仕事・結婚・出産…年中無休でモヤモヤ中の29歳に東大卒夜遊び職人ジェラシーくるみが説く「いらないものねだり病」から脱する術

30代を目前に、人生に焦りを感じ始める29歳ーー。

仕事ではまだ何も成し遂げられていない。もっと早く結婚すると思ってたのに、その予定すら見えない……。

思った通りにいかない人生に「このままでいいの?」という不安が募る時期だ。

そんな「29歳問題」の真っただ中にいる女性たちの間でいま話題になっているのが、東大卒の恋愛コラムニスト・ジェラシーくるみさんの近著『そろそろいい歳というけれど』(主婦の友社)だ。

「昼間はしがない会社員、夜は東大卒の夜遊び職人」として、ファンから寄せられる恋愛相談の数々を独自の視点でぶった斬ってきたくるみさん。

自身も「29歳問題」の真っただ中にいると明かす彼女だが、アラサー女性の悩み相談に応じる中で見えてきたのは、「私たちは、常に“いらないものねだり”をしすぎている」ということだという。

手元にある幸せから目をそむけて苦しんでしまう29歳に、くるみさんが伝えたいこととは?

プロフィール

ジェラシーくるみ

東大卒のコラムニスト。昼はしがない会社員、夜はネタ集めに精を出す夜遊び職人。恋愛やキャリア、女性の生き方についてWebメディアを中心に執筆中。フォロワーから寄せられた悩みに答えるPodcast「ジェラシーくるみのぶったぎり!」も配信中。初の著書『恋愛の方程式って東大入試よりムズい』(主婦の友社)は、恋愛理論や人生哲学がSNSで話題となり、重版となった。Twitterのフォロワー数は6万人超。 ■Twitter

悩めるアラサー女性の味方「東大卒の夜遊び職人」ができるまで

私は今、昼間はフルタイムの正社員として働きながら、SNSなどで「恋愛コラムニスト」として情報を発信しています。

この活動を始めたのは、友人たちとの会話がきっかけでした。

友人の相談に乗るたびに「ここまで深堀りして聞いてもらったことが無い」と驚かれることが多くて。

その言葉を聞いて、案外みんな、身の回りの人のエピソードを知らないのかもしれない、と気付きました。

他人の知恵や経験から学べることはたくさんあるのに、自分の糧にしないのはもったいない。

だから、私が「情報のハブ」として、周りから聞いた相談や自分なりの解決策をつぶやいていれば同じような悩みを抱える女性たちの気休め程度にでもなるんじゃないかと思ったんです。

「悩んでいるのは自分だけじゃないんだ」と分かるだけで、人の心の緊張はほぐれるものなので。

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本格的にSNSでの発信に力を入れるようになったのは、3年くらい前。

試行錯誤しながら私なりの恋愛論や自身の悩み事を語ったり、フォロワーからの悩みに答えたりするうちに、同年代の女性フォロワーの方が増えていきました。

特にアラサー世代の女性からいただく相談は、キャリアやライフイベントに関するシビアなものが多いですね。

20代前半の女性だと、恋愛関連の悩みが多いんですよ。「いい人がいない」とか「彼氏とうまくいかない」とか。でも、30代に近づくにつれて、悩みがもっと多様化していく。

キャリアアップと結婚のタイミング、妊娠適齢期を見据えた人生設計、パートナーとの今後やお金のこと、将来の親の介護……あらゆる問題が複雑に絡み合い、漠然とした不安にさいなまれる。

30代を目前に控えた29歳の焦りは、かなり切実なものだと感じます。

何者にもなれない自分への焦り、迫りくる出産タイムリミット……29歳問題の正体

また、私はこの29歳ならではのしんどさの要因って、いまだに「何者にもなれない」自分への焦りに起因しているんじゃないかと思っています。

相談を寄せてくれるアラサー世代の皆さんも、よく言うんですよ。友だちはいい会社に転職した、結婚した、子どもを産んだ……「なのに私は何も変わらない生活のまま、もう30歳になっちゃう」と。

そんなとき、正体不明の不安や焦りに襲われるんです。「私はこのまま生きてて幸せになれるのか? 本当は、今のうちにやるべきことがあるのでは?」って。

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特に、妊娠・出産のタイムリミットは先延ばしにできないもの。仮に29歳でパートナーがいなければ30代で誰かと知り合って、交際して、そこから結婚して……「出産まであと何年かかるの?」「もしかして、私は子どものいない人生を歩むことになるの?」「いや、そもそも子どもがほしいんだっけ?」なんていう禅問答スパイラルに陥ります。

満足いく仕事も結婚相手も子どもも、全てを手に入れるなんて無理に思えてくる……思い描いていた“ふつうの幸せ”の難易度の高さに気付くのです。

すると、想像と違う人生を歩むことになりそうな自分に、戸惑ってしまいますよね。

実はこうした問題は、私自身も決してひとごとではありません。普段は皆さんからいただくお悩みに回答しているけれど、アラサー世代ならではの問題は、私自身の悩みでもあります。

ただ、最近はこうした焦り、悩みともうまく付き合えるようになってきました。どうせ人生は思い通りにならないや! と開き直ったのと、手元にある幸せに目を向けられるようになってきたからです。

「あの子は全部持っているのに私は……」と悩む人は“いらないものねだり病”にかかっている

毎週のようにSNSにアップされる友人のウエディングドレス姿やマタニティーフォトなどを見て「みんなはいいな……」なんて、うらやましくなることもあると思います。

でもこれって、自分が持っていないものばかりに目を向けて、自分は不幸だと思い込む一種のぜいたく病なんです。

私はこのことを、“いらないものねだり病”と呼んでいますが、他人のステータスや生活を見ていると、今の自分にとって「不要なもの」さえうらやましくなってしまう。

「29歳問題」に陥って苦しんでいるなら、まずは自分が持っていないものより、自分が持っているものに目を向けること。

自由にできる時間やお金、ぱっと会える近所の友だち、やりがいのある仕事、信頼できる同僚……誰かが「持ってないもの」を、自分は何かしら持っているはずなんです。

ただ私たちは、自分にないものにはすぐ目がいくのに、自分の手元にある幸せには気付けない生き物。

私自身も、「あの子は全部持っていていいな……私なんて」と思う瞬間はありますが、そんなときには、学生時代の友人と話すようにしています。

そうすると彼女たちが「あんたのこの部分は、人にはまねできないところだよ!」「今だってこんなに恵まれてるじゃん!」と頬をたたいて、「私の持っているもの」を教えてくれる。

そういう存在が一人でも近くにいるだけで、手元の幸せに目がいくようになります。

もし、身近に頬をはたいてくれる人がいないなら、小説や映画など、コンテンツの力を借りてみるのもいいかもしれません。

身の回りの日常からかけ離れた世界に没入する。そういう時間を定期的に持つようにすると、“いらないものねだり病”も少し緩和されるんじゃないでしょうか。

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“持っている人”にもしんどさがある。「どうしても譲れないもの」「本当はいらないもの」を理解して

もう一つ、“いらないものねだり病”から抜け出すために必要なのは、「変わらない自分」を受け入れること。

例えば、旅行や留学などで見知らぬ場所で過ごしてみれば、自分が何に心動かされるのか、何に耐えられない人なのか、どんな環境にいても「変わらない自分」の芯があぶり出されてくるはずです。

すると、「お金持ちと結婚したあの子はいいな」なんてねたんでいたけど、結局のところ「自分は本当にそうしたいんだっけ? 別に必要なくない?」ってことにようやく気付ける。

結局、人によって欲望も感性も違うから、たとえ他人の選択をまねしたところで幸せになれるとは限らないんですよね。

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そうやって「変わらない自分」を理解できていれば、「自分にとっての幸せ」が確かな手触りをもって感じられるようになるんじゃないでしょうか。

そしてそれを理解することで、「どうしても譲れないもの」と「本当はいらないもの」の区別がつくようになります。

私たちは「譲れないもの」だけ手に入れていけばいいんですよ。安定した職だったり、大切な人との時間だったり、キャリア形成の目標だったり、自分にとって大切なものを。

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そして、たくさんの女性たちと話をする中で、“持っている側”だからこそ抱えるしんどさにも気付けました。

例えば、「結婚して家庭を持てば一丁上がり」のような気がしてしまうけれど、実はそんなことはなくて。

パートナーがいるのに孤独だったり、子どもがいることで自分の時間が持てなかったり、外からは見えにくいだけで全員何かに悩み苦しんでいるんです。

そう理解した今、私自身も”いらないものねだり”で焦ることはだいぶ減った気がします。

ですから、29歳問題のまっただ中にいて不安を感じている皆さんに改めて伝えたいのは、まずは「手元の幸せ」と「どうしても譲れないもの」だけに目を向けてということ。

どうせ人生は思い通りにはなりませんが、なるようにはなるので大丈夫です。

書籍情報

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『そろそろいい歳というけれど』(ジェラシーくるみ著/主婦の友社)

人生の進捗がないのは私だけ? 25歳を過ぎたあたりから言葉にできない不安や焦りに悩まされ、年中無休でモヤモヤするアレの正体について。

仕事と結婚、お金に関して働く女性が抱える悩みに対して、東大卒の夜遊び職人・ジェラシーくるみが「アラサーを取り巻く31のテーマ」を斬りまくる一冊。

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取材・文/安心院 彩 編集/柴田捺美(編集部)