15 FEB/2022

結婚、出産…いつするか分からないのにキャリアプランなんて立てられない! 迷ったときに試したい三つの行動

live your life

「転職や独立は、出産後の方がいいの?」
「いつ結婚、妊娠するか分からないからキャリアプランが描けない」

こんな質問やご相談をいただくことがあります。

キャリアに迷い

結婚、出産など、人生における大きな出来事を「ライフイベント」と呼びますが、これらをキャリアにおいてどうとらえ、どうプランニングしていくかは女性にとって非常に難しいものです。

なぜなら、価値観が多様化する中で、ライフイベントのあり方も多様化してきているから。結婚する・しない、子どもを産む・産まない、どちらの選択もあり得ます。

多様化する現代人のライフスタイル。30代前半で女性の未婚率は30%超

例えば、就職に関しては96%の大学生が就職します(※1)が、一方で結婚や出産となるとどうでしょうか?

下図を見てみてください。こちらは年齢別の未婚率(結婚したことがない人の割合)のデータです。

厚生労働省ホームページより「年齢階級別未婚率の推移」

厚生労働省ホームページより「年齢階級別未婚率の推移

2015年の時点で30歳~34歳の男性のうち47.1%、女性は34.6%が未婚となっています。

1990年まで時代をさかのぼると、同年代の男性の未婚率は32.8%、女性は13.9%でしたから、時代を追うごとに年代ごとの未婚率が高くなってきていることが分かります。

50歳時の未婚割合についても年々上昇が続いていて、男性の23.4%、女性の14.1%が未婚となっています。

この割合はさらに上昇が予測されており、2040年時点で50歳男性の29.5%、女性の18.7%が未婚と推計されています(下図)。

厚生労働省ホームページより「50歳時の未婚割合の推移」

厚生労働省ホームページより「50歳時の未婚割合の推移

結婚する場合も平均初婚年齢は上昇が続いています。

第一子出生時の母親の平均年齢は1980年に26.4歳であったものが、2011年には30歳を超え、2016年には30.7歳です(※2)。また、東京都内に関して言うと全国平均よりさらに高く、第一子出生時の母親の平均年齢は32.3 歳となっています(※3)。

私は38歳で結婚、2018年に39歳で出産したので高齢出産でしたが、出産した都内の病院では同世代のママさんが決してめずらしくはありませんでした。

夫婦の約2.9組に1組が「不妊を心配した」経験あり

また、晩婚化が進むにつれて、不妊治療中の人も増えています。日本では不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦は18.2%となり、これは夫婦全体の約5.5組に1組にあたります。

出典:厚生労働省『不妊治療と仕事の両立ハンドブック』

出典:厚生労働省『不妊治療と仕事の両立ハンドブック

不妊を心配したことがある夫婦は35.0%となり、これは夫婦全体の約2.9組に1組にあたります(※4)。

しかしながら、不妊治療と仕事を両立できない人は厚生労働省の資料によれば3割以上にのぼっており、社会的な問題となっています。

介護や転勤、周囲の影響も。キャリアやライブイベントは計画し尽くせない

さらに、ライフイベントを考えるときに結婚や出産だけではありません。

例えば、私が共同代表を勤める会社では女性たちにフリーランスやリモートワークのお仕事を紹介する事業を行なっていますが、地方や海外在住の人が少なくありません。

その多くは「駐妻(駐夫)」と呼ばれる「海外駐在員の配偶者」です。

「日本人海外駐在員配偶者(駐妻・駐夫)のキャリア継続に関する調査」をしたことがありますが、アンケートに回答した400名弱の人のうち配偶者の海外駐在に帯同している人の98%が女性で、回答者のうち約6割が海外駐在帯同によって働くことをあきらめざるをえなかったと回答しています(※5)。

ライフイベントにおいては自分自身のことだけではなく、配偶者の転勤や家族の病気など周囲の影響も非常に大きいのです。

それだけに、キャリアの不確実性はきわめて高く、プランニングし尽くせるものではありません。

キャリアに迷ったときに大切にしたい三つのポイント

では、ライフステージ変化の見通しが立たない中で今後のキャリアをどう考えていったらいいのでしょうか? 迷ったときに大切にしてほしいポイントが三つあります。

ポイント1.「見えない不安」にとらわれ過ぎない

社会全体で、平均初婚年齢や第一子の出産年齢が上がっていることはお伝えしたとおりです。また、生涯未婚の人も増えています。

「子どもが生まれたら仕事を続けられなくなるかも……?」と悩む声はよく聞きますが、具体的な予定がまだないにもかかわらず、先走って悩み過ぎるのも考えもの。

将来を案じるより、現在の自分の状況や気持ちにもっと目を向けた決断をしてみるのはいかがでしょうか。どうせ悩むなら、問題が起きた時に悩めばいい。そう考えてみると、少し楽になるかもしれません。

まだ起きていないことに悩むことを一度思い切ってやめてみる。すると、「悩む必要がないことに悩んでいたかも」という発見もあるかもしれません。

ポイント2.悩みの解消に役立ちそうな情報収集をしてみる

とはいえ、どうしても「見えない不安」にとらわれそうになってしまうときはあると思います。そんなときは、なるべく具体的な情報を収集して不安解消に役立てましょう。

例えば、将来の子育てと仕事の両立に不安を感じているなら、社内外のロールモデルを探して実際に話を聞く機会を持ってみてもいいですね。

自分が悩んでいることをすでに経験した人たちや、カウンセラーなど専門家と話をすることで、自分が何に不安を感じているのか、より明確に把握できるようになる効果もあります。

そして、ロールモデルとなる人たちの経験談を聞くことで、今抱えている課題やこれから訪れる課題の乗り越え方もイメージできるようになり不安も和らぐはずです。

ポイント3. 出産・育児は早めの準備とアクションを!

出産や育児に関して言えば、30代後半や40代で経験する人が年々増えてきています。

であれば、その前段階である20代~30代前半のうちに豊富な仕事経験を積み、社内外での人的ネットワークを築いておくことで、子どもを持った後も仕事と育児のバランスを上手に取れるように準備しておけるといいですね。復職後に働けるイメージが湧くと、不安解消に役立ちます。

また、自分やパートナーに不妊のリスクがないか調べておく方法のもおすすめです。

「生理不順で悩んだことがある」女性が8割にのぼるというデータ(※6)もありますし、月経が毎月あっても正常に排卵しているとは限りません。

将来の不妊症リスクを回避するためにも、生理不順などの気になる症状があれば早期に婦人科を受診し、将来のライフイベントに備えたいものです。

人生100年時代、ライフイベントとキャリアのあり方も、ますます多様化しています。ぜひ、さまざまなモデルを知った上で、自分らしいキャリアづくりの一歩を踏み出してもらえたらと思います。

(※1)令和3年5月18日厚生労働省発表資料より
(※2)内閣府資料より
(※3)東京都資料より
(※4)厚生労働省「不妊治療と仕事の両立サポートハンドブック」より
(※5)株式会社Waris「日本人海外駐在員配偶者(駐妻・駐夫)のキャリア継続に関する調査」より
(※6)株式会社エムティーアイ「「生理不順について」の調査結果」より

田中美和

【この記事を書いた人】
Waris共同代表・国家資格キャリアコンサルタント
田中美和

大学卒業後、2001年に日経ホーム出版社(現日経BP社)入社。編集記者として働く女性向け情報誌『日経ウーマン』を担当。フリーランスのライター・キャリアカウンセラーとしての活動を経て2013年多様な生き方・働き方を実現する人材エージェントWarisを共同創業。著書に『普通の会社員がフリーランスで稼ぐ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。一般社団法人「プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会」理事