【体験談】時短ワーママの私がスタートアップ企業の選考を受けて困ったこと・うれしかったこと
仕事か、プライベートか。働き方を二者択一で考える時代はもう終わり。「仕事のやりがい」も「子育て」も。全部諦めないと決めた“仕事大好きママ”の「時短転職」体験記をお届けします!

時短勤務でもやりがいを持って働くために転職したい。そんな決意を固めて転職活動を始めた私(詳細は前回の記事をご覧ください)。
>>時短勤務の転職に挑戦した私が職務経歴書づくりに3カ月を費やした理由
毎日の仕事、育児に家事、ただでさえ時間がないワーママの私が、あえて職務経歴書づくりに丁寧に向き合ったこと、転職活動を効率的にするために、どんな行動をしたのかを振り返って書きました。
今回の記事では、転職活動の道中どんな気持ちを抱いたのか、どんな想定外のことがあったのか、よかったことや難しかったことは何か、当時の気持ちを振り返ってみます。
転職活動中、不安が募ったときにやったこと
転職活動にかかる時間は人によってそれぞれ。あっという間に決まる人もいれば、忙しくて活動に行き詰まる人もいる。その時のライフスタイルや、運とタイミングでも結構左右されます。
子どものいる生活はハプニングだらけ。だからこそ、もともと時間をかけて転職活動をするつもりでした。
でも、やっぱり心の底では焦りがあったのも正直なところ。
トントンと面接が決まったと思えば、お見送りになったり、一次面接まで一気に決まったかと思ったら、二次面接に向けてのお返事がなかなかこない……なんてことも。その不安定なテンポに、気持ちを揺さぶられました。
そうこうしているうちに、仕事の繁忙期がやってきました。
会社が繁忙期に入ると、全くといっていいほど転職活動をする時間がありません。いつも以上に時間ギチギチで働き、時間内に仕事が終わらなければ、残業でなんとか埋め合わせ。子どもの延長保育も頻発し、ダッシュで帰宅する……。そんな生活サイクルに入ると、転職活動どころではありません。

子どもが3歳になるまでの、1年半の間に決着をつけたいと考えていましたが、繁忙期に全く身動き取れなくなることを考えると意外と時間がないことに途中で気付き、さらに焦りが増していきました。
そこで、人材紹介エージェントの担当者と、しっかり話し合いの場を持つことに。現職の仕事のペースを維持しつつ、できるだけ複数の企業の選考を同時に進められるようなスケジュールを組んでもらうようにしました。
そして、担当者には自分が感じている焦りや不安も隠さず話しました。一人では抱え切れないモヤモヤする気持ちを誰かに伝えることで、自分のバランスを保っていくことも、仕事に育児に日々忙しいワーママの転職活動では大事なのかなと思います。
スタートアップ企業の選考は想像以上にスピーディーだった
今回の転職活動で「フレキシブルな働き方」「時短勤務」を重視していた私は、主にスタートアップ企業の面接を受けてました。
そこで、私が翻弄されたことがもう一つあります。それは、スタートアップ企業の選考ならではの独特なスピード感と仕組みです。
特に独特なのは、選考中のポジションチェンジの打診です。最初にAというポジションで選考が進んでいても、途中で「実はこちらの方が合うんじゃないか?」と企業側が適正を見いだし、Bというポジションで再打診されることも。結果、新たなポジションで再度面接をし直したりします。
実際複数の企業で営業→広報、広報→マーケティングと、ポジション変更の打診をもらい、面接を受け直すことがあり、想像以上にエネルギーを使いました。

とはいえ、ポジションに人を無理やりはめ込むのではなく、人に対してポジションを合わせるという意味では、入社後のマッチングはより高いのでは、とも感じました。
「個人と企業との相性を真剣に見てくれる」という意味ではとてもうれしい仕組みでもあります。
もう一つ独特なこと。それはスタートアップ企業は内定から採用までが早く、決断や退職交渉をスピーディーにしないといけない点です。
内定から1カ月で入社してほしい、という企業も多く、他の企業と比較検討するのは難しいスピード感。現職を退職するにもかなり急いで、という状況だったので驚いたことを覚えています。
また、コロナ禍に選考を左右された部分もありました。
私が転職活動をしていたのは、ちょうど新型コロナウイルスの感染が拡大し始め、新しい生活様式への移行が進んだ時期。
企業も続々と採用活動を見送り始め、最終面接に進んでいた5社のうち2社が途中で採用活動クローズになりました。
面接が取り消しになった時、「これからどうなるのだろう」という不安が込み上げてきました。
数年前の常識はもう通用しない? 転職活動のIT化が進んでいた
ただ、今回転職活動をしてみて、数年前の状況とはいい意味で変わったこともたくさんあると感じました。

前回の記事で紹介したワーママ専門のエージェントが増えていたり、時短勤務やリモートワーク可の求人が増えていたこともその一つ。
また、「転職活動のIT化」が進んでいたことも、私にはうれしい変化でした。
例えば、履歴書や職務経歴書の提出。以前は手書き書類の郵送を求められることもありましたが、今回は全てデータの提出で済みました。
データだと一度作ってしまえば、それをベースに各企業向けに少しずつカスタマイズして提出ができますし、紙に一枚一枚書いて、写真を貼って、という作業がなくなっただけでも非常に効率的だと感じました。
もう一つありがたかったのは、やりとりに『LINE』を導入しているエージェントがあったこと。通勤中や休憩時間にさっとキャリアアドバイザーとやりとりができるので質問や相談がしやすくてものすごく助かりました。
また、エージェントとの面談や企業との面接も、以前は対面が基本でしたが、それもオンラインでの会話が基本となり、オフラインで会うことのないまま転職活動を終えるケースもありました。
企業との面接は、会社の雰囲気をつかむためになるべく対面で話す機会を設けてもらっていましたが、オンライン面接の場合はお昼タイムなど日中のスケジュールにも入れられたので、そこはとても便利でした。
まさに、IT化の恩恵を存分に受けた転職活動だったと思います。
ちなみに、私が今働いている企業は役員面接がオンラインだったのですが、その役員の方とオフラインで対面できたのは、入社してから半年後のことでした。
一度も直接会わなくても、こうやって転職できるものなんだな……時代は変わったな、と驚きました。
仕事を頑張りたい時短ワーママを採用してくれる企業との出会い
そして、転職活動をしている中で、一番うれしかったこと。それは、仕事を頑張りたいワーママを歓迎してくれる企業とたくさんで会えたことです。
「ワーママだからダメ」「時短勤務だとちょっと戦力にはならない」など、そういう言葉をぶつけられることもあるんだろうな……と不安だったのですが、決してそんなことはありませんでした。

私が選考を受けた企業に関しては、短い時間でも効率よく働いて成果を出し、熱意を持って仕事に取り組める人かどうかを重視してくれていたと思います。
中には、1日の労働時間を細切れに活用して中抜け時間を挟むなど、フレキシブルな働き方をしても期待する成果が出せるならよし! としているところもありました。
また、某企業の面接の時に採用担当者に声を掛けてもらって印象に残っている言葉があります。
それは、「お母さんになったからといって一度身に付けたスキルがなくなるわけではないし、子育てと仕事の両立の中で磨いたマルチタスクをこなす能力をぜひ生かしてほしい」という言葉です。
前職の上司や人事に言われた「お母さんなんだから……」という言葉を思い出し、環境さえ変えればちゃんと今の自分の価値を認めてくれる人がいるんだと、うれしくて涙が出そうになりました。
こうしてコロナ禍で転職活動を行い、なんとか内定をいただいた会社に飛び込むことになった私。雇用条件、会社の環境や一緒に働く人の雰囲気など、あれこれ観察し、社員と話を重ねて吟味しましたが、最終的に入社の決め手になったことがあります。
それは一体何か。次回のコラムで紹介します。
※次回、11月上旬公開予定です

【著者プロフィール】
永見 薫
1982年生まれ、東京都在住の会社員兼ライター。3歳児のママ。不動産系企業を複数経て、2020年6月に時短勤務転職をして、再生可能エネルギーの事業会社へ。「暮らすこと」と「働くこと」が交じり合ったライフスタイルが理想。サスティナブルやまちづくり、働くことに興味があり、関心分野の取材やインタビュー記事を執筆中。◆note ◆Twitter
文/永見薫