17 JAN/2023

学び直しで挫折しないためには? リスキリングを始める前に知っておきたい「学びを成果につなげられる人」の特長三つ【田中美和】

live your life

「5年間で1兆円をリスキリングに投じる」

ーー昨年、臨時国会における所信表明演説で岸田首相が表明したこともあり、メディアで目にしたい日はないほど、「リスキリング」や「学び直し」に注目が集まっています。

イメージ

そんな中、「今年こそリスキリングに挑戦したい」と思っている人も多いのではないでしょうか。

でも、学び直しでしっかり成果につなげられる人がいる一方で、途中で挫折してしまったり、新しくスキルを学んでも仕事になかなか結び付けられなかったりする人がいるのも事実。

一体どうすればこの問題を解決できるのでしょうか?

働く女性向けにさまざまなリスキリングプログラムを提供してきた私の経験から、「学びを成果につなげられる人」の特長について三つのポイントでお伝えしたいと思います。

学びを成果につなげられる人の特長

特長1)「学ぶ目的」がはっきりしている

まず大事なのが、「学ぶ目的」を明確にすることです。

「新しい仕事につなげたい」
「働き方を変えたい」
「収入を上げたい」

学び始める目的は人それぞれですし、何を学ぶかの選択肢もさまざま。正解はありませんが、自分なりの目的を決めましょう。

社会人がリスキリングに取り組むとき、特にネックになるのが仕事との両立。

途中で投げ出す理由はいくらでもあるからこそ、目的のある人とない人とで学びの継続に差が出てきます。

イメージ

また、「学びを仕事へつなげる」という目的からリスキリングを始める人は、今後のキャリアプランもセットで考えてみましょう。

将来「こうなっていたい」というイメージから逆算してリスキリングに取り組む目的を設定し、「だから今、この学びが必要」とつなげることを意識してみてください。

最近では社員のリスキリングに取り組む企業が増えており、「会社に言われてリスキリングを始めた」と話す人もいます。

ただ、たとえ学ぶきっかけが会社からの指示だったとしても、せっかく学ぶ以上、意味のあるものにして何らかの成果につなげたいですよね。

学びの延長にどんなキャリアを描きたいか、どんな仕事に生かしたいのか、考えてみましょう。

特長2)「アンラーニング」する力がある

二つ目に大切なことは、「アンラーニングする力」です。

「アンラーニング」は「学習棄却」とも呼ばれ、これまで自分が獲得してきた知識やスキルの一部を意識的に手放し、新たに学び直すことを指します。

イメージ

学び直しを成果につなげる上では、アンラーニングを行い、「新しい知識を素直に受け入れること」が欠かせません。

社会人経験や一社での経験が長くなったり、管理職としての経験が豊富になったりすると、「これが一般的」「こうするべき」といった、これまでの経験に基づく思考が大きくなってきます。

新しい知識を身に付けるためには「素直さ」や「前向きさ」が強く後押ししますが、これまでの思考にとらわれてしまうと、新しい知識のインプットが難しくなってしまいます。

では、どのように「アンラーニングする力」を鍛えれば良いのでしょうか?

その方法の一つは、身の回りの人からストレートなフィードバックを素直に受け取り、日々の業務に生かす経験を重ねていくことです。

イメージ

皆さんの周りには、厳しいことを言ってくれる人はいますか?

社内の人でも社外の人でもかまいませんが、時に耳の痛いことを言ってもらえる機会があるなら、それはこれまでの自身のやり方を手放すチャンスです。

そうした「耳の痛いこと」を素直に受け入れ、取り入れていくことで「アンラーニングする力」は磨かれていきます。

特長3)周囲を巻き込む積極性がある

三つ目の特長が「学びに対する積極性」があるかどうか。

学びをモノにする人は、例えば何か受講している時に講師に積極的に質問したり、他の受講生に分からないところを教えてあげたり、インプットとアウトプットを積極的に行えるのが特長です。

そのような人たちは、学んだことをすぐに生活や日々の仕事で実践するんですよね。

ですから、ただインプットとして知識を蓄えるだけではなく、ぜひ周囲を巻き込むことを意識して、積極的にアウトプットを行うことを意識してみてください。

他の人からの視点を取り込むことで、自分では気付けなかった新しいことに気付き、学びが何倍も深くなりますよ。

自分に「役立つ学び」を見つけるために、キャリアの棚卸しから開始

イメージ

学びを成果につなげる人の特長を三つお伝えしてきましたが、女性たちから「そもそも今何を学ぶべきか分からない」という相談を受けることもよくあります。

まず自分のキャリアに適した学びを選ぶには、自分のキャリアを棚卸しするところから始めましょう。

自分のこれまでの知識や経験をいったん振り返ってみて、そこから、3年後や5年後の自分の「ありたい姿」を思い描いたときに、どんなスキルがあるとよいのか逆算して考えてみてください。

ただ、自分で自分のことはよく分からないものです。

そんなときは、第三者の力も借りてみるのも一つの手

私たちWarisが提供しているプログラムではキャリアカウンセラーが伴走して一緒にキャリアを棚卸しし、学びの目的とつなげることを支援していますが、「とても役に立った」という声を多く頂いています。

イメージ

他にも、オンラインでキャリアカウンセリングを受けられるサービスや、キャリアカウンセラーに相談できる機会もたくさんありますよね。

リスキリングに興味はあったけど一歩踏み出せずにいたという人は、第三者の力も惜しまず借りてみてください。

仕事と両立しながら学び続けるのは大変かもしれませんが、きっと「なりたい自分」に近づいていけるはずですよ。

田中美和

【この記事を書いた人】
Waris共同代表・国家資格キャリアコンサルタント
田中美和

大学卒業後、2001年に日経ホーム出版社(現日経BP社)入社。編集記者として働く女性向け情報誌『日経ウーマン』を担当。フリーランスのライター・キャリアカウンセラーとしての活動を経て2013年多様な生き方・働き方を実現する人材エージェントWarisを共同創業。著書に『普通の会社員がフリーランスで稼ぐ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。一般社団法人「プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会」理事