未経験からエンジニアになりたい女性にチャンス到来? IT業界・転職のプロが語るIT業界デビューのすすめ/アクセンチュア×Waffle×Ms.Engineer×女の転職type

Woman type Meets!

出会う、つながる、新しい私が始まる――。Webマガジン『Woman type』が主催するウェビナー『Meets!』では、女性たちが「自分らしい未来」を自分の手でつくるためのきっかけとなる「出会い」と「気づき」を提供します

近頃、女性向けのプログラミングスクールや、未経験から女性をエンジニアとして採用・育成する企業を目にする機会が多くなった。

しかし、未経験者にも門戸が開かれているとは言え、いざエンジニアになろうと思うと「本当に採用されるのか」「自分には向いていないのでは?」と不安を感じる人もいるはず。

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そこでWoman typeでは、2022年12月20日(火)に「未経験からのエンジニアデビュー応援イベント」をオンラインで開催。

ゲストに女性のためのプログラミングスクール『Ms.Engineer』代表のやまざきひとみさん、IT業界のジェンダーギャップの解消に取り組むNPO法人Waffle Co-Founderの田中 沙弥果さん、女性が多く活躍するアクセンチュアの市本真澄さんを迎え、『女の転職type』編集長・小林 佳代子が聞き手となり、女性がIT業界で働くメリットやエンジニアになる魅力について紹介した。

【ゲスト】

やまざきさん

Ms.Engineer 代表取締役やまざきひとみさん(@hinjolie

1984年生まれ。2007年にサイバーエージェント入社。『アメーバピグ』立ち上げプロデューサー、大人女性向けキュレーションメディア『by.S』編集長などを担当し、15年に独立。16年にHINT inc(現在は株式会社アタラシイヒ)を設立し、代表取締役に就任。女性向けメディア『C CHANNEL』編集長を経て、21年4月より女性のためのオンラインプログラミングスクール『Ms.Engineer』の代表を務める

田中沙弥果さん

特定非営利活動法人Waffle Co-Founder
田中沙弥果さん Sayaka Tanaka(@ivy_sayaka

1991年生まれ。2017年NPO法人みんなのコード入職。文部科学省後援事業に従事したほか、全国20都市以上の教育委員会と連携し学校の先生がプログラミング教育を授業で実施するために事業推進。17年から女子およびジェンダーマイノリティーの中高生向けにIT教育の機会を提供開始。19年にIT分野のジェンダーギャップの解消を目指し一般社団法人Waffleを設立(現NPO法人化)。20年Forbes JAPAN誌「世界を変える30歳未満30人」受賞。内閣府 若者円卓会議 委員。経産省「デジタル関連部活支援の在り方に関する検討会」有識者

アクセンチュア

アクセンチュア株式会社
テクノロジー コンサルティング本部 ITソリューション
マネジング・ディレクター
市本真澄さん

ハイテク企業を中心にSI、アウトソーシングに長年従事し、現在はテクノロジー コンサルティング本部の組織運営に関わる。主担当領域のインクルージョン&ダイバーシティにおいて、ジェンダー平等の推進、ワーキングペアレンツ支援や、障がいのある方のキャリア支援などを主導

小林佳代子

女の転職type 編集長
小林 佳代子

2005年にキャリアデザインセンターに入社。転職情報誌及び転職サイト『type』『女の転職type』で、1000社以上の求人広告制作に携わる。2018年に『女の転職type』編集長に就任

女性がエンジニアになるメリットは?「ライフイベントに左右されない」「高水準の収入」

イベントの冒頭では、『女の転職type』編集長・小林が女性を取り巻くエンジニア採用の現状について解説した。

「『女の転職type』で掲載されているエンジニアの求人数は急増しており、コロナショック前の2019年と比較すると約2.3倍になりました。

コロナ禍の到来で中途採用をストップする業界や企業も数多くありましたが、エンジニア採用はこの2~3年でますます活況になっています」(小林)

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図のオレンジ色で示した部分がコロナ禍に該当(20年1月~20年9月頃)。一時的に落ち込んだものの、現在は求人掲載数が応募数を上回っており、エンジニアを目指す女性にとってはチャンスと言える

そのうち約4割の企業が未経験者採用も行っているため「エンジニアデビューを目指す女性にとっては今がチャンス」と強調する。

Ms.Engineer代表のやまざきさんも、「エンジニア職の女性比率を増やすため、未経験者も含めて採用に乗り出す企業が増えている」と語る。

近年、組織のダイバーシティ・エクイティー&インクルージョンを推進する企業が増えているものの、IT業界の女性比率は1〜2割程度と依然として低い。

Waffleの田中さんは、この現状を「社会的にも深刻な課題である」と指摘した。

「IT企業がつくるサービスは、性別や人種を問わず、あらゆる人の生活の基盤となるものが多いですよね。

だからこそ多様な人材の手でつくられることが望ましいのですが、まだまだ男性が開発の中心となっているケースが多いのが現状です。

その結果、女性をはじめマイノリティーの人たちが持っている多様なニーズに気付きづらいという課題があります」(田中さん)

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続くトークテーマは「女性がIT業界で働くメリット」について。

アクセンチュアでテクノロジー コンサルティング本部の組織運営に携わり、同社のダイバーシティ&インクルージョン推進を担当する市本さんは、「働く場所の自由度が高い」というエンジニアならではの特徴を挙げた。

「コロナショック直後、学校が一斉休校になった時期がありましたよね。当時、仕事と子育ての両立に苦労した方も多いのではないでしょうか。

アクセンチュアの事例ではありますが、当社のエンジニアはすぐにリモートワークに切り替えて、普段と同じように働くことができました。

私自身も、中学生と小学生の2人の子どもを育てながら働いているのですが、自宅でも問題なく業務を進められる点はエンジニアのメリットだと思っています」(市本さん)

続いて、Waffleの田中さんは「エンジニアはマミートラック(※)に陥りにくい職種」だと続けた。

(※)マミートラック…子どもを持つ女性が、仕事と子育ての両立はできるものの、昇進や昇格には縁遠いキャリアコースに乗ってしまうこと

「結婚や出産などのライフイベントで一時的に職場を離れると、キャリアアップのコースから遠ざかってしまうケースが少なくありません。

一方でエンジニアは、書いたコードや作ったシステムといった『成果物』が評価されるケースが多い。

そのため、比較的労働時間の長さや性別などが評価に影響しづらい企業が多いんです」(田中さん)

続けて『女の転職type』の小林は、「エンジニアは給与水準の高い仕事」とだと紹介した。

「収入が高い職種と聞くと営業職をイメージする方も多いかと思いますが、実はエンジニアの方が給与水準は上なんです。

前回のイベントでもお伝えしたとおり、未経験者・経験者ともに、入社後の平均月収は他の職種よりも高い傾向があります」(小林)

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エンジニア=理系限定ではない。未経験でも「楽しめる」ことが成長のカギ

Ms.Engineerのやまざきさんは「エンジニアになることでデメリットはほぼない」と言い、イベント参加者たちに力強いエールを送った。

「エンジニア未経験だからといって、強みがゼロだなんて思わないでください。

例えば、経理の経験がある場合、金融サービスを提供するIT企業などでは、つちかってきたスキルが生かせるシーンもあるはずですよ」(やまざきさん)

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また、未経験者の採用を行っている企業であれば研修制度が充実しているケースも多い。今回のイベントに登壇したアクセンチュアでも、未経験入社者のために手厚い研修プログラムを用意しているという。

「入社後は約3週間にわたり、プログラミング言語の種類やサービス開発の基礎などを学ぶ研修を行います。

その後、約2~5週間にわたって配属先の部署でトレーニングを行い、当社のエンジニア・コンサルタントとして現場で働くために必要な技術的な知識やスキルを身に付けていきます。

先輩社員とともに仕事を進めていくOJT研修期間もあるので、未経験でも安心してチャレンジできる環境が整っていますよ」(市本さん)

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最後に「エンジニアに向いている人材」の特徴を小林が聞くと、「地道に努力できる人」だとアクセンチュアの市本さんは回答した。

「例えるなら、パズルのピースがパチッとはまる感覚が快感だという人ですね。

コツコツと努力を積み重ねて、何か一つのものを完成させることが好きな人には、エンジニアがおすすめです」(市本さん)

Ms.Engineer 代表やまざきさんとWaffle田中さんも同意した上で、「エンジニアの仕事にはトライ&エラーがつきものなので、それを繰り返しながら学習を続けられる人に向いている」(やまざきさん)と付け加えた。

また、「理系出身でなくても問題ない」ということと、「ものづくりを楽しいと思えるマインドが重要」という2点については、全員が意見を同じくした。

8割以上が「満足」と回答! 「エンジニアを目指したい」という参加者の思い強まる

今回のオンラインイベントには、20〜30代を中心に未経験からのエンジニアデビューを目指す女性たちが参加。開催後のアンケートでは、「IT業界の現状や、どのような人がエンジニアに向いているのか話を聞くことができ、興味深かった」「知りたかった情報を得られた」などのポジティブな感想が多く寄せられ、8割以上が「満足」と回答した。

また、「『エンジニアを目指したい』と再確認し、プログラミング講座を受けてみようと思った」などのコメントも見受けられ、今回のイベントが挑戦への後押しになった様子がうかがえる。

Woman typeでは、エンジニアデビューを検討している女性はもちろん、既にエンジニアとして働く女性たちにも役立つコンテンツを配信中。

次回のオンラインイベントの開催については、サイトや各種SNSで発信する情報をチェックいただきたい。

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文/柴田捺美 編集/秋元 祐香里(ともに編集部)