朝早く出社する人ほど残業が多い!? 働く女性の「早朝勤務」の現実
最近、遅くまで残って仕事をする代わりに、朝早く出社して仕事をすることを推奨する企業が増えています。中には早朝に出社して仕事を行う「朝の残業」に時間外手当を支払う企業も。始業まで、ということでタイムリミットも決まっているし、1日の始まりで頭がすっきりしている状態で効率良く仕事をすることで、夜遅くまで残る「ダラダラ残業」を減らす狙いがあるようです。効率的な勤務体系として注目を集めている早朝勤務。実際に、朝早く出社している人は夜の残業が少ないのでしょうか?
まずは平均的な出社時間を調べてみると、今回のテーマである「朝残業」がはかどりそうな1時間以上前に来ている人は10%と少数派。この始業の1時間以上前に出社をしている「早朝出社」派と5分未満でギリギリに出社をしている「ギリギリ出社」派の平均的な残業時間を比較してみました。
すると、ギリギリ出社派は残業が「ほとんどない」人が半数近く、あっても1時間以内という人が4割という結果に。一方、早朝出社派では35%が「ほとんどない」と答えたものの、1時間~2時間の残業がある人が20%、2時間以上残業がある人も20%と、出社時間が早い人たちの方が残業時間も長い傾向にあることが判明しました。
さらに「勤務時間の面で、今の働き方に満足していますか?」という質問をしてみると、「満足している」と答えた人はギリギリ出社派が65%、早朝出社派が35%。半数以上の早朝出社派が、今の働き方に不満を持っていることが分かります。早く帰ってプライベートを充実させるために朝残業に取り組んでいるわけではなく、残業しても仕事が終わらないからやむなく早朝に出社しているのが残念ながら現状のよう。とはいえ、「早起きは三文の徳」というように、早朝出社で得られる“得”もあるようです。
「電車が遅れても遅刻にならない」(36歳/調理)
「満員電車に乗らずに済む。朝のラッシュでやる気を失くすことが多々あるので」(28歳/一般事務)
【朝イチのハイパー集中タイム】
「電話が鳴らないため、仕事を中断されることなく集中できる。始業時間までに頭がクリアになっている」(32歳/営業)
「周りの人から話し掛けられずに集中して仕事ができる」(34歳/総務・人事)
「まだ誰もいないオフィスで集中して仕事の準備ができ、就業開始時間からしっかり仕事ができる」(32歳/コールセンター、スーパーバイザー)
【効率良く働くための準備運動】
「その日の業務計画を見直したり、確認をする時間ができ、余裕を持って業務の準備が出来る」(37歳/接客・販売)
「就業準備をゆったりと行うことができる。また、『昨日は○○ができなかったから、今日は○○をやろう』など、確認もできるし、焦らずにすむ」(25歳/介護ヘルパー)
一日の疲れが溜まっている夜に仕事をするよりも、朝早く人が少ない時間帯の方が業務がはかどるという意見が多く寄せられました。また、朝に業務整理や準備を行うことで、その日1日の仕事をスムーズに進める効果もあるようです。
最近話題の早朝勤務ですが、朝早く出社して仕事をしたからといって、必ずしも早く帰れるという単純な話ではないことが見えてきました。まずはそもそもの仕事の仕方や業務量を見直して、その上で「1日の仕事を効率的にしていくための大事な時間」として朝の時間を使うことが、仕事と働き方の質を上げる肝になりそうです。
【アンケート調査概要】
●調査方法:転職サイト『女の転職@type』の20代~30代女性会員およびWebマガジン『Woman type』サイト読者へのWebアンケート
●調査期間:2015年4月16日~20日
●有効回答者数:214名
取材・文/大室倫子(編集部)
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