フルリモートで育児もキャリアアップも。「働きやすさ」と「成長」をトレードオフしない『フジ子さん』の働き方

育児や介護と仕事を両立するために「働きやすさ」を求めて転職する人は多いだろう。

しかし、時間や場所に縛られない働きやすい環境を手にするためには「仕事のやりがい」や「自己成長」を諦めなければならないというイメージを持ってはいないだろうか。

BPOテクノロジー株式会社でオンラインアシスタント『フジ子さん』として働く佐々木ひかりさんも、かつてはそんな葛藤を抱えていた女性の一人だ。

フジ子さん

BPOテクノロジー株式会社
オンラインアシスタントサービス『フジ子さん』
リーダー
佐々木ひかりさん

1987年生まれ。ビルメンテナンス会社の総務・労務、営業事務として12年間勤務。産休・育休を経て時短勤務で復職。子育てと両立しながらフルタイム勤務ができる就業先を求めて、19年にオンラインアシスタントサービス『フジ子さん』を運営するBPOテクノロジー株式会社に業務委託として契約後、20年に入社。現在はリーダーを務めている

育休を終えて時短勤務で職場に復職。次第に「フルタイムで働きたい」という気持ちが募り転職活動を始めたが、柔軟な働き方とやりがいの両方を得られる職場はなかなか見つからなかった。

そんな時に出会ったのが、オンラインアシスタント『フジ子さん』の仕事だ。一体どのような仕事なのだろうか。

育休復帰後に再認識した「仕事が好き」という気持ち

以前はビルメンテナンスの会社で労務と営業事務を兼務していました。仕事は自分に合っていましたし、職場の人間関係も良好。大きな不満もなかったので、気付けば12年間も働いていました。

にもかかわらず転職を考えたのは、出産後に時短勤務になったことがきっかけでした。

最初のうちは育児との両立に精いっぱいだったので、無理なく働ける時短勤務がありがたかった。でも、慣れてくるとどことなく「物足りない」と感じるようになっていったんです。

勤務時間や業務範囲が変わったことで、改めて「私は働くことが好きだったんだな」と気付いたんですよね。そこで、フルタイムにチェンジしたいと思うようになりました。

でも、前職は職場まで片道1時間。保育園に子どもを預けてお迎えに行くことを考えたら、往復で3時間は必要です。この会社にいながらフルタイムで働くのは現実的ではないな、と早々に断念しました。

そこで、どうにか育児をしながらでもフルタイムで働ける方法はないかと転職活動を始めたのですが、なかなか思うように進まなくて。

転職先を探す上では、「育児と仕事を両立できること」「経験が生かせること」を譲れない条件としていましたが、「残業はできない」「土日は出勤できない」という制約がある以上、面接でもいい顔はされません。

次第に、「私はやりがいや成長を求められる立場じゃないのかも」とネガティブな気持ちになっていったんです。

もう転職は諦めようか、と考えていた時、たまたま見つけたのが今働いているBPOテクノロジーのオンラインアシスタント『フジ子さん』の求人でした。

当時はまだコロナ禍前。リモートで働くことが今ほど一般的ではない中で、「フルリモート勤務」というキーワードが目にとまりました。

「全員が在宅勤務」、それでも「キャリアアップが目指せる」という言葉に、強く心を引かれたことを覚えています。フルリモートなら育児をしながらでもフルタイムと同じくらい働けるかもしれない、全員が同じ勤務状況ならキャリアの面で不利になることもないかも、と思いました。

うまくいかない転職活動にくじけかけていた時だったので「子どもがいても、仕事を楽しみたいと思っていい」と背中を押されたようでした。

実はもう1社、自宅近くの会社から内定をもらっていたんです。迷いましたが、子どもと過ごす時間を大切にしたいと思ったことに加えて、フルリモートという未知の環境に挑戦してみたい気持ちもあったので、フジ子さんとして働くことに決めました。

リモート勤務で得た、子どもと「時間を共有できる」幸せと心のゆとり

フジ子さんは、企業や個人事業主などさまざまな方の業務をオンラインでサポートする仕事です。私は経理・労務関連のアシスタント業務を担当していますが、中には秘書業務や受付業務、ECサイト運営の事務などを手掛けているフジ子さんもいます。

転職して2年半、フルリモートの働き方やオンラインアシスタントの業務にも慣れて、とても自由に働けていると感じます。

フジ子さん

今のライフスタイルは、子どもを保育園に送ってから、8時前後に業務を開始。16時くらいに一度お迎えのために抜けて、その後に少しだけ仕事に戻りますが、17時半には終業するようにしています。そこから先は、家族との時間です。

もしも前職でフルタイムで働こうと思ったら、朝は1時間以上早く起きて子どもを保育園に連れて行かなければならなかったでしょうし、帰宅後もバタバタして家族で過ごす時間をとれなかったはず。

今は、子どもをお迎えに行ってからも1時間くらい仕事をしていますが、その時間は子どもも隣の机に座って、お絵描きをしたりして過ごしているんですよ。一緒に机に向かって「時間を共有している」感覚が心地良くて、お気に入りの時間です。

勤務時間は、フルタイム同等なので前職よりも伸びました。ですが、フルリモート勤務になったことで、体力的・精神的にはとても楽。余裕が生まれたので、子どもや夫への接し方も以前と比べて穏やかになったなと自分でも思います。

前職の頃は、通勤と仕事で心身共に疲れていることが多く、イライラしながら子どもに対応してしまう時もありました。その度に自己嫌悪もしていましたしね。

今では、子どもと過ごすときに仕事の疲れを引きずることがほとんどなくなりました。夫からも「最近、あまり怒らないよね」って言われるくらいで(笑)

これは、働き方を変えたことで得られた良い変化ですね。

初めてのマネジメント、理想とのギャップの先に見つけた自分らしいリーダー像

今は、経理・労務関連のアシスタント業務のリーダー職としてメンバーを見ながら、顧客への営業活動も一部担当しています。

転職する時に「キャリアアップ」という言葉に引かれたのは事実ですが、やってみない? という話をいただいた時は、正直不安の方が大きかったですね。

私はもともとルーティンワークをこなすのが得意なタイプ。マネジメントの経験もありません。でも、せっかくの機会なので挑戦してみることに決めたんです。

案の定、最初の頃は思い通りにいかなくて悪戦苦闘の日々でした。私が思い描いていたリーダー像は「決断力とカリスマ性があること」「みんなを牽引していく存在であること」でした。けれど、メンバーの中には私よりも業務経験が豊富な人や年齢が上の人もいます。引っ張っていくなんてとんでもない。理想のリーダー像からは程遠い自分がいて、ふがいなく感じていました。

でもある時、仲間から「ひかりさんは、ひかりさんのままでいいんだよ」と言ってもらえて。その言葉で「私にできることってなんだろう」と考えるようになりました。

結果、引っ張っていくことはできないけど、一人一人が専門性をいかせるように「支えていく」ことならできるかもしれないと思うようになったんです。

フジ子さんは全員がフルリモート勤務ですが、チームを組んで仕事に取り組んでいることが特徴です。おかげでリモート勤務だからといって孤独を感じることもないですし、困ったときは助け合う。そんな環境に、私自身もたくさん支えられてきました。

だからこそ、今度は私が皆を支えていこう。カリスマ性はなくとも、メンバーが力を発揮できるようにサポートしていこう。そう思えるようになりました。

そこからは、メンバーとのコミュニケーションをより大切にするように意識しています。

リモート勤務でのマネジメントで難しいのは、やっぱりコミュニケーション。メールやチャットが中心となりますが、少しでも「おや?」と思ったらオンラインミーティングを行うようにしています。相談しやすい関係性を築くことが大切だなと思いますね。

あとは、テキストコミュニケーションが基本になるからこそ、良いところを積極的に褒めたり、何か指摘したりした時でも最後はポジティブなやりとりで終えられるようにしています。

チームの雰囲気もとても良くて、メンバー同士でリモート飲み会するくらい。オンラインでも関係性は築いていけるんだな、と実感しますね。

働き方も自己成長も、環境に頼りきりにならず自分でも工夫することが大切

フジ子さんとして働くようになってから、できるようになったことはたくさんあります。マネジメントもそうですし、営業企画も新しくチャレンジしたことの一つです。

フジ子さん

私は経理・労務関連のアシスタント業務をフジ子さんに依頼していない顧客に向けて、メルマガやオンラインミーティングで提案をしています。こういった営業活動や、そのための企画業務は初挑戦だったので、できることが増えている感覚がうれしいですね。

フジ子さんでは新しいことにチャレンジする機会をたくさん与えてもらえますし、それに応じてキャリアアップしていける環境があります。

やってみたいことがあれば、上長が一緒に「どうしたら実現できるか」を考えてくれるので、未来に希望が持てますね。おかげで、「もっと他のこともできるようになりたい」って欲張りになったような気がします。

ただ、この環境に甘えきりになるのも良くないなとは思っているんです。通勤が無くなって余裕が出た分を、どう使うかで自分の成長度合いも変わってくるんじゃないかなって。私の場合、子どもが寝た後に、仕事で使うITツールの勉強をしたり、セミナーを受けたりしています。

それができるのも、リモート勤務になって自由な時間が増えたから。ただ、リモート勤務だからこそ、やろうと思えばいつまでも働けてしまうという側面もあります。なので、「今日は終わり」と報告したら、緊急の連絡以外には対応しないようにしています。自分でメリハリを付けられない人だと、なかなか難しいかもしれませんね。

せっかくの環境も、自分の心掛け一つでメリットにもデメリットにもなります。私もいろいろと工夫をしながら、ベストな働き方を見つけてきました。

転職活動がうまくいかなかった時、子どもとの時間を大切にしたいという気持ちも、仕事で成長していきたいという気持ちも、どちらも手放さなくて良かった。そう思います。

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取材・文/上野 真理子 編集/秋元 祐香里(編集部)