未経験からのエンジニア転職、求人の見方や選考のポイントは? 注目企業人事や女の転職type編集長らが解説!【Woman type Meets!】

出会う、つながる、新しい私が始まる――。Webマガジン『Woman type』が主催するウェビナー『Meets!』では、女性たちが「自分らしい未来」を自分の手でつくるためのきっかけとなる「出会い」と「気づき」を提供します
「手に職を付けたい」「長く働ける仕事がしたい」そんな人からの注目度が高まる職業の一つであるエンジニア。
しかし、未経験からでもなれるのか、何を基準に選考されるのか、という不安も大きいだろう。
そこでWoman typeでは、2022年6月8日(水)に「未経験からのエンジニアデビュー」をテーマとしたオンラインイベントを開催。この記事では、当日の様子を抜粋してお届けしよう。
未経験での転職、企業を選ぶ前に「将来どうなりたいか」を考えよう
イベント前半に登場したのは、正社員で長く働きたい女性のための転職サイト『女の転職type』編集長・小林佳代子と、type転職エージェントでIT領域を専門に担当するキャリアアドバイザー・江口歌奈子。
女性を取り巻くエンジニア採用の現状について、基礎から詳しく解説した。

女の転職type 編集長
小林 佳代子
大学卒業後、新卒でキャリアデザインセンターに入社。転職情報誌及び転職サイト『type』『女の転職type』で、1000社以上の求人広告制作に携わる。2018年に『女の転職type』編集長に就任

type転職エージェント キャリアアドバイザー
江口 歌奈子
前職では法人営業として勤務。顧客折衝の経験を生かし、より自身の介在価値を生み出せる仕事を手掛けるためにtype転職エージェントのアドバイザー職へ転職。現在はIT領域に特化した転職支援を行っている
IT人材は2030年には80万人不足すると言われており、『女の転職type』でも求人を掲載する企業が急増。この3年間で、求人数は約3倍に増加している。

さらに、注目したいのは平均年収の高さ。一般的に年収が上がりやすいイメージのある営業職と比較してみても、その違いは歴然だ。他の職種は、育児や介護で休職・離職が増える40代で平均年収が下がる傾向にあるが、エンジニアに限っては40代で大きく跳ね上がる。
経験値や培ってきた技術力が問われる仕事だからこそ、長く続けることで収入を上げていくことができることが分かる。

しかし、膨大な求人の中から自分に合った企業を探すことは容易ではない。同じ業界・職種での経験がない状態となればなおのことだ。そんな課題に対して、キャリアアドバイザーの江口は「未経験からのエンジニアデビューを考えている人に、注目してほしいポイントは二つある」と説明した。
「一つ目は、入社後の研修制度。これは皆さんチェックしているのではないでしょうか? 未経験からのスタートなので、入社後に成長できる仕組みがきちんと整っているかどうかを確認しましょう。
そして二つ目は、『働く環境』です。エンジニアの場合、大きく分けると、自社のサービスをつくるケースと、顧客のシステムを開発するケースに二分されます。さらに、就業場所が顧客のオフィスとなることも少なくありません。
その場合には、上司や先輩と一緒のチームでの配属となるのか、自分一人で赴くのかもしっかりチェックしておきましょう。チームで配属される場合は、現場デビュー後もサポートを受けられる可能性が高いですよ」(江口)
加えて、『女の転職type』編集長の小林は、求人を見る前に心掛けてほしいこととして、次のようにアドバイスした。
「未経験の場合は『自分でも応募できるのか』という不安が大きいので、応募資格ばかりを気にしてしまいがちです。
応募先を探す時に意識してほしいのは、自分が目指すキャリアを実現できそうな企業かどうかです。
それを見極めるためには、転職してどうなりたいのか、数年後にはどうなっていたいのか? を明確にすること。そうすれば『どんな研修があるのか』『女性管理職はいるのか』など、求人を見る視点も変わってくるはずですよ」(小林)
前職の実績や「エンジニアになりたい」という熱意は立派なアピールポイント
イベントの後半では、エンジニア未経験者も積極的に採用しているIT・Web関連企業3社の採用担当者によるトークセッションを実施。各社が未経験採用を行っている理由や、入社後の研修制度について解説。
さらに、未経験からエンジニアへの転職を目指す人にとって大きな懸念点の一つである「選考での評価基準」も明かした。
ワークスアイディ株式会社
これまで多くのエンジニア未経験者を採用してきたと語るワークスアイディの久米さんは、「『熱意』と『能動性』が大切」と説明する。

「『エンジニアになりたい』という熱意を、自分の言葉で伝えてほしいですね。どうしてエンジニアなのか、なった後どうなりたいのか。面接では、しっかりと目的意識を持っているかどうかを確認しています。
あとは、能動的に動けることも重視しているポイントのひとつ。具体的には、前職やこれまでの経歴を振り返った時に、自慢できる成果や苦労したことを聞くことが多いです。その成果は自分自身の主体的な働きによって出したものなのか、詳しく伺います」(ワークスアイディ・久米さん)
エンジニアはチームで働くことも、学ぶことも多い。だからこそ、職種経験がなくとも「主体的に行動できるか」を選考で確認していると語った久米さん。
同様に、サイボウズの川畑さんも前職での経験を聞くと話す。

「前職で、どんな課題と向き合ってきたのか、そしてどう解決したのか……という点はよく聞きますね。課題解決のために自分で動けるかどうかを確認しています。
加えて、サイボウズや応募職種についてしっかり理解しているかどうかも判断基準の一つです。『会社についてどんなことを調べましたか?』『この仕事についてどんなイメージを持っていますか?』と質問しています。
未経験であったとしても、自分なりに理解度を高められていることが大切です。その姿勢で、興味関心の度合いが感じられますしね」(サイボウズ・川畑さん)
最後に、GMOあおぞらネット銀行株式会社の大田さんは、未経験者採用において次のようなポイントを大切にしていると言った。
「未経験の場合、伸びしろを見させていただきますが、これまで上司や先輩や同僚からどういったフィードバックを受けて、それをどう活かしてきたか、受け止めてきたかをお伺いすることがあります。
自分の立ち位置を客観的な意見をもとに認識をして、進む先を考えられる方は未経験エリアのスキルを身につけていくために必要なスキルだと思っています。」(GMOあおぞらネット銀行・大田さん)

その他、「独学で学んだ技術があれば応募書類でしっかりアピールを」とのアドバイスも。
しかし、応募の段階で「絶対にこれを学ぶべき」というものはなく、「エンジニアになりたいという思いがあるなら、自分が興味を持てるものから触れてみて」といったアドバイスで一致した。
各社が口をそろえて繰り返したのは「前職での経験・働き方」や「エンジニアになりたいという熱意や姿勢」の大切さ。「未経験だから評価されるポイントがない」と思い込まず、これまでのキャリアの棚卸しをして、その上で「なぜエンジニアになりたいのか」という自分の考えを整理してみるとよさそうだ。
参加者の約8割が満足! 「職種理解が深まった」「キャリアの道筋が見えた」
今回のオンラインイベントには、20~30代を中心にエンジニアを目指す女性が多く参加。
「IT業界やエンジニアという仕事について、基礎が分かるようになった」「求人情報の見方や選考のポイントなど、すぐに生かせる情報が得られた」といったコメントから、転職活動を進める上でも有意義な場となった様子がうかがえた。
開催後のアンケートでは、回答者の8割近くが「満足」との結果に。
「エンジニアを目指す上で、どのように動けばいいか道筋が立てられた」と、一歩踏み出そうという勇気が感じられる声も見受けられた。
Woman typeでは、今後もエンジニア・エンジニア志望の女性に向けた情報発信やオンラインイベントの開催を行っていく予定。
ぜひサイトや各種SNSをチェックいただきたい。
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文/柴田捺美 編集/秋元祐香里(ともに編集部)