28 MAY/2021

「自分らしい働き方を追求したら、地下鉄・バスの運転士になっていた」横浜市交通局の女性に聞くフラットな仕事選び

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横浜市交通局

私たちの生活に欠かすことのできない電車やバスなどの公共交通機関。その運転士・乗務員といえば、「男の子が将来なりたい職業」で常に5位以内をキープするなど、昔から「男性の仕事」というイメージが強い。事実、駅やバスで見かける職員はいまだ男性が中心だ。

しかし、その中に女性の姿を見る機会が増えてきたと感じる人もいるのではないだろうか。今回登場する二人も、横浜市交通局でそれぞれ市営地下鉄の運転士と市営バスの乗務員として働く女性職員だ。

あまりにも専門的な職業。「電車やバスが好き」という熱い気持ちがあったのでは、と問うと、意外にも二人の答えはNOだった。

彼女たちはなぜ、この道を選んだのか。詳しく聞いてみると、「職業選びに対するフラットな視点」が共通点として浮かび上がった。

男性が多い、女性には似合わない、そんな外野の声に惑わされず、自分にとって大事なことを突き詰めたことでたどり着いた天職について、詳しく聞いた。

<地下鉄運輸職員・本田香澄さん(仮名)>
第二志望だった鉄道会社。「でも、意外といいかも」

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横浜市交通局 地下鉄運輸職員 本田香澄さん(仮名)

短期大学で観光科目を学んだ後、新卒で鉄道会社に入社。一度の転職を経て、家族の介護のために離職。2018年、横浜市交通局に入局。運転士養成科での研修を修了した後、動力車操縦者運転免許を取得。現在は運転士として乗務にあたっている

――現在、横浜市営地下鉄の運転士として働く本田さんですが、以前から電車の運転士という仕事に憧れがあったのでしょうか?

それが、全くなかったんです(笑)。元々はホテル関係の仕事がしたくて、観光科目のある短期大学に進学しました。

そこでは宿泊業の授業だけでなく、交通科目のカリキュラムも多く、交通や鉄道についても学んでいく中で、「意外と鉄道の道も面白いかも」と思うようになったんです。

就活の時は、勤務地や勤務時間といった労働条件も大事にしていて。ホテルが第一志望でしたが、労働条件の軸に照らし合わせると、交通会社も「ありかも」ということに気付き、結果、都内の鉄道会社に駅員として就職したんです。

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――駅員の仕事はどうでしたか?

都内の駅で、お客さまをご案内したり窓口を担当したりしていました。実際にやってみると、駅での仕事って「接客」なんですよね。「これ、私がやりたかった仕事だ!」と、率直に自分に合っているなと思いました。

駅で働く楽しさを知ったことで仕事の幅を広げたくなり、乗務員を志したのですが、残念ながらその会社には道がなくて別の鉄道会社に転職。その後、実家で親の介護をするために一度退職したんです。

――横浜市交通局には、どうしてご入局を?

介護が落ち着いてきてまた駅で働きたいなと思っていたとき、元同僚が横浜市交通局の存在を教えてくれたことがきっかけです。横浜市営地下鉄は他社との相互乗り入れがないから、乗り換え案内の説明が苦手だった私にぴったりだな、って(笑)

――他の職種や業種ではなく、駅員に戻りたかったのですね。

駅で働いていた経験とスキルを一番生かせるのは、やっぱり駅。自然と鉄道会社を探していました。

横浜市交通局に入局した後、初めは駅員として働いていましたが、周囲の先輩方から「せっかくだから、チャレンジしてみたら?」と背中を押してもらい、運転士養成科の選考を受けることにしたんです。

毎日同じ場所で働く駅員と違い、運転士は自らが電車を運転して日々いろんな場所に行くことができる。世界が広がるようなイメージでした。

かつて乗務員へのステップアップを目指していたように、鉄道の世界で自分ができることをもっと増やしていきたいという欲求が、私の中には常にあったんだと思います。

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「停める」ことが難しい。電車運転の奥深さと楽しさ

――実際に運転士として働いてみて、いかがでしたか?

運転士になるには、運転士養成科に入るための選考に合格し、学科や実技の研修を経て動力車操縦者運転免許を取得する必要があります。電車に詳しいわけではなかったので、専門用語を覚えるのも必死。最初は何が何やら、という感じでした。

実技では、特に電車を定位置に停めるのが本当に難しくて。何度やってもうまくいかず、もどかしくなることも多かったです。学科だけで3カ月、実技で半年間、一生懸命勉強し、練習して、どうにか今の私があります。

――やはり、電車の運転は難しいものなのですね。

とても難しいです。運転士になった今も、毎月勉強会があって、基地にある教習用施設に出向いて練習しています。ただ、技術の難しさ以上に、人の命を預かっている、という精神的な厳しさの方が強いですね。

車両故障やお客さま同士のトラブルなど、いつ何が起こるか分かりません。その電車に乗務しているのは私一人ですから、何かあった時にその状況に対処できるのも私だけ。しっかりしなきゃ、と思うと、いまだに足が震えることもあります。

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――そんな重圧がありながらも、この仕事を続けられるのはどうしてなのでしょう。

大変なことやプレッシャーはありますが、プライベートとのメリハリがある点が私に合っていると思います。

勤務シフトのサイクルの中で、「泊まり」の勤務が特に好きで。泊まり勤務明けは、日中に自由な時間がまとめて取れる、というのが最高なんです(笑)

あとはやっぱり、運転するのがとても楽しい。私はまだ2年目の新米ですが、少しずつ各列車の特徴も分かってきました。電車によって、運転の感触が全く違うんですよ。それぞれの特性を味わいながら運転するのはおもしろいですね。

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――運転士として、今後はどういったキャリアを歩んでいきたいですか?

横浜市交通局では、運転士として7年間務めると、マネジメントや教育者の立場になることができます。ゆくゆくはその立場に……とは思いつつ、まだそこまでのイメージは持てていないのが正直なところです。

運転士の使命は、お客さまの安心・安全を第一に、事故やトラブルなく運行すること。まずは運転士としての技術をしっかりと磨いていき、どんな状況でも戸惑うことのないよう、しっかりと経験を積んでいきたいですね。

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<バス乗務員・奥山ゆりさん(仮名)>
2児の母、専業主婦からバスの乗務員へ

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横浜市交通局 バス乗務員 奥山ゆりさん(仮名)

結婚を機に前職を離職し、2018年、横浜市交通局に入局。養成コースにて大型二種免許を取得し、現在は横浜市営バスの乗務員として活躍中。2児の母。時短制度を利用し、週3日の勤務スタイルで乗務にあたっている

――奥山さんは横浜市営バスの乗務員になる前は、専業主婦をされていたとか。どんなきっかけでこの世界に?

結婚を機に仕事を辞めてからはずっと専業主婦で、子どもも2人います。

ただ、夫が10歳以上年上なこともあり、万が一のことを考えると、私も何か手に職をつけて長く働いていかなければ、とは思っていました。そこで友人たちに相談していく中で候補に挙がったのが、バスの乗務員です。

――唐突ですね。

そうですよね、私も自分がバスを運転するだなんて考えたことすらなかったです。でも調べてみると、 横浜市交通局の場合、入局後に働きながら大型二種免許を取得することができたんですよ。

仕事をしながら、一生ものの資格を取ることができる。手に職をつけたいと考えていた私にとって、すごく魅力的でした。

手近なパートで働くという選択肢もありました。ですが、このコロナ禍を経験し、あのときバス乗務員を選んでおいてよかったと心から思いましたね。

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――とはいえ、飛び込むのにはなかなか勇気がいるお仕事かと思います。元々、運転はお好きだったのですか?

18歳の時に免許を取ってから、運転は大好きでした。なので、「バスもいけるだろう」くらいに思っていたのですが、いざ始めてみると、バスの運転は全くの別物。

乗用車とは車体の大きさも段違いですし、そもそもマニュアル車の操作法が思い出せない(笑)。バスの運転ってこんなに難しいの? と戸惑うことばかりでした。

ただ、今ではむしろバスの方が運転しやすいと感じます。理由は高さ。バスの方が車高が高いから見晴らしがよくて、安全に走れるんですよ。最初の戸惑いはほんの一瞬でしたね。

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――地下鉄の運転士の方も「安心・安全が使命」と仰っていました。

バスも同じです。研修でまずたたき込まれるのが、「私たちが乗せているのは荷物ではない。人間なのだ」ということ。やはり、お客さまの命を乗せているという緊張感はかなりのものです。

お客さまお一人お一人に大切なご家族がいる。命の重さは一人以上のものがある。それを肝に銘じて、日々運転しています。

――逆にバス乗務の面白さはどんなところにありますか?

いろいろなお客さまがいる、という点ですかね。

バスという乗り物が日常の一コマだからこそ、みなさん素の状態で乗車していらっしゃいますし、中には機嫌の悪い方もいらっしゃいます。例えば、乗車する時にICカードを強くに打ちつけるように乗ってこられるとか。

――ちょっとヒヤリとしますね。

でも、その方が降車時に「ありがとうございました」ってお礼の言葉をくださったりするんですよ。

きっと仕事で大変なことがあったり、家族とけんかをしてしまったり……いろんなご事情があると思うんです。

でも、そういった様子を見ていると、自分自身もちょっとやそっとのことでは動じなくなりましたし、先入観を持たずに人と接することができるようになったと思います。

おかげで、日常生活でもイライラすることが減りました(笑)

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一見ハードな働き方。でも「自分には合っていた」

――2人のお子さんを育てながらの勤務。両立に大変さを感じることはありませんか?

今は時短制度を利用して、週3日だけ働くスタイルで勤務しています。

勤務がある日のスケジュールは、朝3時ごろに起床して、朝ごはんやお弁当などの準備をした後、5時20分頃に出社。

15時30分くらいまでの乗務を終えたら幼稚園のお迎えに行って、夕食の支度をしてお風呂、寝かしつけ、という感じです。20時頃には限界を迎えます(笑)

――ものすごくハードですね! 

私は朝型なので、むしろスッキリ働けています。今はこのスタイルを選択していますが、勤務形態は4種類あって、その中から自分で選べる仕組みになっているので、その時々に合わせた働き方に変えていけるんですよ。

私が所属している営業所には、他にも二人の女性乗務員がいて、うち一人は小さいお子さんを育てながら働いています。会社の制度や理解のおかげで続けられていると感じますね。

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――育児をしながら活躍している女性がいることは、後輩の女性職員の方にとっても心強いですね。今後は、どのようなキャリアを考えているのでしょうか?

さらに経験を積んで、いずれは新人ドライバーの方に実技を教える「師範」という立場になることが目標です。

実は4月から、優良ドライバーの証である「マスタードライバー」に認定されました。これまでの努力を認めていただいたのかな、と感じて、とてもうれしいです。

専業主婦からバスの乗務員になってこうして働けているのは、職場の皆さんのおかげ。だから、いつか師範になって、これまでの恩を返していきたいですね。

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帽子に入ったシルバーのラインがマスタードライバーの証

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取材・文/太田 冴 撮影/竹井俊晴