【転職体験談】採用面接で「微経験」をアピールするには? 20代女性3人の“キャリアスライド”成功実例
未経験ではないけれど、実務経験が豊富にあるわけでもない――。“ちょっとだけ経験のある仕事”に新しくチャレンジしてみたい人へ、後悔しない「微経験転職」を叶えるヒントを紹介します!

「新しい仕事にチャレンジしたい」「でも、キャリアをゼロから築くのは不安」。そんな二つの思いの間で揺れる人は、少なくないだろう。
そこでぜひ知ってほしいのが、「微経験転職」という方法だ。
「微経験転職」とは、実務経験が豊富にあるわけではないけれど、別の仕事に応用できそうな“ちょっとの経験”=微経験、を生かして新しい仕事にチャレンジすること。
職種を変えることでキャリアをゼロリセットするのではなく、すでにある経験やスキルを生かした転職で、キャリアをスライドする方法として紹介してきた。
>>新しい仕事に挑戦しても「キャリアをゼロリセットしない」微経験転職のすゝめ:キゃリアカウンセラー水野順子さん
>>謙遜、知ったか、盛りすぎ注意!「微経験転職」失敗あるある5パターン【キャリアアドバイザーの本音 えさきまりな】

この記事では、実際に「微経験転職」に成功した女性たちの体験談を紹介。彼女たちは転職活動で自身の微経験をどうアピールし、キャリアスライドをかなえたのか。
販売から営業へ、営業から広報へ、イベント企画職からエンジニアへ。希望職種への転身をかなえた3人に詳しく話を聞いた。
前職:アパレル販売 現職:営業職
大学卒業後、アパレル企業に入社。店舗スタッフとして販売業務に従事し、2年目からは副店長に。入社から3年半のタイミングで、人材ビジネスを手掛ける企業の法人営業に転職
Bさん
前職:営業職 現職:広報
大学卒業後、人材系企業に入社し法人営業として4年間勤務。採用・研修業務に携わった後、映像制作会社に広報職として転職。現在はインターネットサービスを展開する企業にてマーケティングに携わっている
Cさん
前職:イベント制作スタッフ(プログラミングスクール卒業) 現職:エンジニア
大学卒業後、イベント制作会社に入社。半年後に退職し、プログラミングスクールへ入学。卒業後も自己学習を重ねた後、自社サービスを持つ企業にエンジニアとして入社
“微経験転職”最初の一歩は、「今あるスキル」と「やりたいこと」の共通点探しから
微経験転職の最もシンプルな方法は、「前職に近い仕事内容」や「前職でつちかったスキルが生きる仕事」を見極め、キャリアをスライドさせることだ。
アパレル販売員を3年経験したAさんが営業職への転職を決めたのも、仕事内容に共通点が多くこれまでの経験を生かせるイメージが湧いたからだった。
アパレル販売の仕事は好きでしたが、副店長以降のキャリアが見えなくて、将来に不安を感じて転職活動を始めました。
人材紹介のエージェントでキャリアアドバイザーに相談したところ、販売員と同じように『物を売る仕事』である営業職を提案されたんです。
確かに営業職なら、販売員の経験も生かせそうだし、法人相手の提案スキルも身に付いて一石二鳥かも、と思いました。
面接では、販売職として磨いたスキルをどう営業の仕事に応用できるかを意識して自己アピール。それが企業からの評価につながったのではないか、と振り返る。
面接では、販売員としてどのように売り上げを伸ばしていったのか、売り上げが伸び悩んだ時にどんな改善策を講じたのかなど、具体的な取り組みを話すように心掛けました。
営業も、成果が上がらずに苦しい時期がある。そんな時に、販売員時代に試行錯誤してきた経験が生きると感じてもらえたのだと思います。

また、「前職でつちかったスキルが生きる仕事」として営業から広報へとキャリアをスライドさせたのがBさんだ。
前職は人材業界で、求人広告の法人営業を担当していました。
主に20代の採用に携わっていたので、自分自身が20代後半になった時に、「人材業界や営業職から離れた時、私の市場価値はどの程度あるんだろう」と気になったんです。
これまでの経験が他の仕事でどう生きるか知りたくて、転職活動をしました。
Bさんが選んだのは、映像制作会社の広報。業界も、職種も変える転職だったが、選考では営業職として磨いた提案スキルや経験が大いに評価されたという。
当時は新規開拓を中心とした法人営業を行っていたので、広報として社内外へのアプローチや、PR企画の提案に生かせることをアピールしたんです。
結果的に、営業経験が買われて内定となりました。

独学で「未経験」を「微経験」に変えていくこともできる
さらに、微経験転職では、Aさん・Bさんのように「前職の経験を生かして新しい職種にスライドする」パターンだけではなく、副業や独学で身に付けた知識・スキルを生かすパターンもある。
Cさんは、前職ではイベント制作会社のスタッフとして働いていたが、「自分の手で何かを生み出せる仕事」「手に職が付く仕事」を求めてエンジニアへの転身を決意。
実務経験のなさを補うべく、プログラミングスクールに通い、独学でエンジニアリングに必要な知識を身に付けることから転職活動をスタートさせた。
エンジニアになりたいとは思ったものの、未経験だったので自分に向いているかどうか分からない。なので、まずは基礎を学んで適正を探ってみようと思いました。
それに、転職するからにはなるべく良い条件で……とも思っていて。応募できる企業の選択肢を増やすためにも、「完全未経験」ではなく「知識はあるけれど実務経験がない」くらいの状態にしたかったんです。
ですから、できる限りの勉強はしておこうと考えていました。

Cさんは前職を退職後、スクール入学のための予習を約2カ月、プログラミングスクールで3カ月、卒業後も独学で約3カ月学び、プログラミング言語のRubyを習得。採用面接では、「自主的に学ぶ姿勢が評価されて内定をもらえたと思う」とCさんは言う。
採用面接では、何をどうやって学んだのか、なぜそのプログラミングスクールを選んだのか、エンジニアになるために努力したことを詳しくお話ししました。
他にも、最新技術に関する本を読んでいることも伝え、入社した後も自主的に学習ができることを伝えられたと思います」
転職後に発揮する、微経験転職ならではの「バリュー」
それぞれの微経験が評価され、キャリアスライドを実現した3人。入社後の仕事の中で、微経験が生きる瞬間はあったのだろうか。
営業職に転身したAさんは、販売職としてつちかってきたコミュニケーションスキルが存分に生かされていると話す。
アパレルブランドで働いていた時は、その服がお客さまに似合うか似合わないか、正直に伝えるようにしていました。
営業になってからも、クライアントからの要望を全て飲むのではなく、しっかりと「これはやりましょう」「それは別案を考えましょう」と物おじせずにお伝えできていると思います。
また、クライアントから何かオーダーを受けたり、質問をいただいたりした時にスムーズに受け答えができる瞬発力を「さすが販売経験者だね」と上司や先輩に評価されたことも。
人と関わる仕事を続けてきた私にとっては当たり前のことでしたが、これも自分の強みなんだな、と気付きました」(Aさん)

営業から広報へとキャリアスライドしたBさんも、「営業経験があったからこそ、能動的な広報活動ができている」と実感を語る。
広報になってからも、自らテレアポしてメディアの開拓をしています。代理店からの紹介やメディア側からの提案を受け身で待つのではなく、能動的に広報活動ができているのは、4年間の営業経験があってこそ。
広報同士のコミュニティーに積極的に参加したり、他社の広報担当者とのパイプを構築したり、人脈づくりをすることも営業時代からやっていたことなので全く苦になりませんでした。
営業としてたくさんのクライアントと関わってきた経験が生きていると感じましたね。
Rubyを習得してエンジニアデビューを果たしたCさんは、「実は、入社してからまだRubyは使っていないんです」と明かす。しかし、自身の学びは無駄ではなかったと力強く語った。
入社した会社のサービスはJavaで開発されていたので、またゼロから勉強か……と最初は不安になりました。ですが、いざ始めてみると、案外するっと理解できたんです。
入社前にRubyを一通りマスターしていたので、プログラミングの基礎が身に付いていたようで。一つの言語をとことん勉強しておいて良かったな、と思いました。
とはいえ、エンジニアとしての実務経験はない。入社後に位置から覚えることは山ほどあったとCさんは言う。
言語の知識がいくらあっても、仕事にはなりません。例えば、開発をどう進めていくのか、システムのロジックがどうなっているのか……実際に仕事を始めてみると、分からないことだらけでした。
なので、上司や先輩に質問をして一つ一つ分からないことを潰していって。知ったかぶりをしたり、自分を過信するのは厳禁。周囲に助けをあおぎながら、仕事をちゃんと理解できるように努力することが必要だと感じました。

最後に、「微経験転職」のメリットを改めて聞くと、広報として順調なキャリアを歩み出したBさんは、次のように話す。
私は広報は未経験だったので、「一般的な広報の仕事」が分からない状態で入社しています。
経験がないのはデメリットにもなるけれど、裏を返せば、広報の定説に縛られず、営業経験を生かして新たな風を吹き込むことができるということ。
固定観念に縛られない転職者の声を、歓迎してくれる会社は多いと思いますよ。
3人の転職実例をヒントに、自分の微経験を生かしてできるキャリアスライドを検討してみてはいかがだろうか。
取材・文/秋元 祐香里(編集部)
『微経験転職のすゝめ』の過去記事一覧はこちら
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