14 SEP/2022

刈りとり、クロージング…お客さまの前でも言える?「普段使いの言葉」を変えて愛され営業になる方法

鳴かず飛ばずの営業成績、ノルマに追われる毎日。頑張っているのに営業活動がうまくいかない!

そんな女性に紹介したいのが、営業のカリスマ・和田裕美さんの最新著『ファンに愛され、売れ続ける秘訣』(かんき出版)です。

和田さんが実践する、新しい時代の営業スタイルとは? ファンベースを使った営業の考え方や実践方法について、この記事では「ファンの育て方」を本書から一部内容を抜粋してご紹介します。

和田さん

作家/株式会社HIROWA代表取締役/都光華女子大学客員教授
和田裕美さん

事務職を経て、外資系教育会社に入社し営業職に。お客さまの98%から契約をもらう「ファンづくり」のスタイルを構築し、日本でトップ、世界142カ国中第2位の成績を収める。その後、独立し、“愛されて売れ続ける”人材を育成するコンサルタントとして、1300社以上、延べ34万人以上を送り出し、サポートし続ける。著書にベストセラー『成約率98%の秘訣』(小社)、小説『タカラモノ』(双葉社)、『人生を好転させる陽転思考』(ポプラ社)、18年目となる『和田裕美の営業手帳』(クラーケン)などがある

お客さまを獲物扱いしてない? 普段使う言葉を確認しよう

みなさんは、「木になっているりんご」と、「りんごの苗」とではどっちがいいですか? そりゃあ、すでに木になっているりんごがいいですよね。今すぐりんごを食べたいですよね?

手を伸ばして、すぐにでももぎとりたい? でも、そこをグッとがまんしてまず、苗を植える。そして水をやり、肥料をやり、大事に育てていく。それがファンづくりです。

このじんわりした効果は抗生物質より漢方薬みたいなものだと、私も思っています。副作用がなく安全であり長く飲み続けることができるという利点においても。

このように、ファンづくりは「狩猟型」ではなく、育てて収穫するという「農耕型」です

この価値観に変化をすると、今使っている言葉に違和感が出てきます。もし、狩猟するために銃を持って森に出かけたとしたら、そこには獲物が必要です。

その獲物が空を飛んでいたら、野を走っていたら「ターゲット発見」として銃を構えて撃つ。銃声が聞こえて動物の倒れる音、ハンターが飼う犬がわんわんと吠えながら獲物に近づき仕留めます。ええ、殺していますよね。

何も、セールス活動においてターゲットを見つけるという言葉が「殺す」という結果に直結するわけではありませんが、(とある不動産営業では契約をとってくることを「殺してくる」というらしいです……)言霊と言われるように使う言葉に込められている意味が無意識に定着していきます。

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だから「契約をとってくる」という表現に関して何ら違和感のない世界があるのです。

しかし、買う側の視点になったらどうでしょうか?「あなたはターゲットだ!」とか言われたいですか? ええ? 狙われてるの? 本当に撃つの? と後ずさりしたくなります。

いや、もちろんそんなつもりで使っていない。しかし、使う言葉によって意識も世界観も変わっていく。お客さまを獲物として見てはいけないのです。

お客さまの前でも使える言葉を普段から使おう

他にも「刈りとり」という言葉を使う営業現場があります。使う本人は酷いとはまったく思っていませんが、「根こそぎ刈りとる!」みたいな表現になっています。

まるで新しい大陸に降り立って、先住民を残らず追いやり侵略していくような言い方です。

そう、根こそぎ刈りとられてしまって種を存続できない立場がお客さまということです。

それから、営業の言葉で契約段階のことを「クロージング」と言いますが、これも言い換えたいなと思っています。

なぜってクロージングは、終わりという意味だからです。これは、やっぱり営業側にとっての意味合いで、お客さまにとってはスタートなのだから、「スターティング」と言うほうがしっくりくるように思います。

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こうやって使う言葉を変えるだけで、心のあり方も変わってくるのでぜひ変えてみてください。

この言葉はどっちかな? と迷う場合はお客さまが聞いている前でも言えるかどうか? という基準で判断してみてください。言えないのなら、その言葉を使うのはやめましょう。

さとなおさん(※)と話していると、そういったことをものすごく注意されます。「僕はマーケティングとかターゲットとかいう言葉は絶対使わせない」「その言葉を使っただけで、破門です。もう滅びてしまえばいい」って。

(※)コミュニケーションディレクターの佐藤尚之さん

企業側が上から目線でお客さまの心理をコントロールしているかのように言葉を使う。そういった考え方そのものがよくないということなのです。

言葉には言霊が宿っていると言われていますが、普段から使う言葉できっと対応が変わり関係性も変わってきます

だから、自分がお客さまになったときに「使って欲しくないな」と思う言葉を使わないというのも新しいルールです。

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昨年『ラーメンを気持ちよく食べていたらトップセールスになれた』(WAVE出版)の著者、川村和義さんと会う機会がありました。

川村さんはプルデンシャル生命保険株式会社時代に営業所長として成績トップに輝いた実績のある方ですが、この本の中に、プルデンシャル生命では「契約をとる」とは言わず「一件おまかせいただく」「一件お預かりする」という言葉を使う、と書いてあります。

「とる」という言葉は「取る」でも「獲る」でもあまりイメージはよくない。それはお客さまではなく、獲物や虫に対して使う言葉だと。 

「お預かりする」という言葉を使うほうが企業としてのレベルが一段階も二段階も上がるし、何よりお客さまは大切なもの、という気持ちが込められると先に挙げた本には書いてありましたが、本当にその通りだと思います。


次回の記事では、目先の営業成績に縛られない人の方が売れる理由について解説。お楽しみに!

書籍紹介

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『ファンに愛され、売れ続ける秘訣』(かんき出版)
営業のカリスマ和田裕美が新しい時代の営業の極意を、佐藤尚之氏が提唱するファンベース®を元に紹介!

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