25 MAR/2021

【田辺莉咲子】身長147cm「小さくてもかっこいい」価値観つくりたい。批判・逆境も乗り越える“強さの秘密”

リアリティー番組への出演をきっかけに、同世代を中心に注目を浴びたフィットネストレーナー、パルクールアーティストの田辺莉咲子さん。

田辺莉咲子(たなべ りさこ)

田辺莉咲子(たなべ りさこ)
1998年1月14日、愛知県生まれ。抜群の運動神経とスポーツ経験を生かしてフィットネストレーナー、パルクールアーティストとして活動する一方、Net­flix 「TERRACE HOUSE TOKYO2019-2020」に出演するなど、タレントとしてもマルチに活躍。環境保護や動物愛護活動にも積極的に参加している。Instagramのフォロワー 数は28万人以上(2020年12月現在)
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現在はトレーナーとして活動する傍ら、スポーツバラエティー番組『スポテイナーJAPAN』(テレビ朝日)などにも出演している。

幼い頃からスポーツが大好きだったという田辺さんだが、実は「低身長」というコンプレックスを抱えながら、体と向き合う仕事を続けてきた。

また、今回のコロナ禍では“仕事の激減”も経験。さまざまな逆境が立ちはだかる中で、かねてからの夢だった自身初の著書『RISAKO’s RULE』(宝島社)の出版を叶えた。

なぜ、コンプレックスや逆境に負けず、折れない自分でいられるのか――。そう問い掛けると、天真爛漫な彼女らしい元気いっぱいの答えが、返ってきた。

身長147㎝。低身長コンプレックスが生んだ独自トレーニング

――バレエやパルクール(※)の要素を取り入れたユニークなトレーニングを実践されていますよね。そもそも、田辺さんが運動を始めたのはいつ頃だったのですか?

子どもの頃からですね。小学校1年生からバトントワリングという競技を始めて、高校2年生までの約11年間、毎日欠かさず練習してきました。

バトントワリングでは体を“動かす”ための筋肉が重要ですが、部活を引退してからは、美しく“見せる”ための体づくりにシフト。ボディーデザインのトレーニングに、どんどんのめり込んでいきました。

(※)パルクールとは、走る・跳ぶ・登るといった移動に重点を置く動作を通じて、心身を鍛えるスポーツ。移動術、トレーニングメソッド、パフォーマンス、アート、ライフスタイルや哲学など パルクールの捉え方は多岐にわたる

田辺莉咲子(たなべ りさこ)

――それから、現在のようなユニークなボディメイクの手法ができていったわけですね。

はい。昔は食べないダイエットや、重い器具を持って部位別に鍛えるボディメイクの手法が流行っていて、私もやってみましたが、それは全然続きませんでした。

だから、人がやっていることをマネするよりも、自分に合ったものを探すことの方がずっと楽しいなと思って。自分なりに試行錯誤していくうちに、「バレエ×パルクール」の要素を織り交ぜたトレーニング方法に行き着きました。

――田辺さんには、「こんな体になりたい」と思うような、目標とする人はいますか?

特定の誰かはいないですね。というのも、私、身長が147cmしかないんですよ。以前は、低身長であることがとにかくコンプレックスでした。

みんなが憧れるような、すらっと背が高くて脚が長い人を真似しようにも、どうにもバランスが悪くなってしまうので、ないものねだりはいさぎよく諦めました

――そこで、ご自身の体に合った「ちょうどいいバランス」を見つけよう、と。

はい。そのために、トレーニングの方法は本当に試行錯誤しましたね。低身長でもかっこよく、かわいく見せる体について、いろいろ考えて。

自分の体ととことん向き合った自負があるから自信を持って世の中に発信できるし、今では自分の体に自信を持てるんです。

批判の声さえも、“負けん気”で乗り越える

――コンプレックスを、受け入れられたのはなぜだったのでしょうか?

そうですね、自分にだんだんと自信がついていったからだと思うんですよね。あとは負けん気というか……。

――負けん気ですか?

テレビ番組に出るようになってから、「ボディメイクトレーナーなのに身長が低い」とか「足が短い」とか、容姿についてSNSで批判的なコメントをされることが増えました。

で、そういう時に「そんなに言うなら、私が『低身長でもかっこいい』っていう流行を絶対つくってやる!」って思いまして(笑)

――でも、傷ついてもいるわけですよね?

それはもちろん。うれしいことではないですからね。

ただ、私の容姿について批判的なことを言う人もいる一方で、「すごく共感する」「大好き、応援しています」という好意的なコメントを寄せてくださる方もたくさんいます。

いただいたメッセージにすごく励まされると同時に、私みたいに低身長で悩んでいる人、コンプレックスを抱えている人がいっぱいいることも実感して、そういう人たちにもっと自信をもってもらいたいなと思うんですよね。

田辺莉咲子(たなべ りさこ)

――“小さくてもかっこいい”という価値観、もっと広まっていくといいですよね。

はい。今、『スポテイナーJAPAN』という番組(※スポーツ+エンターテイナー=次世代スポテイナーの発掘を目指し、エントリー者が競い合う様子を追うテレビ番組)に出ているのですが、そこでは身長や体重関係なく同じ条件で競うんです。

体格が違う人と戦っているのを見て、勇気をもらえましたという声をたくさんいただきますが、それもすごくうれしいですね。「低身長でも1位をとってやる!」っていつも燃えています(笑)

「できること」を増やすと、「痩せる」は後からついてくる

――なぜ、そこまで前向きでいられるんでしょうか?

ネガティブな感情で過ごしていても、何もいいことはないって思うんですよね。もし、どうしてもネガティブになってしまうのであれば、何か一つでもいいので、日々の暮らしの中ですよ。

一番いいのは、体を動かすこと。腕立てとか、腹筋とか、いきなりたくさんやらなくてもいいので、5回できたら次は6回、次は10回と、目標を決めて取り組んでみてください。

昨日よりも成長している自分に気付くと、自然と自信が湧いてくる。「やればできる」って気持ちになってくると、すごく前向きでいられるんですよね。

田辺莉咲子(たなべ りさこ)

――小さなことから始めてみるといいんですね。でも、運動嫌いな人からすると、やはり継続がなかなか難しいような……。

運動が続かない人におすすめなのは、必ず「ちょっと頑張ったら達成できる目標」を持つことです。

ダイエットのために運動するという女性は多いと思うんですけど、「3キロ痩せる」みたいな目標って、目標達成までに時間がかかるし、生理などの体調変化で体重が戻ることもあるから挫折しがちなんですよね。

でも、「今日は腕立て30回やってみるぞ」っていう短期の目標だったらどうですか? 頑張ればクリアできそうですよね。

やったらできる目標を立てる、それを少しずつステップアップしていく、そういう風にトレーニングできると長続きすると思いますよ。

――なるほど。そうしているうちに、自然と痩せていきそうですね。

そうなんですよ。「3キロ痩せる」は、後からついてくるものでいいんです! 「できることを増やすこと」に夢中になっていると、自然と体は引き締まっていくものなので。

痩せないことで一喜一憂しなくていいから、心もヘルシーな状態でいられます。

コロナ禍での仕事激減。私生活に転機が訪れた

――昨年から今年にかけて、お仕事の調子はいかがですか?

実は、コロナの影響はすごく受けました。テレビ出演の予定がなくなってしまったり、1カ月くらいまるまるお仕事がなくなっちゃった時期もあったんですよ。

去年はアウトドア系の企画も何かやれたらと思っていたところだったので、そういうのもできなくなって。

思い通りにいかないことが多くて、苦しかったですね。自粛期間のストレスのせいか、珍しく体調も崩しましたし……。狭い部屋にずっといたせいか、狭いところが苦手になってしまって。

意外と自分は弱かったんだなとか、こういうことが苦手なんだなとか、いろいろ気付くこともありましたね。

今は海に近い広い部屋に引っ越して、体調も良くなりました。心地いい環境に身を置いて、清々しい毎日を送っています。

田辺莉咲子(たなべ りさこ)

――悩んだり、苦しんだりしたことで、自分を知るきっかけになったわけですね。

はい。もしも心がざわざわするときは、瞑想したり、ヨガをしたり、腹式呼吸をしたりして、リラックスすると心が落ち着きます。

――コロナ禍の自粛生活で気が滅入ったり、先の見えない状態に不安を感じている人も多いと思います。そういう女性たちに、ぜひ試してみてほしいことは?

やっぱり、体を動かすことですね。騙されたと思って、簡単なことからでもいいので、何か運動を始めてみてください。

これまで何も運動してこなかった方なら、すぐに自分の成長を感じられるはず。昨日より今日の自分、今日より明日の自分にできることが増えるのって、めちゃくちゃ楽しいですよ。

しかも、心と体の健康にもいい。遠い未来の目標を追い掛けるだけじゃなくて、日々変わっていく自分を楽しみながら、過ごしてほしいなと思います。

書籍情報

RISAKO’s RULE HAPPYをつくるトレーニングとライフスタイル』(宝島社)

田辺莉咲子(たなべ りさこ)

SNSフォロワー累計30万人以上!人気フィットネストレーナー、パフォーマーとして活躍中の田辺莉咲子。美BODYのヒミツを公開!“昨日よりキレイな自分”に。引き締まっていても女性らしく、低身長でもファッションを楽しむ!コンプレックスを強みに変えるライフスタイルブック

取材・文/太田冴  写真提供/宝島社