャレンジできる環境を手にした清水さん。現在は、入社前から希望していた海外案件も担当している。
「以前は、自分の力不足もあって仕事の幅が広がらず、悔しい思いをしていたので、学び直しを経てやりたい仕事ができるようになったことは本当にうれしいです」
KITで学んだビジネス現場で役立つ思考法も、仕事をスムーズに進める上で一躍買っている。
「あらゆるシーンで『誰にとって何が重要なのか』ということを考えた上で、論理的に提案や質問ができるようになりました。社内ミーティングなどで、ファシリテーションを任される機会も多いです」
転職後、KIT入学前に感じていた“キャリア不安”は自然と消えていた。その理由を清水さんは次のように分析する。
「KITで学んだことで、『何事もやればできる』『私ならできる』っていう自信がついたんですよ。ライフステージが変われば、またキャリアに悩むこともあるかもしれないけれど、その時々でどうにかできる、と今なら思います」
不安を感じた時には、とにかく何か“アクションを起こす”のが清水さん流だ。じっとしていても状況は変わらない。
「モヤモヤする現状をどうにかしたいなら、転職活動を始めてみる、資格取得の勉強をしてみる、何でもいいので自分の興味が赴くままに動き出してみるといいと思います」
人生100年と言われる時代。長く働き続けていくためには、学びの継続が不可欠だ。
そして、女性の人生をより豊かなものにしてくれるのは、「何があっても私なら大丈夫」と思えるスキル、知識、自信——。理想のキャリアを自らの力で切り拓いた清水さんの姿が、そう物語っていた。
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文/高橋 美帆子 取材・構成/栗原千明(編集部)撮影/野村雄治