毎日出社が合わず、エンジニアに未経験転職! 「プログラミングは苦手」を乗り越えられた要因とは
未経験からエンジニアになる女性が急増中! 実際にキャリアチェンジをした先にはどのような未来が待っているのだろう。先輩たちのリアルをのぞいてみよう
毎日の通勤が体に合わない。
社会人になって直面した働き方の問題に対し、「自由な働き方ができるエンジニアへのキャリアチェンジ」という解を出したのが、現在フリー株式会社でアプリ開発に従事する青木理紗子さんだ。
実は、プログラミングは学生時代に授業で経験して以来、苦手意識があったという。
それなのに、なぜエンジニアにチャレンジしようと思ったのだろうか。

フリー株式会社
青木理紗子さん
2019年日本銀行に総合職として新卒入社。21年6月株式会社ミルプラトーにエンジニアとして転職し、勤怠アプリの開発などに従事。22年10月フリー株式会社に転職。入社時から現在までユーザーの課題をエンジニアリングで解決するCRE部門で『freee人事労務』を担当
毎日出社する働き方が合わなかった
私がエンジニアへのキャリアチェンジを考えたのは、毎日出社する働き方が合わなかったことがきっかけでした。
自分はどんな働き方をしたいんだろう……と考えていた時、大企業でエンジニアとして働いている知人がリモートワークをしていることを知って。「そんな自由な働き方ができるんだ」と衝撃を受けました。
あとは、「プログラミングができたらかっこいいな」っていう憧れもありましたね。
実は学生時代に少しだけプログラミングに触れたことがあったのですが、苦手意識があり、なるべく避けてきたんです。就活でもIT企業は一切受けませんでした。
それなのに挑戦しようと思ったのは、それだけ自由な働き方やエンジニアという職業への憧れが強かったのでしょうね。
働き方さえ自分に合っていれば、仕事内容はきっとなんとかなる。
そんな切羽詰まった気持ちもあり、知人のエンジニアからおすすめされた、ウェブ制作全般について広く浅く学べる入門書のような本を読み、まずは1〜2カ月勉強しました。
とはいえ独学ですし、システム開発会社にエンジニアとして転職した時点ではほぼ未経験。思い返すと、常識的な知識もなく……。
どうにか自力で調べ、分からないことは周りの方に教えていただきながら、体で覚えていった感じですね。
小さい会社だったこともあり、最初は既存サービスのバグ修正から始め、徐々に機能を追加したり、似た構成のアプリを一から作ったりと、とにかく手は動かしたなと思います。
1年半ほどたち、できることの幅はある程度広がったので、今度は大きい開発体制の組織で経験を積もうとフリーに転職。
現在はユーザーの課題をエンジニアリングで解決するCREという部署で『freee人事労務』を担当し、アプリケーションのバグをはじめ、ユーザーの困り事への対応をしています。

また、最近は機械学習を活用した社内サービスを作ったりもしています。
不具合の問い合わせに対し、過去に起きた類似の問題を大量のデータから探し出し、最適な対応を予測するツールです。一から設計し、仕様を決め、実装まで全て手掛けました。
自発的にやり始めたことですが、チームのみんなが使ってくれて、「便利になった」と言ってもらえる。作ってよかったですし、やりがいを感じますね。
青木さんが思う、エンジニアの3つの魅力
魅力1. 時間や場所、会社の枠を超えた働き方ができる
自由な働き方ができる雰囲気があります。リモートワークやフレックスといった制度だけでなく、お互いの事情を受け入れ、カバーし合う意識を持った人が多いのを感じますね。
今は週3出社ですが、体調が悪い場合はリモートに切り替えられますし、もちろん休みを取ることもできます。コアタイムはあると思うんですけど、把握していないくらい自由です(笑)
特に私の場合、業務が社内で完結することもあり、負担なくやれているなと思います。
また、技術さえ身に付ければ、時間や場所だけでなく、会社の枠にとらわれず働くことも可能です。ライフスタイルに合わせて働き方や職場を変えやすいのは一番の魅力ですね。
魅力2. エラーを乗り越え、思い通りに動く感動
作ったものが思い通りに動いた時って、すごいうれしいんですよ。
一つのエラーを直したら違うところでエラーが出て……という苦しみを繰り返し、それを乗り超えた先に「できた!」っていう達成感がある。
試験に合格したり、マラソンを走り抜いたり、そういう感覚に近いかもしれません。何らかの物質が脳内に分泌されているのを感じますね(笑)

プログラミングを始めたばかりの頃は、エラーが出るたびに「もう!」って思っていたけど、「エラーは出るものであり、一発で思い通り動くことはない」と理解できれば、冷静に対処できるようになります。
数をこなせば自然とそんなマインドになっていくので、諦めず、地道に、泥臭くやるしかないかなと思います。私の場合、3カ月くらいでエラーにため息をつくことはなくなりました。
個人的におすすめなのは、煮詰まったら1日寝かせてみること。「このエラーは一生直らない……」と思っても、翌朝になったらすぐ解決することが結構多いんです。
魅力3. 最新テクノロジーを駆使すれば、経験が浅くても活躍できる
テクノロジーの進化によって衰退が予想されている業界もある中、IT業界では新しい技術が続々と登場しています。
最近私がやっている機械学習はまさに今のトレンド。その魅力の一つは、経験が浅い人でも活躍しやすいことだと思います。
技術自体が新しいものですし、機械学習の精度は日々向上していて、目まぐるしく進化しています。「こんなこともできるんだ!」という面白さを日々感じられる。
ずっと勉強をし続けなければいけないけれど、それを楽しめる人にとってはワクワク感がある環境だと思います。
実際に私が機械学習を使って作った社内ツールも、公開されているモデルを利用したものです。
『ChatGPT』にプロンプトを入れればコードを書いてくれますし、未経験者の敷居は下がっているように感じますね。
最初の1年さえ越えれば、プログラミングはどんどん楽しくなる

学生時代は嫌いだったプログラミングを、今の私は夢中でやっています。本当に、人生って分からないですね。
エンジニアは専門職で、プログラミングは特殊な作業ではあるけれど、実際に仕事としてやってみると、日々の業務は他の職種とそう変わらないのだと感じます。
どんな仕事であれ、課題を見つけ、その解決方法をチームで話し合い、解決に向けて動くこと自体は同じ。
例えば事務職の人が書類を作成する部分が、エンジニアにとってはコードを書くことだったりする。そういう手段の違いがあるだけで、仕事自体に大きな違いはないというか。
だからいろいろな人に、エンジニアにチャレンジしてほしいなと思います。
ライフステージに応じた柔軟な働き方を実現しやすい職種ですし、エンジニアのスキルをベースに、PdM(プロダクトマネージャー)として製品開発を上流からリードするなど、その後のキャリアの可能性も広がります。
また、エンジニア以外の仕事を経験していることが強みにもなると思います。エンジニアとは異なる視点で物事を見たり、技術的なことが分からない人にかみ砕いて説明できたり。
プログラミングは難しそうだと感じるかもしれませんし、実際、勉強し始めてから最初の1年くらいはしんどいかもしれません。
とにかく手を動かすのが一番だけど、エラーも出るし、環境構築など難しいことを最初にやらなければいけない。
学生時代の私がプログラミングに苦手意識を持っていたのも、分からないことが多すぎて「自分には無理」っていう拒否反応があったことが大きかったと思います。
そんな学生時代と今の違いは、サポートしてくれる人の存在。一人だとどうしようもないから、頼れる人がいる環境で勉強を始めるのがベストだと思います。
そうやって最初のハードルさえクリアできれば、きっと大丈夫。数をこなせばエラーをパッと見て「このあたりが原因だな」と目星がつくようにもなります。
私はエンジニアに転身してまだ3年弱ですけど、やれることは年々広がっています。プログラミングはどんどん楽しくなっていますね。
青木さん愛用ツール『Jira』

うちのチームではタスク管理を『jira』というツールで行っています。これがないと仕事にならないくらいお世話になっていますね。
『自動化』の機能を使えば、条件に合わせてチケットのステータスを自動で変えたりコメントしたり、その内容をslackに通知したりと、目的に合わせて細かくカスタマイズできるところがいいなと思っています。
取材・文・編集/天野夏海 写真/ご本人提供
『未経験からのエンジニアライフ』の過去記事一覧はこちら
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