転職で「ブランク」をどう説明するといい? 人事が明かす“空白の期間”の捉え方

大きな声では言えない本音、ぶっちゃけます!
採用担当者の覆面ガチトーク

表立って聞きにくい「これってどうなの?」という転職にまつわる女性たちの疑問を中途採用担当者に直撃!人事のリアルな見解とは……?

覆面座談会

2022年、BTSや菅田将暉さん、松本まりかさんなど、人気芸能人の休業宣言が話題を集めた。

人生100時代と言われる中、キャリアの一時的な中断を肯定的に捉える「キャリアブレイク」という考え方も生まれている。

とはいえ、転職市場ではキャリアのブランクはマイナスになる印象が強い。実際のところ、転職者の「空白の期間」を採用担当者はどう捉えているのだろうか。

<お話を聞いた中途採用担当者>
●IT系メガベンチャーの採用担当者・加賀さん(仮名)
●大手アパレル企業の採用担当者・中野さん(仮名)
●スタートアップの採用担当者・石田さん(仮名)

ブランクはどうしても気になる

編集部

転職活動において、キャリアのブランクはマイナスな印象です。実際はどうなのでしょう?

石田さん

充電期間をつくることは、個人的には大賛成。ただ採用する側の視点に立つと、ブランクはどうしても気になります。

採用担当にはリスクチェックの目線も必要なので、その期間に何があったのかは理解しなければいけません。だから書類上でブランクの理由が分からない場合、そのままお見送りすることもあります。

簡単にでも理由が書いてあれば、経歴を見た上で書類を通す可能性はあるんですけどね。

中野さん

私は逆に、ブランクを理由に書類選考で落とすことはしないようにしています。

採用側はフラットに候補者を見ようと努めていますが、どうしても先入観を持ちがちですから。

とはいえ、ブランクが気になるのは事実。理由は必ず面接で確認しています。

加賀さん

ブランクの捉え方は会社によっても変わりますよね。

年功序列などの雇用慣習がベースにある企業の場合、同じような年齢でブランクがある人とない人がいたら、後者の方が優秀だと判断する可能性が高いでしょう。

一方、ベンチャーやスタートアップをはじめ、新しい考え方を積極的に取り入れている企業であれば、スキルや人柄を含めて総合的に見るのであまり気にしない傾向にあると思います。

石田さん

その場合もブランクの理由は必ずチェックしますけどね。

ブランクは絶対にダメなわけではないけれど、現実にはネガティブチェックの目線で見られる。その点は理解した方がいいと思います。

ブランク期間は1年が分岐点?

面接を受ける女性
編集部

ブランク期間はどのくらいからマイナスになりますか?

加賀さん

個人的な感覚ですが、1年以上ブランクが空いているとシビアな目で見ます

「なんとなく1年間休みました」はあり得る話だなと思えるんですけど、それが2年、3年となってくると「おや……?」と思う。

石田さん

私も1年以上かな。

人事としては「活躍の再現性」を確認しなければいけないので、1年以上ブランクがある人が入社後にちゃんと活躍できるのかをどう判断するのかは悩ましいですね。

加賀さん

特に応募ポジションがエンジニアや経理などの専門性が高い職種の場合、ブランク期間にどの程度最新情報をキャッチアップしているのかは気になります。

それがないと「別にこの仕事がしたいわけではないんだろうな」と思ってしまいますね。

石田さん

ゆるくでも関連する仕事をしていて、そこで最新トレンドをキャッチしたり勘が鈍らないようにしていたりといった話があれば「もしかしたらいけるかも」と判断することもあるんですけどね。

編集部

「とりあえず1年仕事を休む」はなんとなく分かるけど、それ以上になるとなんだか不安。そんな感覚なのでしょうか。

加賀さん

おそらくブランクが数年ある人は「働かなくても生きていける人」なんですよ。

収入面というよりは本人のスタンスの方の意味合いで、仕事へのプライドがあまりないのかなと。

良く言えば自由で、悪く言えば何かに属することが合わない人なんじゃないかと思ってしまいます。

石田さん

本人にとって会社に所属するメリットがなさそうですよね。フリーランスになればいいのにって思っちゃう。

だから書類を通したとしても、面接ではその辺りの考えをシビアに聞くでしょうね。

編集部

なるほど。逆に言うとブランク期間が1年以内だったら、理由によってはそこまでマイナスにはならないですか?

中野さん

私は数カ月でも警戒はしますね。

特に転職回数が複数あって、過去の職歴の間にも短いブランクがある人は「なんで?」と思っちゃう。

おそらく先に退職してしまい、就職先が決まらなかったのだと思いますが……何を目指してどんな転職活動をしたのかが、どうしても気になります。

石田さん

「なぜ先に会社を辞めたのか」は確かに気になりますね。

というのも、そういう人の中には「会社の人ともめて嫌になった」など、突発的に退職してしまう人もいるんです。

「うちに転職してきても、また会社が嫌になって辞めちゃうかもな」という気持ちで見てしまうところは正直あります。

中野さん

逆にブランク期間がある程度長い人の方が、意図を持って休んでいるケースが多いようにも思いますね。

「ブランク期間で何を得たのか」を言語化しよう

面談を受ける女性
編集部

ブランクと一言でいっても、その背景は人それぞれです。

どのような理由であればプラスになりますか?

中野さん

自分なりの考えのもと、計画的に取ったブランクで、「その期間で何を学び、それを今後どう生かしたいのか」が語れる人はいいなと思います。

自分を客観的に見て、考えて動ける人なのだなと思う。

石田さん

「なぜこの時間が自分に必要だったのか」と自分ごとにして説明ができる人は、「自分の頭で考えてアクションができる人」という印象を受けますよね。

だからそれほど心配はいらないかなと。

中野さん

必ずしも高尚な理由である必要はないし、結果的に想定していたものが得られなかったとしても、何かしら自分の中で効果検証ができていることが重要です。

それをきちんと話せるのであれば、良いブランクだったんじゃないかなと思いますね。

加賀さん

同感です。ブランクを取ったことに対して、本人なりに納得感があることが大事ですね。

編集部

逆にマイナスになるのはどのようなブランクでしょう?

中野さん

「何となく」のブランクですね。

コロナ前は「海外に憧れがあって1年間ワーキングホリデーに行きました」という人が結構いたのですが、それだと持ち帰るものがあまりない印象です。

また、「この人はその時の気分や目の前のやりたいことを優先するタイプなのかも」とも思ってしまうので、会社で嫌なことがあったら辞めてしまうのではないかという懸念も生じます。

キャリアブレイク中にリフレッシュする若者たち
石田さん

たとえ後付けであったとしても、「休んでいた時間が自分にとってどのような意味があったのか」が説明できないのは心配ですよね。

中野さん

最初のきっかけが何となくだったとしても、無理やりにでも次につなげてほしいとは思います。

「楽しかった」で終わってしまうと評価のしようがないので。

逆に言えば、ブランク期間の経験を今後のキャリアにどう生かしたいか、そこまでつなげて話せるのであれば、私はブランクの長さはそこまで関係ないかなと思います。

編集部

体調を崩したことによるブランクの場合はどうでしょう?

本人も負い目を感じてしまうことが多いように思いますが、どう伝えるのがいいでしょうか。

加賀さん

仕方がないことなので、大前提として隠さずに教えてほしいです。

その際、「なぜ体調を崩したのか」を言語化できることがとても大事。

どんな環境が自分にとってダメだったのか、自己分析できていれば「その環境さえ避ければ大丈夫そうだな」とこちらも安心して採用ができます。

石田さん

体調を崩した背景はきちんと理解したいですよね。

加賀さん

逆に言うと、原因が自分の中で消化しきれていない場合は難しいです。

私たちが悪意なく同じ状況を再現してしまう可能性がある以上、採用するのはリスクが高いですから。

編集部

「仕事をする上で、もう体調に問題はない」という根拠を提示することが重要なのですね。

ブランクの理由は「正直」が好印象

加賀さん

ブランクの理由に関わらず、私は正直さを重視しています。

「英語を学びたかったので海外留学しました」と言いながらTOEICが500点しかないような人が時々いるのですが、おそらく事実は「仕事に疲れて会社を辞めたけど、ブランクはマイナスになるからとりあえずワーホリに行こう」みたいなことだったんじゃないかな。

それなら「仕事を頑張りすぎて疲れたので、息抜きに海外で遊んできました」と言ってくれた方が全然いいです。

編集部

例えば、「スケジュールがパンパンな日々を過ごしていたので、ブランク期間は意図的に取りました。その結果、心身ともにリフレッシュできました。」と説明ができれば、ただの休みであっても大丈夫……?

加賀さん

もちろん会社によって評価は変わるでしょうけど、私はいいと思います。

こちらも会社員ですから「そういう時もあるよね」って素直に思えますし、変に取り繕われるよりずっと好感が持てる。

石田さん

分かる……。

加賀さん

ブランクの理由がポジティブであるに越したことはないけれど、全員がそうではないことは人事も分かっています。

「毎日終電近くまで働いて疲れ切ってしまい、忙しかった分お金は余っていたので1年間ゆっくりしました」と正直に言ってもらえると、「この人は大丈夫そうだな」と逆に安心できます。

候補者にとって話しにくいことであると理解はしていますが、「こういう理由で休みたかったんです」と率直に伝えてもらった方が、結果的に企業側もブランクの良しあしを正しく判断できるのではと思います。

企画・取材・文・編集/天野夏海

※この記事は2022年10月27日に公開し、2024年6月28日に内容を更新しております