08 SEP/2023

文系出身者でもチャレンジできる! AI時代の最旬職種5選

一般社団法人生成AI活用普及協会 理事 木内翔大

「AIが人の仕事を奪う」と言われる一方、AIの普及に伴って新しい職種が生まれている。

「その中には高度な機械学習の知識やプログラミングのスキルを必要としない職種も多く、理数系のバックグラウンドを持たない人でもチャレンジしやすくなっています」

こう教えてくれたのは、生成AI活用普及協会理事の木内翔大さん。

その理由とともに、特に需要が高まると予測される、五つの職種を紹介しよう。

一般社団法人生成AI活用普及協会 理事 木内翔大

一般社団法人生成AI活用普及協会
理事 木内翔大さん

大学時代からフリーランスのWEB・AIエンジニアとして活動。2013年、日本初のマンツーマン専門のプログラミングスクール『SAMURAI ENGINEER』を創業。累計4万人にIT教育を行う。23年、株式会社SHIFT AIを設立。23年5月、一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)の理事に就任

「AI時代」のチャンスはみんなに平等に広がっている

AI時代の到来により、人間が担う仕事の領域は大きく変わろうとしています。

AIの進化によって人間は単純作業や反復性の高い業務から解放され、より複雑でクリエイティブな仕事をすることが求められるからです。

それに伴い、新たな職種も次々と生まれています。

すでにビジネスの現場ではAIによる仕事の代替が始まっていて、人間の活躍の場はより上流の仕事へとシフトしています。

現場の実務や作業はAIに任せて、人間はビジネス全体に関する戦略を策定したり、プロジェクトをマネジメントしたり、現場が回るようにディレクションしたりといった上流の役割を担うことが期待されているのです。

AI時代 新職種

「AI時代」と聞くと、情報工学やデータサイエンスを専門に学んだ人が有利なイメージを持つかもしれません。

しかし現在生まれている新職種は、理数系のバックグラウンドを持たない人にも活躍のチャンスがあります。

ChatGPTをはじめとする生成AIは、私たちが普段話している自然言語で活用できる技術であり、使いこなすのに高度な機械学習の知識やコーディングのスキルは必要ありません。

AIを誰もが当たり前に使う時代になっていくからこそ、AI活用スキルの習得は今がスタートラインであり、これからは問題解決力やコミュニケーション力、マネジメント力など、AI以外のビジネススキルがより重要になるでしょう。

最旬職種1. AIマネジャー

AIマネジャー

【仕事内容】

AI技術の導入や運用を統括する仕事です。AI関連のプロジェクトにおいて戦略や方針を考え、AIツールやサービスを適切に利用する方法を提案します。

またプロジェクトが円滑に進むようにチームをマネジメントしたり、AI技術の導入に伴うセキュリティや倫理面のリスクを管理するのもAIマネジャーの仕事です。

従来のマネジャー職との最大の違いは、人だけでなくAIもマネジメントすること。今後はどの企業も、人とAIの協働によってビジネスを運営していくため、両者の力を効果的に組み合わせて現場を運営することが求められます。

【注目の理由】

AI技術の普及に伴い、今後はあらゆる企業がビジネスにAIを取り入れていくことになります。その際に必要なのが、自社にとって最適な方法でAI技術を導入・運用し、人とAIをマネジメントしながらプロジェクトをリードできる人材です。

その役割を担うのがAIマネジャーであり、幅広い業界・業種で需要が高まると予想されます。

この職種に求められるのは、ビジネス全体を俯瞰して分析し、AI技術の効果的かつ効率的な運用法を戦略的に考える力です。

エンジニアリングのスキルは必要ありませんが、AIの基本的な知識を理解し、業務全体を設計する力が求められます。

AIを導入する際は、各部署との調整や交渉が生じるため、コミュニケーション力も重要です。

【向いている人】

・全体を俯瞰して戦略的に思考できる
・対人のコミュニケーションスキルがある

最旬職種2. データサイエンティスト

データサイエンティスト

【仕事内容】

大量のデータを分析し、その結果から有益な情報や知見を引き出す仕事です。統計学や機械学習などの技術を駆使して、ビジネス上の問題解決に貢献します。

これまではデータサイエンスを専門に学んだ人が就く職種でしたが、生成AIは上記の技術を必要とするデータ分析を自動的に行ってくれるため、今後は文系出身者にも広く門戸が開かれると予想されます。

分析の作業は生成AIに任せて、データをどのように整理し、連携・統合させればビジネスに役立つかを考える、いわば「データマネジャー」のような役割に移行していくでしょう。

【注目の理由】

企業のAI活用において重要なのが、「どんなデータをいかに有効利用するか」です。

これまで企業は市場や顧客に関する大量の情報を持ちながら、貴重なデータを生かしきれずにいました。

そこで社内に点在するデータをAI技術へ連携・統合し、ビジネスの問題解決につなげる取り組みが進んでいます。

今後は社外のデータとも連携し、マーケティングや商品開発など幅広い領域でデータ活用が進んで、データサイエンティストのニーズは一層高まると考えられます。

すでに説明した通り、高度な機械学習の知識やコーディングのスキルがなくても就ける職種になりつつあるため、文系出身者でも数学や統計学に強い興味がある人なら、活躍のチャンスが開けるでしょう。

【向いている人】

・数学や統計学に強い興味関心がある
・データを活用して課題を解決できる

最旬職種3. プロンプトデザイナー

プロンプトデザイナー

【仕事内容】

生成AIやチャットボットなどの対話型システムを有効活用するには、適切な指示や質問(プロンプト)を入力する必要があります。

何を入力するかによって出力の精度が変わるため、より良いアウトプットを得るには、どの言葉を選び、どのようなフローで指示を出すかがカギを握ります。

このプロンプトを設計するのが、プロンプトデザイナーの役割です。

対話型システムが登場した当初は、エンジニアがプロンプトの設計を担っていましたが、今後は自然言語を使いこなすスキルに長けた文系出身者にも活躍の場が広がっていくと考えられます。

【注目の理由】

AIを活用した対話型サービスが増える中、プロンプトの重要性が高まっています。

ユーザーとの円滑なコミュニケーションを実現し、利用した人にサービスの使いやすさや有用性を感じてもらうには、プロンプト設計の専門家が必要です。

自然言語によるAIとのコミュニケーションが可能になった今、AIに指示を出すのも、人間に指示を出すのも、本質的には同じです。よって人間に対するコミュニケーションが得意な人は、この職種に向いています。

またユーザーの視点に立って課題やニーズを発見するデザイン思考や、ユーザーの要求を具体化してプロンプトに落とし込むまでの工程を管理するプロジェクトマネジメントのスキルも求められます。

【向いている人】

・言葉の選び方や会話の流れに敏感
・ユーザー体験を向上させるのが好き

最旬職種4. AIソリューションセールス

AIソリューションセールス

【仕事内容】

AI関連の製品やサービスを企業や組織に対して販売する仕事です。

顧客のニーズを理解し、AIツールやプロダクトをどのように使えば相手の課題を解決できるかを考えて、最適なソリューションを提案します。AIツールやサービスは応用範囲が広いため、ユーザーのニーズに合わせて柔軟にカスタマイズすることが求められます。

IT製品の普及によってITソリューション営業という職種が生まれたように、今後はAI領域を得意とする営業が活躍の場を広げるでしょう。

単にものを売るのではなく、顧客とともに課題を解決するパートナーの役割が期待されます。

【注目の理由】

いまや世界中でAIを活用した製品群が開発され、1日あたり数百のサービスが誕生していると言われます。

これだけ急速に種類が増えると、一般ユーザーが自社にとって本当にメリットがある製品を選び出すのは困難です。

よって各製品の特性や機能を熟知した営業のプロによるサポートが不可欠となります。多くの企業がAI関連製品の導入を進める中、AIソリューションセールスの需要は拡大が続くでしょう。

AIソリューションセールスとして活躍するには、自分が扱うツールやサービスに精通していることに加え、顧客のビジネスや業務への理解も必要です。

また相手の課題に対し、その製品がどう貢献できるかを考える課題解決思考も求められます。

【向いている人】

・AI知識とビジネスの両方を理解している
・課題解決思考や顧客対応力を備えている

最旬職種5. AIコンサルタント

AIコンサルタント

【仕事内容】

企業や組織のニーズに合わせて、最適なAIサービスやソリューションを提案する仕事です。

AIソリューションセールスが特定の製品群を扱うのに対し、AIコンサルタントは複数のサービスやツールを連携し、より幅広い手法で顧客の課題解決を図ります。

またAIの導入に伴う戦略策定やROI(投資収益率)の予測も行い、顧客企業の経営全体を踏まえたコンサルティングを提供します。

一方で、AI製品やツールを現場に実装するプロセスまで支援するケースも多く、上流から下流まで一気通貫で顧客のビジネスをサポートする役割が期待されています。

【注目の理由】

これからは多くの企業がAI活用を前提とした経営戦略を描くようになり、AI技術をいかに自社のビジネスや業務に組み込むかが企業の成長や収益に大きく影響する時代になります。

それに伴い、AIと経営の専門知識を兼ね備えたコンサルタントの支援を必要とする場面も増えるでしょう。

AIの導入を進めることは、人の仕事をAIが代替することを意味します。人がいなくても回る現場を作るには、顧客の業務を現場レベルまで深く理解することが必要です。

また企業がAIを導入するにあたっては、データの取り扱いに関するセキュリティーや倫理的な課題への配慮が求められるため、こうしたリスク管理もAIコンサルタントが果たすべき重要な役割になります。

【向いている人】

・戦略的思考による問題解決が得意
・顧客企業の業務を深いレベルで理解できる

誰もがAI初心者だからこそ、若い人が飛躍する可能性が高い

AI時代 新職種

生成AIの登場によって、社会のあらゆる領域で従来の常識や枠組みがリセットされ、ゲームチェンジが起こっています。

それに伴い、キャリア構築の方向性も大きく変わろうとしています。

今はまだ誰もがAI初心者であり、ゼロからスキルを身に付けていくことになります。社会経験が長いベテランも、大学を出たばかりの新人も、同じスタートラインに立っているわけです。

それはつまり、若い人たちにとって大きなチャンスが到来したことを意味します。

2010年代にSNSを使いこなす若い世代がビジネスの世界で飛躍を遂げたように、AIツールを使いこなせる人が優位に立てる可能性があるのです。

今までは特定のスキルを習得するのに数千時間の学習が必要とされてきました。ところが生成AIを使えば、初心者でも一定レベルのアウトプットを出せます。誰もが手軽にライティングや画像作成、コーディングなどの作業がこなせる反面、人間が持つスキルは普遍化しやすくなります。

よってAI時代のキャリア戦略としては、時間をかけて一つの専門性を極めるより、複数の領域で幅広いスキルや知識を身に付けて、一人で何でもこなせるジェネラリストを目指す方が有利になると考えられます。

「AIに代替されない人材」になるには、「AIを使いこなすスキル」「上流スキル(戦略策定やマネジメントなど)」「コミュニケーションスキル」を意識的に磨くといいでしょう。

ChatGPTなどの対話型システムは独学ツールとしても優れているので、どんどん活用して自分のスキルの幅を広げていくことをお勧めします。

取材・文/塚田有香 企画・編集/天野夏海 イラスト/ナカオテッペイ