17年間で「28歳の価値観」はどう変わった? 比較調査から見えてきた、仕事・結婚出産・お金観
もうすぐ30歳──「素敵な大人」になるために、28歳の今からやっておきたいことって何? サイトオープン13周年を迎えたWoman typeが、「なりたい自分」になるための“28歳のこれから”を一緒に考えます

仕事を一通りこなせるようになり、自分の思考も何となく分かってきて、人生の選択を意識し始める「28歳」。同年代の働く女性たちは、どんな不安や迷いを抱えているのだろうか?
今回は、2007年にWoman typeが28歳(平均27.6歳)の女性たちの「仕事・結婚・お金」に関する価値観を調査した時と、同じ項目で28歳前後の女性たちにアンケートを取得してみた。
すると17年たっても変わらない働く女性の価値観と、時代によって変化した思考が浮き彫りに。28歳のWoman type世代の「これから」を考えるヒントになるようなポイントを、ピックアップして紹介しよう。
【仕事】「働く目的」「職場・仕事への不満」は普遍的
はじめに比較するのは、「あなたは何のために働いていると思いますか?」という質問。

Q.あなたは何のために働いていると思いますか?(複数回答可)
上位から、「お金を稼ぐため」、「人間的に成長するため」、「達成感・やりがいを感じるため」……と続き、回答のランキングに大きな変化は見られませんでした。
17年の時を経ても、女性たちの「働く目的」自体はおおむね変わらないようです。
次に、今の勤務先や仕事内容に対する不満要素について聞いて見てみましょう。

Q.今の勤務先に対する不満要素は何ですか?(複数回答可)
2007年も現在も、「給料が低い」「長く働いていけそうにない」という項目が職場への不満のトップ2で変化はなし。
一方で、「昇進・昇格ができない」ことや「成果がなかなか評価されない」ことへの不満は2024年の調査で減少。女性たちの昇進意欲の低下は、変化として見てとれます。

Q.今の仕事内容に対する不満要素は何ですか?(複数回答可)
仕事内容に対する不満は、「やりがいが感じられない」「スキルアップができない」「ハードワーク」の順に多く、この17年で大きな変化は見られませんでした。
ただ、注目したいのは「勤務先や仕事内容への不満は特にない」と回答する人の割合が著しく増えていること。
2007年に比べて、女性が挑戦できる仕事の幅が広がったり、「やりたいこと」を重視して仕事をする人が増えたり、自身が理想とする会社や環境を選べるようになったことの表れかもしれません。
【仕事】先輩や上司には憧れない・相談しない?
今回の調査で17年前と今で大きな変化が見られたのが、職場内で尊敬している人、仕事の悩みや愚痴を相談できる相手について。

Q.職場内で尊敬している人は?

Q.仕事上の悩みや愚痴を相談できる相手は誰ですか?
2024年の回答では、「尊敬している人」「仕事上の悩みや愚痴を相談できる相手」について「上司」「先輩社員」と回答する人の減少が目立ちました。
2024年は、二つの質問に「特にいない」と答えた人が最多となっており、職場の人に頼ったり相談したりする人が減ったことが傾向として見られます。
また「仕事のモチベーションが上がるときは?」という質問に対しても、「上司からほめられた時」と答える人は2007年に比べて2割以上減少しています。

Q.仕事のモチベーションが上がるときは?(複数回答可)
また、2024年の調査では「上司から褒められる」「顧客からありがとうと言われる」「新しいことを任される」ことでモチベーションが上がる人が減少。「給料が上がったとき」に意欲が向上する人が最多という結果になりました。
【仕事】管理職になるかどうかがキャリアのネックに?
もう一つ、顕著な価値観の変化が見られたのは、管理職に関する質問です。

Q.今後のキャリアを考える上でネックになるものは何だと思いますか?(複数回答可)
「今後のキャリアを考える上でネックになるものは何だと思いますか?」という質問に対して、「管理職になるかどうか」と答えた人は、2007年は約1%、2024年は約25%と、4人に1人が回答したという結果になりました。
一方で「管理職にチャレンジしたいと思いますか?」という質問に対しては、「思う」が30%以上、「思わない」が約40%と、割合自体には大きな変化はありませんでした。

Q.管理職にチャレンジしたいと思いますか?
また「30代になる前に必ず身に付けておくべきスキルは何だと思いますか?」という質問に対しても、2024年には「マネジメントスキル」と答えた人の割合が上がっています。

Q.30代になる前に必ず身に付けておくべきスキルは何だと思いますか?(複数回答可)
ITスキルやパソコンスキルなど専門性の高い“技術力”を挙げる人の割合は上がっているものの、それでも2007年・2024年ともにコミュニケーション力、トラブル対応力、交渉力など、対人スキルが変わらず必要とされていることが印象的です。
【結婚出産】理想の結婚・出産年齢は30歳前後でキープ
続いて質問したのは、結婚・出産の理想の年齢について。

Q.結婚・出産の理想年齢は?
2007年、2024年では、結婚の理想平均年齢が1歳近く下がっていた一方で、出産に関しては大きな変化は見られませんでした。
日本全体で見ると、2007年時の女性初婚年齢平均は28.0歳、最新の2022年版では29.7歳(出典:厚生省)と上昇を続けているため、理想と現実の乖離が進んでいるとも言えます。
【お金】「趣味のために貯金」する人が増加中
最後に大きな変化が見られたのは、貯金の目的に関する質問。

2007年には「結婚・出産資金のため」「突発的な病気やケガなどのための備えのため」に貯金していた人の割合が高く出ていましたが、2024年では「趣味のため」と答えた人が最多となりました。
今の28歳の悩み、身近な先輩や上司たちも同じ道を辿ってきたのかも?
今回の調査では、先輩・上司への尊敬や信頼感が減っているという結果が出た一方で、仕事や職場に対する不満、結婚出産の希望年齢、管理職に挑戦したい人の比率などは、17年たった今でも大きな変化がないことも分かりました。
時代や社会環境は変われど、仕事やキャリア、結婚・出産など女性ならではの悩みには、普遍的なものが多いようです。
つまり、17年前に28歳だった現代の40代女性も、令和を生きる28歳と同じように悩み、不安を感じ、キャリアを歩んできたのかもしれません。
そう考えると、世代が違う先輩や上司でも、自分の悩みを打ち明けたらわかってもらえる可能性も高そうですね。

では、今回の調査結果で分かった悩みや不満を解決して、私たちが「素敵な大人」として生きていくためには、28歳の今具体的に何をすればいいのでしょうか?
今日から始まる「Woman type13周年特集」では、ロールモデルとなり得る女性へのキャリアインタビュー、結婚・出産やお金の専門家からのアドバイス、そして「30歳までに考えておくべきこと」や「AI時代に求められるスキル」など、「28歳のこれから」を考えるために必要なテーマの記事を複数用意しました。
「28歳、これからの私のためにやっておきたいこと」を、一緒に考えていきましょう!
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調査期間:2007年7月13日~17日、2024年10月3日~10日
有効回答者数:290名(2007年)、96名(2024年)
文/大室倫子(編集部)