非効率な営業活動が劇的に変わる! インサイドセールスの注目企業に学ぶ「情報共有・適材適所」で伸ばすチーム営業の成果
電話やメール、Web会議システムなどを活用し、見込み客(リード)に対して営業活動を行うインサイドセールス。

コロナ禍以降、非対面型のコミュニケーションが定着したことや、人手不足によって自社では十分な営業人材を確保できない企業が増えたことにより、インサイドセールスのニーズは急速に高まっている。

『Googleトレンド』では、「インサイドセールス」の検索が2020年以降急上昇し、直近過去最高水準の検索数となっている
従来の営業職はそれぞれが担当顧客を持ち、個人で営業活動を行うことが多かったが、インサイドセールスはチームを組んで営業するのが特徴だ。
2002年の設立以来、インサイドセールスのアウトソーシング事業を手掛けてきたブリッジインターナショナルでは、チーム営業の生産性を高める仕組みをつくり上げてきた。
同社でインサイドセールスチームを率いる檜山菜々さんは、「現在では残業もほとんどなく、メンバー全員が時間内に高い成果を出せるようになった」と話す。
チーム営業のパフォーマンスを最大化する“仕組み”とはどのようなものか。
檜山さんと、メンバーとして働く平林菜映さんに、その秘密を語ってもらった。

<写真左>
ブリッジインターナショナル株式会社
サービス統括本部 第一サービス本部
部長
檜山菜々さん
<写真右>
ブリッジインターナショナル株式会社
サービス統括本部 第一サービス本部 第一サービス部
ISR
平林菜映さん
徹底した情報共有、短時間・高頻度のミーティングで生産性アップ
そもそもインサイドセールスは、営業効率を高めることを目的として誕生した職種だ。
従来は一人の担当が新規案件の発掘から受注まで行っていた営業プロセスを分業し、インサイドセールスが見込み顧客に対するアプローチを担い、成約の可能性が高まった段階でフィールドセールス(営業担当)に案件を引き継ぐ。
役割を分けることで、それぞれが自分の担当領域に集中し、効率よく成果を出せる。
「しかもインサイドセールスは非対面の内勤営業なので、足で稼ぐ従来型の営業とは違い、移動時間や訪問スケジュールを組み立てる手間も必要ない。とても効率的な働き方ができる仕事です」と檜山さんは話す。

そんなインサイドセールスの業務効率をさらに高めているのが、「チーム営業」というスタイルだ。
ブリッジインターナショナルでは、担当するクライアントとアプローチするターゲット層ごとに数名から十数名のチームを組んでいる。
例えば、あるIT企業をクライアントとするプロジェクトがあった場合、Aチームは大手民間企業、Bチームは金融機関、Cチームは公共機関に対して営業活動を行う、といった具合だ。
チームで取り組む最大のメリットは、個人の経験やスキルに依存せず、お互いが持つノウハウやナレッジを共有し、皆で協力して成果を出せること。
ブリッジインターナショナルでも、情報共有の仕組みづくりに力を入れてきた。
「情報共有には、チーム間で行われるものとチーム内で行われるものがあります。
前者については、チームを統括するSV(スーパーバイザー)が週に一度集まってミーティングを実施し、各チームが持つ事例や知見を共有。
そこで得た情報はSVから各チームのリーダーやメンバーに伝えられ、全員が把握します。
チーム内での情報共有については、毎日の朝礼・昼礼・終礼に加えて週に一度のミーティングがあり、さらにSVとメンバーの間で定期的に1on1ミーティングも行います。情報共有の機会はかなり頻繁に設けていますね」(檜山さん)
SV同士のミーティングでは、主に業務のオペレーションや見込み顧客への訴求についての情報が共有される。
効果的だったアプローチやミスなどの事例、使用するツールやマニュアルの更新情報などを確認し合い、各チームに持ち帰って活用することで効率アップや生産性の向上を目指す。
また見込み顧客とのコミュニケーションで効果的だった会話や文章は、トークスクリプトやテンプレートにしてチーム内で共有することも多い。
「例えば、あるチームのSVが『来週から製造業のお客さまに対してこんな提案をしようと考えている』と相談すると、以前に同様のアプローチを実施したチームから『トークではこんな点に注意するといい』とか『別の提案の方が反応は良かった』といった情報がどんどん提供されます。
チームごとにいちから試行錯誤するのではなく、事例を参考により効果的な方法を実践できるので、成果につながりやすくなります」(檜山さん)
同様にチーム内でも、業務内で生じた疑問点や悩みは日々の朝礼や昼礼で共有し、他のメンバーから情報提供やアドバイスを受けられる。
チームには若手からベテランまでをバランスよく配置しているので、経験の浅い新人が困ったときもリーダーや先輩にすぐ相談できるのがメリットだ。
一方で、これだけミーティングの数が多いと、本来の仕事である営業活動に使う時間が減ってしまうのではないかと思うかもしれない。
しかし檜山さんは「1回の時間は短くていいので、毎日決まったタイミングで情報共有の場を作ることが大事」と話す。

「朝礼や昼礼は5分から10分程度で終わるので、ミーティング自体に時間を割かれることはありません。
それに分からないことを確認できる時間が定期的に確保されていれば、メンバーもそれを見越してスケジュールを立てられます。
仕事をしていて一番困るのは、上司や同僚に突然『今ちょっといい?』と声を掛けられて、想定外の時間を取られてしまうこと。
それによって1日のスケジュールが狂ってしまうと、予定していた仕事が終わらず、残業も発生しやすくなる。
固定で情報共有の時間を設けた方が、結果的に効率よく働けます」 (檜山さん)
メンバーの強みを生かす「適材適所」がチームの業務効率を上げる
チームのパフォーマンスを最大化するには、目標を設定し、達成度を測定しながら、目指す成果を出すための仕組みづくりも必要だ。
そのためブリッジインターナショナルでは、チームの目標を数値化したKPIの設定や個々の実績を評価するシステムも整備されている。
「インサイドセールスのKPIには、コール数や案件数(商談数)、アポイントの獲得数や1回あたりのトークタイムなどの指標があります。
当社の場合はチームと個人のそれぞれにKPIを設定し、新人や若手は自分の目標値をクリアすることに集中する。
そして経験を積んだベテランはチームのKPIを追い、なかなか成果を出せないメンバーがいたらサポートして、チームで目標を達成できるように貢献してもらいます。
先ほどの情報共有も含め、お互いに協力しあって成果を出す仕組みをつくることで、個々のメンバーも『一人じゃない』と心強く思える。
心理的安全性の確保ができるところも、チーム営業の大きなメリットです」(檜山さん)
評価項目も細かく設定し、「敬語が使えているか」「お客さまとの会話が成り立っているか」といった基礎的なものから、「ターゲットに合った適切な提案ができているか」「潜在的ニーズを持つ見込み客に対して購買意欲を醸成できているか」といった成果に直結するものまである。
これらの指標に基づく価はスコアとして本人にフィードバックされ、自分の営業スキルが現在どれくらいかを把握できる仕組みだ。
個人のスキルや経験を客観的に評価することで、本人の強みや得意なことも明確になり、チームを編成する時も適材適所の配置が可能になる。
この点もチームの生産性アップにつながっていると檜山さんは話す。

「ひと口にインサイドセールスといっても、営業色の強いものやマーケティング色が濃いもの、事務作業の割合が多いものなど、さまざまな活動内容があります。
仮に営業力は高いけれど事務作業は得意ではないメンバーが、煩雑なオペレーションが必要な案件を任されたら、自分が持つ力を存分に発揮できないでしょう。
よって当社では、メンバーの特性をできるだけ生かす配置を行っています。
すると、本人のモチベーションも上がり、営業の質が向上して高い成果が出せると同時に、仕事のやりがいや面白さも感じてもらえます」(檜山さん)
効率的に成果を出せる仕組みを確立したことで、クライアントのフィールドセールスから「自分たちでは手が回らない見込み客へのフォローを全て任せられるので本当にありがたい」といった感謝の言葉をもらうことも多く、どのチームも手応えを感じながら日々の仕事に取り組んでいる。
チーム営業は効率アップや生産性向上につながるだけでなく、メンバーがやりがいを持って意欲的に働くための仕組みでもあると言えるだろう。
チーム営業なら、孤独に頑張らなくていい

22年4月に新卒入社した平林さんが現在所属するのは、大手外資系IT企業をクライアントとするプロジェクトで、公共機関に対して営業活動を行う8名体制のチームだ。
ソフトウエアを中心とした商材を扱い、新規の見込み顧客に対して情報提供やニーズの発掘を行ったり、既存顧客に対して契約の継続や追加購入を促したりするのが平林さんのミッション。
檜山さんの話にもあったように、平林さんの1日は朝礼からスタートする。

「朝礼で当日のスケジュールや連絡事項をメンバー間で共有した後、お客さまへのコールを開始。
お昼休みを挟んで午後の始業時にも昼礼があり、午前中に出てきた疑問点や不明点があれば、リーダーや先輩に相談してその場で解決します。
午後は、クライアントと打ち合わせが入ることも多く、フィールドセールス側との情報共有はこの時に行います。
その後も電話やメールでお客さまへのアプローチを続け、夕方になったら今日一日のレポートを作成して提出し、18時で業務終了です。ほとんど残業はない環境ですね」
入社2年目の平林さんは、「分からないことがあれば、チームの先輩になんでも聞ける環境があるのが心強い」と話す。
「私が所属しているチームには10年近いキャリアを持つメンバーもいるので、相談すればどんなことでも答えてもらえるのがありがたいです。
私は新人なので、『こんな時はどんな言い回しをするといいですか?』『お客さまにこんな質問をされたのですが、どう対処すればいいですか?』といった基本的な質問をよくしますが、先輩たちが豊富な経験をもとにアドバイスしてくれるので本当に助けられています。
一人で疑問や不安を抱え込んでしまうと精神的にもつらくなりますが、チーム営業なら孤独に頑張らなくていい。その点でも働きやすさを感じています」(平林さん)
朝礼や昼礼は短時間だが、週に一度のチームミーティングは1時間ほど設定されているので、業務のことだけでなく、ちょっとした雑談やプライベートの話などもしながらコミュニケーションを深めているそう。
お互いの理解を深める時間も設けることで、仲間としての一体感が醸成されている。
また、周囲のサポートを受けながら経験を積むことで、平林さんは自身の成長も感じられるようになったと話す。

「仕事を始めた当初は、電話をかける前に『お客さまが出たら何を話そうか』『こんなことを聞いてもいいのかな?』とあれこれ考えすぎる傾向がありました。
でも今は、迷う前にとにかくコールしてお客さまと話すことを心掛けています。
もし会話の中ですぐに答えられないことがあっても、電話を終えたらすぐチームに相談できるので、次のコールではどう話せばいいかというプランが立てられる。
ネクストアクションが決まっていれば、積極的にお客さまへアプローチできます」(平林さん)
またクライアントと情報共有するツールもあり、共通の顧客管理システムにインサイドセールスが見込み顧客との会話内容や相手の反応を書き込むと、フィールドセールスがリアルタイムで確認できる仕組みになっている。
「お客さまが抱えている課題やご予算、興味がある製品など、電話やメールでお聞きした内容を詳細に記録して共有します。
フィールドセールスはすでに動いている案件への対応で忙しく、現時点で契約や受注につながるかはっきりしない見込み顧客まで十分にカバーできない方も多くいらっしゃいます。
そこで私たちができるだけ多くのリードを継続的にフォローし、商談や受注につながる可能性を見いだして共有することで、フィールドセールスも新規案件を創出しやすくなります。
クライアントから『インサイドセールスが見込み顧客のポテンシャルを詳しく共有してくれたので、新規のお客さまを獲得できました』と感謝の言葉をいただくこともあり、私がお渡しした情報が役に立ったのだなとうれしくなります」(平林さん)
新人ながら、着実に成果を出している平林さん。
「私はお客さまとの会話時間が比較的長く、トークタイムのKPIでも良い数値が出ているので、お客さまに話しやすい相手だと思っていただけるのが自分の強みなのかなと感じています。
これからもっと得意分野を伸ばして、チームに貢献できるようになりたいです」(平林さん)
そう言って、笑顔を見せる。

効率よく働きながら、仕事のやりがいや成長実感も手に入れたいーー。そんな女性にとって、インサイドセールスは有力な選択肢の一つになるはずだ。
取材・文/塚田有香 撮影/洞澤 佐智子(CROSSOVER)