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JUN/2021

【武田梨奈】「悔しさこそ、原動力」弱み、敗北、負の感情も“悪くないさ”と受け入れる空手女優の生き方

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Another Action Starter

日々の暮らしの中で、ちょっとしたチャレンジをすること。それが、Woman typeが提案する「Another Action」。今をときめく女性たちへのインタビューから、挑戦の種を見つけよう!

ピンクのワンピースをまとった女の子が突然頭突きで瓦を割る。そんなセゾンカードのCMで絶大なインパクトを残した俳優の武田梨奈さん。10歳で始めた空手を武器に、現在は海外でも活躍している。

しかし、最新主演映画『ナポレオンと私』には、ある“新しい挑戦”があったという。

武田梨奈

新たな挑戦をするときは、多くの人が悩む。もし失敗したら、悔しい気持ちを味わうことにもなる。だからこそ、人は挑戦を恐れるのだろう。

だけど、その恐怖心こそが「挑戦を続けるために欠かせないもの」だと武田さんは語る。武田さんの挑戦の原動力について、話を聞いた。

慣れないことをやるときほど、周囲の声に耳を傾ける

武田さん

今までもラブコメ寄りの作品をやったことはあるんですけど、頭をポンポンされるとか、ほっぺたをギュッとされるとか、王道のキュンキュンポイントがあるシーンはやったことがなかったので、今回はすごく新鮮でした。

ちょっと照れ臭そうに撮影を振り返る武田さん。映画『ナポレオンと私』は、恋愛ゲームアプリの世界から飛び出してきたキャラクターであるナポレオンによって、自分に自信のない主人公が成長していく等身大のラブストーリーだ。

武田さんは、周囲の結婚ラッシュに焦りを感じる28歳の主人公・春子を演じた。

武田さん

春子を演じる上でのテーマは、普通っぽさ。作品タイトルに『私』という言葉が入っているように、観てくださる方々が春子に自己投影して『私の物語』として楽しめるよう、どこにでもいそうな普通の女の子を意識しました。

武田梨奈

日常ではなかなか味わえないときめきを楽しめるのがラブコメ作品の魅力。ただし、それにはヒロインが「愛されるキャラクター」であることが重要だ。

同性の観客から反発を招くヒロインでは、その存在がノイズとなって作品世界に没入できなくなる。

武田さん

そこが紙一重で、難しかったですね。印象的だったのが、春子がナポレオンに『キスして』と迫るシーン。私は最初、本気モードでナポレオンに『キスして』と言ったんです。するとプロデューサーを含めた女性スタッフの皆さんが『今のだと、春子が誘惑しているように見える』って。

あそこはいっぱいいっぱいになった春子が、つい投げやりになって『キスして』と言ってしまうシーン。そこに誘惑のニュアンスが入ると、一気に春子が女性から見て嫌な女の子になってしまうんですよね。

武田さん

そういう意味でも、スタッフの皆さんにはたくさん助けてもらいました。初めてのことや、経験の少ないことにチャレンジするときほど、周囲の声に耳を傾けることが大事だというのが私なりの考え。

今回は、チーム一丸となってみんなで春子というキャラクターをつくれたので、すごくやりやすかったです。

「私なんか」から「私にはこれがある」と胸を張れるようになった

武田梨奈

武田さんにとっての映画初主演は、2009年の『ハイキック・ガール!』。ワイヤー、スタント、CGを一切使用せず、本格的なアクションを披露し、一躍アクションスターとしての資質を開花させた。

以降、「空手」や「アクション」は武田さんの代名詞に。だが、人気シリーズとなったドラマ『ワカコ酒』や今回の『ナポレオンと私』のように、近年はアクションとは離れた作品でも活躍を見せている。

武田さん

空手の印象が強いからか、どうしても『強い』というイメージを持たれやすいんですけど、私の中にも別の一面はある。なので今回のような作品のお話をいただけるようになったことが、すごくありがたくて。等身大の女性を演じることで、これまでとは違った一面を見せられるのは、やっぱりうれしいですね。

今でこそ自身のパブリックイメージに対してフラットに語る武田さんだが、かつては「空手」や「アクション」のイメージが強過ぎることに戸惑いを覚えたこともあった。

武田梨奈
武田さん

学園モノのオーディションに行った時に、面接官の方に言われたんです。『何で来たの? 君、空手の人だよね。これ、学園ドラマだよ』って。

それまで空手は自分の武器だと思っていたけど、それしか見てもらえない難しさもある。空手のイメージに縛られ過ぎてしまうことが、仕事を続けていく上で足かせになってしまうのではと悩んだ時期がありました。

強みがあることが、新しい挑戦を妨げる。時に自分の弱みになってしまうこともある。そんなジレンマを武田さんはどう乗り越えたのだろうか。

武田さん

2年ほど前に各国のアクション俳優やアクション監督が集まって、アジアにおけるアクション映画開発のための国際会議に招待されました。

どうして私なんだろうと驚いて聞いてみたら、『日本でマーシャルアーツ(武芸)を身に付けた上で、お芝居ができる人はなかなかいないんだ』と。今まで接したことのないはるか遠い国の方々に、私のやってきたことを認めていただけことがうれしくて、この武器は大切にしなきゃいけないと思えるようになりました。

武田梨奈

自分の頑張ってきたことをちゃんと自分自身で認められるようになり、武田さんの思考にも大きな変化が生まれた。

武田さん

今回演じた春子みたいに『私なんか』が口癖になっていた時期もありました。もちろん、今でもそう思うことはよくあります。

だけど、『私なんか』のあとに『でも、私にはこれがある』と言えるようになった。ずっと続けてきた空手のおかげでもありますし、新しい挑戦をするときに支えになってくれているのを感じますね。

武田梨奈

強くなれるのは、いつも試合に負けた後だった

武田さんは決して自分に自信がある方ではないと言う。それなのに、どうして芸能界といういろいろな人から注目される場所で挑戦し続けることができるのだろうか。

そんなことを考えながら話を聞いていたら、武田さんがインタビューの中である言葉を何度も繰り返していることに気づいた。「~~することは悪いことではない」と。

武田梨奈
武田さん

私はよく悩む性格で、お仕事についての悩みも尽きません。俳優の仕事って正解がないし、ゴールもない。だから、どこに向かって進めば良いのか迷子になることもよくあります。

でも、悩むって悪いことではないと思うんですよね。悩めるということは、それだけ真剣に考えている証拠。何にも興味や関心を持てない方が、ずっとつらいような気がして。

何かに迷ったりモヤモヤしても、悩むことは悪いことではないと思えるようになってからは、思考がポジティブになりました。

振り返れば、こうして俳優として世に出るまでも苦労の連続だったという。

子どもの頃から俳優になりたいと思っていた武田さんは、オーディション雑誌を調べては、片っ端からオーディションを受け続けた。しかし、簡単にチャンスはつかめない。これまで落ちたオーディションの回数は300回を超える。

武田さん

それでも気持ちが折れなかったのは、悔しいという思いが強かったから。オーディションで一緒に審査を受けていた子がテレビや映画に出て、活躍していくのを見て、自分もいつか、って燃えていました。

今では国内外の映画祭で数多くの女優賞を受賞。着実に地盤を築いているが、悔しさの火は依然消えない。

武田梨奈
武田さん

今もまだ、仕事関連で悔しいと感じることはあります。たぶん私の体の半分は悔しさでできているんじゃないかと思うくらい(笑)。

でも、空手もそうですけど、試合に勝ち続けているときって、成長を感じられないんですね。強くなれるのは、試合に負けたあと。今度は絶対勝てるようにって研究もするし、努力もするから。 私にとって、悔しさは前に進むための原動力なんです。

だから言う、「悔しがることは悪いことではない」と。

武田さん

カンフー映画『ベストキッド』の中で、けがを負った主人公がそれでも試合に出たいと訴えるシーンがあって。ジャッキー・チェン演じるお師匠さんがどうしてそこまで戦いたいんだと尋ねるんですけど、それに主人公は『まだ怖いから』と答える。私はこの台詞にすごく共感しているんです。

怖いからって逃げたら、何も変わらないまま。たとえ負けても試合に出たら、意志を持って立ち向かったんだという自信が残る。

武田さん

もし私が挑戦を続けられる理由があるとしたら、きっと臆病だからだと思います。怖いと思う気持ちがある限り、挑むことができる。本当に怖いのは、自分から怖いという気持ちがなくなってしまうこと。自分に満足してしまったら、私の人生は終わりだと思います。

武田梨奈

衣装:ドレス ¥42,900(RIEKA INOUE GNU TEL:︎03-4405-4089)/サンダル ¥31,900(HENRI EN VARGO   TEL: 03-3806-6571)/ピアス ¥2,080(ROOM   TEL: ︎03-6825-8508(株式会社 サードオフィス))※全て税込み

うじうじと悩むことも、唇をかむような悔しさも。正と負に分ければ、負の感情だ。でも、そんなネガティブな気持ちを「悪いことではない」と受け入れることで、人は今よりほんの少し強くなれる。

逆境も、困難も、クローズアップすると苦しさしかないけど、人生というロングショットで見れば、そのときの自分に必要な糧だったと思えるのかもしれない。何が起きても「それも悪いことではない」と捉えることができたら、不安と恐怖でいっぱいの“Another Action”ももっと楽しめるはずだ。


<プロフィール>
武田梨奈(たけだ・りな)

1991年6月15日生まれ。神奈川県出身。2009年、『ハイキック・ガール!』で映画初主演。2015年、『ワカコ酒』で連続ドラマ初主演を務める。日本を代表するアクション女優として、国内外を問わずさまざまな作品に出演。主な受賞歴に、第1回ジャパンアクションアワード、ベストアクション女優最優秀賞(2013年)、第24回日本映画プロフェッショナル大賞 新進女優賞(2015年)、ロサンゼルス日本映画祭 最優秀主演女優賞(2015年)など 
Twitter:@TakedaRina
Instagram:rinatakeda615

取材・文/横川良明 撮影/洞澤 佐智子(CROSSOVER) ヘアメイク/寺下舞 スタイリスト/トリイクニコ

作品情報

映画『ナポレオンと私』

ナポレオンと私

全世界でのシリーズ累計会員数3,000万人突破! 配信中のタイトルは12タイトルに渡り国内外で多くの女性が熱中している大人気恋愛ゲームアプリ「イケメンシリーズ」のスタッフが贈る、初のオリジナルストーリーによる実写映画。

人生迷子の主人公・春子を実力派女優・武田梨奈が熱演!ゲームの世界から現れた英雄・ナポレオンには、スーパー戦隊シリーズ出身のイケメン俳優・濱正悟。 主人公・春子が憧れる会社の先輩・岩田伸吾には、 恋愛ゲームアプリ「イケメンヴァンパイア◆偉人たちと恋の誘惑」で声優として参加している染谷俊之。春子の同僚役に綾乃彩、岡林佑香らフレッシュなキャストも参加しています。

メガフォンをとったのは、映画『あの 娘、早くババアになればいいのに』(14)や乃木坂46のミュージックビデオなど多数の映像作品を手がける頃安祐良監督。 人生や仕事に悩める女性たちが前向きに生きるためのエールを送ってくれる作品です。

ナポレオンと私

武田梨奈
濱 正悟 染谷俊之
監督:頃安祐良 脚本:鈴木規子
映画公式HP:https://napowata.com/
©CYBIRD 公開日:2021年7月2日(金)より池袋HUMAXシネマズほか全国公開

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