ルネサンス 大野陽子さん/転勤・昇進でぶつかった「伝える難しさ」の壁を乗り越えて【連載:ワーキングビューティー・アルバム Vol.5】
仕事でもプライベートでも輝いている女性をクローズアップ! 自分らしいワーク&ライフスタイルで充実した毎日を送っている女性たちから、ハッピーに生きるヒントを教えてもらっちゃおう。
今回紹介するワーキングビューティは、スポーツクラブ ルネサンスの大野陽子さん。
2007年に新卒で株式会社ルネサンスに入社し、2011年2月より現在の勤務地である赤羽店のフロントチーフを勤める。転勤・昇進と時期を同じくして、プライベートでは結婚も経験した彼女が乗り越えてきた“壁”とは――
狙うは「不規則」といわれるサービス業。でも健康に働きたい
編集部:スポーツクラブのフロントとはどんなお仕事なのですか?
学生時代から接客の仕事がしたいと思っていて、就活を始めたのですが、サービス業ってどうしても不規則な生活になりがちじゃないですか。それで体調を崩してしまう人もいるっていうのを聞いて、「自分の好きな仕事ができて、健康で働ける職場はないか」という発想に。そうしてたどり着いたのがスポーツクラブというわけです(笑)。
昔から運動するのは好きでしたが、スポーツがしたいからというわけではなく、「健康に働ける環境」という働き方の条件で絞り込んでいった感じです。
仕事内容はお客さまの入会手続きなどが主ですが、来店されたお客さまに一番最初にお会いするポジションであることを常に意識しています。初めていらっしゃるお客さまはもちろん、会員で通われている方とその日のはじめに顔を合わせるのもフロントです。逆に、お帰りになるとき、解約されるときに最後にお会いするのも私たちフロントの人間。
そのお客さまにとってのルネサンスの最初と最後を担う場所なんですよね。
編集部:仕事で大事にしていることは?
やはり“第一印象”ですね。その店舗の顔というだけでなく、「ルネサンスの顔なんだ」という意識を持っています。
あとは、お客さまが安心して立ち寄っていただける雰囲気づくりを心掛けています。
編集部:「店舗の顔ではなく、ルネサンスの顔」という意識はいつから?
上司から教わったというよりは、肌で感じて気付いたんだと思います。
入社してすぐ配属された千歳船橋店にいた頃、私が3年目のときに、隣の経堂駅に新店がオープンしたんですが、その出来事がきっかけかもしれません。
とても近い地域だったので、両方の店舗に通われるお客さまが多く、隣のクラブの情報も把握していないと、問い合わせに答えられないとう状況になってしまって。大変でしたが、そのときに「お客さまにとってはどちらもルネサンスなんだ」と気付いたんです。同時に、チェーン展開するメリットやブランド力の強みを感じた機会にもなりました。
チーフ昇格、「伝わらない」もどかしさで感じた痛み
編集部:転勤のタイミングでチーフという立場に昇格。プレッシャーや苦労も多かったのでは?
5年目というキャリアでの転勤でしたから、周囲から「できてあたりまえ」と思われるプレッシャーはありましたね。店舗によって違うこともたくさんあるのですが、その店舗の人からしてみれば、「社員なんだから」「チーフなんだから」「5年目なんだから」、と思うのも当然ですよね。最初は苦労しましたが、得意な業務からどんどん幅を広げていき、なんとか今に至ります……(笑)。
編集部:チーフになってからちょうど一年になるのですね。
そうですね。チーフはフロントのスタッフたちをまとめる立場なのに、最初は、何をどう伝えたら良いのか分からなくて。「想い」を伝えないといけないのに、つい業務的に伝えてしまって、後から「伝わってなかったんだな」と反省することがよくありました。
あるとき、見学からの入会率を上げる仕組みを作ろう、とスタッフに企画書を作ってもらったことがあります。わたしは、入会率アップだけでなく、その仕組みを通して自分たちのスキルアップにもなるものを期待していました。が、出来上がってきたのは、既存の仕組みを利用しただけの、いわば自分たちに甘い企画。入会率を上げるというゴールは一緒かもしれないけど、自分たちの成長はない企画だったんです。かなりの時間を費やして作ってくれたのに、どうして途中で軌道修正してあげられなかったんだろうって……。
今思えば、最初からわたしの意図がうまく伝わっていなかったのが問題だったんですよね。
そういうときは、わたしに指示をされた側も仕事がうまくいっていないわけですから、「どうしてうまくやってあげられないんだ」と、反省を通り越した“痛み”を感じた出来事でしたね。
それ以来、どうやったら伝わるか、どうやったら共感してもらえるかを考えるようになりました。心掛けているのは「伝えたい相手に目線を合わせる」ということ。スタッフは大学生もいれば主婦もいる、その人にとって分かりやすい例えを使ったりすると、「あ、そういうことなんだ」って理解してもらえるんです。今も試行錯誤していますが、当時よりは伝わってるんじゃないかな?(笑)
編集部:そのエピソードをお聞きして、大野さんは自分にも他人にも厳しい性格なのかなと思いましたが……。
うーん、自分では自分に甘いかなって思ってるんですけど!
でも、確かに周りからは「見た目と性格にギャップがある」ってよく言われるんですよね。冷たい、堅そう、冗談とか言わない感じって思われるらしいのですが、手を抜くところは抜くし、仕事中「昨日のドラマ見た?」なんて話もしますよ? そうすると「こんな人と思わなかった」って(笑)。
結婚生活は想像以上に大変!
編集部:昨年ご結婚されたということですが、生活面での変化はありましたか?
(力強く)ぜんっぜん違います!
結婚前は、週1~2でスイミング、週1でゴルフスクール、2週間に1回は仕事帰りにジムを使ったりしていたのに、今では休日に近所の公園を走るくらい……。せっかくスポーツクラブで働いているのに、ジムを使う時間がないくらい家事ってたくさんあるんです。
まさかこんなに自分の時間が取れなくなるとは思いませんでした。
編集部:かなり運動好きだったのですね(笑)。
今はストレス解消という目的もありますが、運動は昔から好きですね。特に季節を感じられるスポーツが好きなので、他にも、冬はスノーボードしに雪山に行ったり、春・秋はゴルフ、夏は絶対に海でマリンスポーツ!
一度きりの人生なので、「あれやっとけばよかったな」って後悔をしたくないんです。スポーツではありませんが、今一番やりたいことは世界旅行! 実現するまでに、わたしの留守中でも夫が家事をやれるように教え込まなきゃですけどね(笑)。
編集部:最後にモットーと今後の目標を教えてください。
仕事柄もあるのでしょうが、「どんなときも笑顔でいること」がモットーです。疲れが顔に出やすいので、気分が落ち込んでいるときなどは特に気をつけています。
仕事の目標は、頼りない部分をなくして、スタッフから聞かれたことには何でも答えられる、安定感のあるチーフになることです。
自身の性格を一言で言うと「不真面目」だという大野さん。理由を聞くと「仕事でも何でも、できるだけ自分が楽しめるようにしたいから」なんだとか。インタビュー中も笑顔が絶えず、表情も豊かで、後ろを通る会員たちにも気遣いの言葉をかけていた姿は「不真面目」ではなく「朗らか」という表現が近いかもしれない。
スポーツクラブ ルネサンスHP http://www.s-re.jp/
取材・文/根本愛美(編集部) 撮影/赤松洋太
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