中野BC 研究開発職 大西 由里子さん/お酒とアロマを日々研究! 「好きなことが仕事に結びつく幸せ」
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今回紹介するワーキングビューティーは、和歌山県の大手酒造会社・中野BCで、新商品の研究・開発を手掛ける大西由里子さん。生まれ育った土地で、大好きなお酒を扱う仕事に携わる大西さんの、オン・オフを覗いてみよう。
“中身”の開発だけでなく
デザインやレシピ考案も
編集部:梅酒や梅エキスの研究開発をしているそうですね。具体的にはどのようなお仕事なのですか?
新卒で入社してからずっと、梅の研究と新商品の開発をしています。梅の研究では主に、梅の機能性や加工方法を調べています。例えば梅にグラニュー糖を加えてつけこむときに、夏場は発酵しやすく菌も発生しがちなんですが、そこをどうクリアするか、といったことですね。
新商品開発にも携わっていて、これまで梅酒にシークァーサーやイチゴ、ブルーベリーなどを加えた“カクテル梅酒”や、ノンアルコールシロップの『うめジュレップ』などを開発してきました。
“中身”はもちろんですが、完成した商品のパッケージを考えたりもしますよ。入社2年目で初めて手がけた『シークァーサー梅酒』では、ラベルデザインも担当させてもらいました。できあがった時は嬉しすぎて泣きましたね(笑)。
編集部:開発以外のフローも担当されるのですね。
そうですね。他にもマーケティング部や営業部の女性メンバーと一緒にレシピを考案したりしています。意外な組み合わせを狙いすぎて、失敗もありましたけど(笑)。食べることも飲むことも好きなので、楽しいです。
編集部:もともと食品や飲料について勉強していたのですか?
はい、大学は理系学部で生物工学科を専攻し、微生物の研究に没頭していました。中でも食品におけるあらゆる菌の特徴や、発生方法の研究はとても面白かったんです。菌が発生しない食品加工の仕方なども学びました。缶詰の作り方とかですね。そういう勉強を通し、自然と興味のある食品関連の仕事がしたいと考えるようになりました。
入社3年目の壁
所長との握手で研究に自信が持てるように
編集部:食品の開発って「化学の実験」みたいなイメージがありますが、実際はどんな感じなのですか?
イメージ通りだと思いますよ、白衣着て試験管、みたいな(笑)。例えば“カクテル梅酒”だったら、果実を梅酒に加えたときの甘みと酸味のバランスをいろんな配合で試します。これが結構大変で、1つの商品につき何十パターンも試飲を繰り返すので、舌が麻痺してしまうこともありますね。ようやく試作品が出来上がっても、コストや生産面でNGになれば、またイチからやり直しということも。開発からリリースまで長いものだと2年くらいかかります。
編集部:2年も! すごく根気がいるお仕事ですね。他に大変なことは何かありますか?
時間の管理ですね。梅は食品なので、放っておけば腐ってしまうし、研究の過程ではタイミングも重要。実験計画を立てて、優先順位を確認しながら進めることが大切です。それができなくて、遅くまで研究所に残って作業することも多かったですね。誰もいなくなった静かで薄暗い研究室に一人で残るのはすごく怖くて…。いまだに慣れません(笑)。
編集部:それは怖そうですね(笑)。今までに壁を感じたことはありますか?
実は入社3年目のときにすごく苦労したことがあって。研究テーマが5つほど重なったことがあったんですが、何から手を付けていいのか分からなくなってしまったんです。
編集部:どのようなきっかけで乗り越えられたのですか?
同じ時期に、県から委託を受けていた研究テーマについて成果報告をする機会がありました。公の場での初めてのプレゼンだったのでかなり緊張していたんですが、無事に終わった後、普段仕事に対して厳しい研究所長がガシッと無言で握手をしてくれたんです! 仕事がハードで精神的にも弱っていたので、涙が出るほど嬉しくて。それがきっかけで、自分の研究に自信が持てるようになりました。
編集部:ステキな研究所長さんですね。現在は入社8年目とのことですが、今後のお仕事の目標や、これから挑戦したいことは何かありますか?
これまで、若い女の子向けの商品を手掛けることが多かったので、これからはオトナの女性向けや、男性のための商品も作ってみたいです。また、社内の商品開発のフローが確立されていないので、商品を作り上げていく流れをもっとシステム化していきたいですね。市場の流れにスピーディーに対応し、戦略的な商品を開発できるような仕組みを作りたいと思っています。
現在はアロマ系の商品も開発中
家でも実験がやめられない?
編集部:仕事が煮詰まったときのストレス解消法はなんですか?
ヨガやジョギングで体を思いっきり動かすのは習慣です。和歌山城など、近くにジョギングスポットが多くあり、休日に早起きして走ったりすると、気分がいいんですよね。また、食べること、飲むことが大好きなので、プライベートで友達と飲みにいくこともよくあります。そんなとき、自分が作ったお酒を飲んでいるお客さんを見つけると、すべての疲れが一気に吹っ飛び、もっと仕事を頑張ろうって前向きになれるんです。あと、お酒のボトルがあると、ついどこのメーカーがどんな原料で作っているかチェックしちゃいます。完全に職業病なんですけどね(笑)。
編集部:飲みに行くことが、仕事にも活かせるなんてうらやましいです(笑)。
他にもアロマが好きで、学校に通いながら勉強をしています。ちょうど仕事でもアロマの商品をリリースすることになったので、アロマの趣味も仕事に活かせることになりました。
編集部:すごいですね! ちなみにアロマは普段どのように使っているのですか?
気分に合わせてお風呂に数敵入れたり、市販のシャンプーに混ぜてみたり…。研究職なので、やっぱり家でも実験しちゃうんですよね(笑)。アロマの香りは、人を癒したり、女性ホルモンを活性化してくれたりと、奥が深く学ぶのが楽しいです。
編集部:まさに“好きを仕事に”を実現していますね。
好きなことが仕事に結びついているのは本当に幸せなことだと思っています。これからも、オン・オフ問わず、お酒やアロマの知識をもっと取り入れて、いろんな人から愛される商品を作っていきたいですね。
展示会では度々プレゼンの機会がある大西さん。緊張すると言いながらも「面白い素材を探せることが楽しみ」と話してくれた。梅酒とアロマの話をする姿は生き生きしており、研究開発の仕事が心底好きなことが伝わってくる。男性が多い研究開発職において、明るくにこやかな彼女はきっと貴重な存在に違いない。
取材/天野夏海(編集部) 文/岩井愛佳 撮影/赤松洋太
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