完全在宅で働く「オンラインアシスタント」になるには?『フジ子さん』に聞く仕事内容、働き方、キャリアパス
多くの企業が新しい働き方の模索を続けているコロナ禍。リモートワークの導入や、それに伴う業務整理によって、「オンラインアシスタント」のニーズが高騰中だ。
オンラインアシスタントとは、各種事務作業からWebデザインのような専門性の高い業務まで、遠隔でサポートする職種。完全在宅勤務で働くことが可能なことから、子育て世代を中心に、柔軟に働きたい女性がオンラインアシスタントに転身する事例が増えている。
では、具体的にどんな仕事を手掛け、どんなキャリアが開けるのか。
オンラインアシスタントサービス『フジ子さん』を運営するBPOテクノロジー株式会社の人事担当・山中さやこさんと、『フジ子さん』でオンラインアシスタントとして働く村田春菜さんにお話を聞いた。
持続的に成長中、ニーズが拡大する「オンラインアシスタント」
――『フジ子さん』で働くオンラインアシスタントの皆さんは、具体的にどんな仕事をしているのでしょうか?
企業や個人事業主の方の、あらゆる業務をサポートするのが「オンラインアシスタント」の仕事です。オンラインアシスタントは全員完全在宅ワークで、ビデオ通話やチャットでコミュニケーションを取りながら業務を進めています。
業務範囲は幅広く、書類作成やデータ入力などの事務作業から、秘書、リサーチ、経理、翻訳、ECサイト運営やイラストの制作といった専門的な内容までさまざまです。
『フジ子さん』の場合、オンラインアシスタントにできることであればどんなことでも相談いただきたい、という方針でサービスを提供しています。もし対応が難しいようなご要望だったとしても、実現できる方法を模索しながらお応えしていくのが、『フジ子さん』の強みです。
オンラインアシスタント一人一人のスキルを生かして、幅広い業務のお手伝いをしています。
――そもそも「オンラインアシスタント」という名前にあまり馴染みがないのですが、以前からあった職種なのでしょうか?
日本で認知されるようになったのは、ごく最近だと思います。ですが、欧米などでは同様の職種がすでに広く普及しているんですよ。
BPOテクノロジーが『フジ子さん』の運営をスタートしたのは、約5年前のこと。当時は海外の拠点から出発しましたが、今では国内外問わず、さまざまな業種の企業や個人事業主の方からご相談いただくようになりました。
特に、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の発令以降、問い合わせ件数が爆発的に増加しています。2020年に関しては、前年比の倍以上の引き合いがありました。
2度目の緊急事態宣言を受け、さらに問い合わせが増加中です。オンラインアシスタントのニーズは、今後もさらに拡大していくのではないかと予測しています。
――『フジ子さん』では、どのような女性がオンラインアシスタントとして活躍していますか?
オンラインアシスタントは完全在宅ワークなので、全国各地にスタッフがいます。
世代も20代から40代を中心に幅広く、これまでの経歴も十人十色。『フジ子さん』への転職理由も人それぞれですね。
お子さんと過ごす時間を増やすために在宅ワークを希望していた方や、親御さんの介護を見据えて柔軟な働き方ができる仕事を探していた方、コロナ禍を機に自身の働き方を見つめ直した方などが多い印象です。
中には、音楽やスポーツ、ダンスなど、その他の活動と両立している方もいます。
――やはり、オンラインアシスタントとして働く人にとっては、完全在宅ワークという点が魅力なのでしょうか?
そうですね。「自分のライフスタイルに合わせて働ける」という点は魅力だと思いますし、私たちとしても、一人一人にとって理想的な働き方をしてもらえればと考えています。
「まずは一日3時間くらいから」というケースも多いですし、中には「扶養範囲内で働きたい」という方も。もちろん、フルタイム勤務もできますので、ライフスタイルの変化に合わせて柔軟に調整していくことが可能です。
理想的な働き方、というのは、働く日数や時間に加えて、キャリアについても同様です。
マネジメントに興味がある人であればリーダーポジションを目指すことができますし、得意分野のスキルを伸ばしたい人は、適性に合った専門的な業務を中心にお任せしていきます。
自分に合ったスタイルで働きながら、確実にキャリアアップ・スキルアップできるのも『フジ子さん』の特徴の一つです。
『フジ子さん』は数名のオンラインアシスタントでチームを形成して業務にあたっているので、メンバー同士で教え合いながら、全員で成長していこうという雰囲気があります。
オンラインアシスタントに興味を持つ人の中には、在宅ワークが初めての人も少なくありません。
慣れない働き方で「思うようにパフォーマンスが発揮できない」と申し訳なさそうに漏らす人もいますが、それでもいいんです。それぞれに合った働き方と最適なキャリアを、私たちと一緒に見つけていきましょう。
完全在宅ワーク、それでも「一人じゃない」と思えた
――『フジ子さん』のオンラインアシスタントになった理由をお聞かせください。
高校卒業後、2社で正社員として働きましたが、22歳から27歳までの間に4児を出産したので、休職や離職の期間が長く、自分のスキルに自信がなかったんです。
そんな中、オンラインアシスタントとして働こうと思ったのは、離婚したことがきっかけでした。
生活のためにも働かなければ、と思ったのですが、4人の子どもを育てながら外勤するイメージが持てなくて。そこで、「在宅でできる仕事はないかな」と考えたんです。その結果、『フジ子さん』を見つけ、2年前から働いています。
当時は在宅勤務で働ける会社がまだ少なくて、仮に在宅が可能だったとしても、大半の会社では週に数回は出社が必要でした。
その点、『フジ子さん』は完全在宅ワークで、いろいろな地域で暮らしている方が働いていると聞き、「住む場所を問わずに働けるっていいな」と思ったのです。
――実際に在宅ワークを始めてみて、いかがでしたか?
正直、最初はとても不安でした。
私にとっては、ビデオ通話ですら『フジ子さん』の面接が初めて。他のオンラインアシスタントもお客さまもそれぞれ違う場所にいるのに「どうやって仕事をするんだろう?」と疑問でした。
直接会って話さないと、お互いの状況や人柄などは把握できないんじゃないか、って。
でも、実際に働いてみるとビデオ通話やチャットで小まめにコミュニケーションを取れるので、不便を感じることは一切なかったですね。
スキル面での不安も大きかったのですが、業務の知識だけでなく、お客さまとのやり取りの仕方なども先輩が教えてくれました。
――意外にもコミュニケーションはスムーズに取れた、と。
はい。『フジ子さん』はチーム制で仕事を進めていくのですが、教え合ったり、フォローし合ったりすることが当たり前という空気があるんです。在宅ワークとはいえ、「一人で頑張らなくていいんだ」という安心感があります。
むしろ、やりとりを重ねていくうちにチームメンバーともお客さまともすっかり仲良くなりました。お客さまからも「『フジ子さん』はあたたかいね」と言っていただけたりするんですよ。離れていても信頼関係性が築けている実感が持てて、うれしいですね。
「扱ってきたツールは20以上」どんな業務にも対応できるマルチスキル
――『フジ子さん』では幅広い業種の企業からの依頼があると聞きました。村田さんは今、どんな業務を担当しているのですが?
私のチームでは、アパレル系や、教育関係、雑貨などの企画・販売を手がけている企業から、行政、個人のクリエイターの方まで、さまざまなお客さまを担当しています。
もちろん、お客さまごとにオンラインアシスタントに求められる内容も異なります。経理や財務だったり、ECサイトへの商品登録だったり、個人事業主の方であればスケジュール調整や会議室の予約手配といった秘書業務を担うことも多いですね。
私たちにできることなら全て任せていただきたい、というのが『フジ子さん』のスタイルなので、業務の幅に際限はありません。
一番印象に残っているのは、個人のお客さまからの「プロポーズのための花束を一緒に探してほしい」というご相談です。人生における大切なイベントに関わらせていただけるなんて感動しました!
――それはなかなかできない経験ですね! 幅広い業務を手掛ける分、求められるスキルや使うツールなども多様なのでは?
そうですね。企業によって、社内業務で使っているツールはそれぞれなので、これまでに20種以上のツールを使ってきたと思います。
いまだに初めて見るツールに出会うこともありますが、チームのみんなで「おっ!」とちょっとわくわくしてしまうんですよ(笑)
チームメンバーは、一人一人に得意な業務があるので、サポートし合いながら取り組んでいます。
――オンラインならではのコミュニケーション能力も求められますよね?
ええ。おかげで、テキストでのコミュニケーション力はかなり上がったと実感しています。
チームメンバーやお客さまとはチャットでのやりとりが多いので、テキストのみでも意図を正しく伝えることが重要です。
一言足りないだけで意味合いが変わってしまったり、印象を悪くしてしまうこともある。だからこそ、丁寧でポジティブな表現を常に意識しています。
最初の頃は、テキストコミュニケーションに長けている先輩からコツを教わりました。また、チーム内では、業務上で役立つ例文なども共有もしているので、とてもためになりますよ。
普段のコミュニケーションにも良い影響が出ているようで、最近では子どもから「ママ、怒らなくなったよね」と言われたりして。人間的にも成長できているのかな、と感じました。
――村田さんが感じているオンラインアシスタントのやりがいを教えてください。
やっぱり、お客さまから高く評価してもらえた時はやりがいを感じます。「助かったよ」「ありがとう」と、お客さまから直接感謝の言葉をいただくことも多いです。
時には業務の相談を受けることもあり、「信頼されているんだ」とうれしくなりますね。
また、『フジ子さん』では年に一度、最も頑張ったチームにトロフィーが贈られるイベントがあるんですが、昨年はうちのチームが表彰されたんですよ。会社からも努力を讃えてもらえて、光栄でした!
――働きやすさも、仕事のやりがいも、両方手にしたわけですね。
おっしゃる通りです。
完全在宅の働き方と、仕事のやりがい、成長機会に恵まれて、不安はあったけれど勇気を出してオンラインアシスタントにチャレンジしてみてよかったと心から思えます。
結婚・出産・育児などのライフステージの変化に合わせて、働き方を変えたいと願う女性にぜひおすすめしたい職種ですね。
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取材・文/上野 真理子 撮影(山中さん)/吉永和久