稼ぐ女は本当にモテるのか? 婚活のプロに令和版“結婚したい女性の条件”を聞いてみた【植草美幸】

Woman type13周年特集
28歳、これからの私。

もうすぐ30歳──「素敵な大人」になるために、28歳の今からやっておきたいことって何? サイトオープン13周年を迎えたWoman typeが、「なりたい自分」になるための“28歳のこれから”を一緒に考えます

「最近は、収入がしっかりある女性の方がモテる」

そんな意見を耳にする一方、親や職場の上司からは「仕事ばかりしていると結婚できない」なんて余計なアドバイスをされることも。

世代が違うからと思いつつ、「もしかして仕事は頑張りすぎない方がいい……?」と、心が弱くなってしまう夜もあるかもしれない。

では、現代の男性が「結婚したい女」とはどんな人なのか。将来の結婚を見据える28歳のWoman type世代は、「仕事と“モテ”」についてどう考えればいいのか。

今年2月に放送されたテレビ番組『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ)の密着取材で、歯に衣着せぬアドバイスが大きな反響を呼んだ、結婚相談所 『マリーミー』代表の植草美幸さんに聞いてみた。

東京・青山の結婚相談所 マリーミー 代表 <br />植草美幸さん

東京・青山の結婚相談所 マリーミー 代表
植草美幸さん

1995年、アパレル業界に特化したコンサルティング業、株式会社エムエスピーを創業。リーマンショックを機に2009年、結婚相談業へと事業転換。自身のアパレル業でのコンサル経験を武器に、異性に好まれる「婚活ファッション」を提唱し、数々の未婚の男女を成婚へと導いていく。その手腕がメディアの目に留まり、「植草流婚活術」はメディアでも多数紹介されている。 年間で受ける恋愛・結婚相談の件数は約2000件を超え、 現在も結婚相談所 『マリーミー』で婚活現場の最前線に立ち、日々一人一人の会員と向き合いながら成婚カップルを輩出。
書籍「ワガママな女におなりなさい 「婚活の壁」に効く秘密のアドバイス」(講談社)、「結婚の技術」(中央公論新社)、『「良縁をつかむ人」だけが大切にしていること』(青春出版社、諏内えみ共著)
東京青山の結婚相談所マリーミーHPYouTubeオフィシャルブログX

年収が高い女性の方が人気が集まりやすく、成婚もしやすい

植草さん
編集部

今の婚活市場では、女性もしっかり仕事を持っている方がモテると聞きます。一方で、親からは「仕事ばかりしてると婚期を逃す」みたいに言われることもあって。

実際の婚活市場はどうなんでしょうか?

植草

稼ぎすぎて駄目ってことはないですね。例えば28歳であれば、年収800万円を超えていたら即相手が見つかります。

全体的な傾向として、高収入の男性と高収入の女性がマッチングする例は増えていますし、年収が高い女性の方が人気が集まりやすく、成婚もしやすいのはたしかです。

編集部

「女性の年収は高い方がいいけど、自分よりは低くあってほしい」という男性も多いイメージがあります。

植草

そういう男性もいますけど、その割合は年々減っているように感じます。

平成から令和にかけて、「女性の年収」に対する男性の見方は大きく変わっているんですよ。

編集部

どう変化しているんですか?

植草

私が結婚相談所を始めた2009年は、女性の収入をチェックする男性は少数で、女性のプロフィールシートにも年収欄がないのが一般的でした。

ところが、2017年頃から徐々に女性の年収を気にする男性が目立ち始めた。今では結婚相談所の約半数が女性にも年収表記を求めるようになっています。

編集部

なぜその時期から女性の年収を重視する男性が増えているのでしょうか。

植草

一つは、妻に求める役割の変化です。

1997年以降、共働き世帯が専業主婦世帯を上回る中で、「自分と同じように努力してきた人と、ともに高め合いたい」と考える男性が増えているのです。

そうなると、努力のレベルや各々が身を置く環境に乖離がありすぎると話が合わないんですよね。だから同じくらい頑張って、稼いでいる女性に目が向いていく。

そこが専業主婦が多かった時代とは大きく違う点です。

編集部

とはいえ、「妻にはほどほどに働いて、ほどよく家にいてほしい」みたいな意見も耳にすることがあります。

植草

もちろん男性が望む生活の在り方によって異なりますから、中にはそういう人もいるでしょう。

あとは、相手との年収差も影響しますね。

例えば年収1000万円の男性が年収300万円の女性と結婚する場合、その年収差なら妻には家にいてもらった方がいいと考える人も多い。

一方、女性の年収が同じ1000万円であればしっかり共働きした方がいいという発想になりやすいわけです。

編集部

たしかに世帯年収が全然違いますもんね。

植草

それだけでなく、お互いに仕事を頑張ることで二人で高めていきたいという気持ちの表れでもあると思います。

好きな女性のタイプに「頼りがいがある人」がランクイン

植草

もう一つ、女性の年収を重視する人が増えた理由として、男性の気持ちの変化も挙げられます。簡単に言うと、男性の自信がなくなってきているんです。

今は社会があまりに不安定ですから、いつ自分がどうなるか分からない不安を抱えながら生きている人が増えているのでしょうね。

だからこそ、男性には「頼りたい」という気持ちもあるんです。男性に「どんな女性がいいですか?」と聞くと、「優しい人」の他に「頼りがいがある人」がベスト3に入ってくるんですよ。

編集部

意外……! 親世代がイメージする理想の女性像とはずいぶん違う気がします。

植草

今回テーマになっている「28歳」の親御さんの多くは50〜60代。まだ専業主婦が多かった時代です。

だからこそ親世代は「頼りがいのある男性がリードする」スタイルが人気でしたが、今では「俺がリードする」は死語になりつつありますね。

編集部

逆に、「自分が稼げないから高収入の女性に頼りたい」みたいな人はいないですか……?

植草

1%もいないですね。私の相談所では年間150〜200組が成婚しますが、過去1〜2人しかいませんでした。

編集部

つまり「稼いでる女性っていいよね」という男性は、「同じくらい頑張っている人と支え合いたい」人が中心と考えていいでしょうか?

植草

その通りです。

編集部

安心しました(笑)

ズバリ、令和の結婚したい女性の条件とは?

植草さん
編集部

そうした変化を踏まえた上で、いま結婚市場で最も求められている女性はどんな人でしょう?

植草

まずは、生活力がある人です。例えば、家事が一通りちゃんとできること。

編集部

「妻として家庭を守れる」みたいなことですか?

植草

というよりは、自立して健康的な生活ができる人というイメージですね。それはイコール「良い仕事ができる」ことでもありますから。

毎日コンビニ弁当を買って、夜は飲んだくれて帰ってメイクも落とさずに寝ちゃいました、ではなく、栄養面を考えた食事をきちんと食べ、睡眠をしっかり取り、規則正しい生活ができているか。

編集部

うっ……。つまり人としてちゃんとしているかを判断する意味で、生活力が大事なわけですね。

植草

関連するところで、自分の自由時間を大事にできていることも大切です。

スポーツでも手芸でも何でもいいので、仕事以外のものにも興味がある人は魅力的に映ります。平日はしっかり仕事を頑張って、休日は切り替えてリラックスできるといいですね。

編集部

仕事の話しかできない人と、仕事以外の話もできる人だったら、後者の方がすてきだと感じる人はたしかに多そうな気がします。

植草

仕事についても、嫌々ではなく、楽しんで働いていることが重要です。

男女共に、デート中に仕事の愚痴ばかり言って振られてしまう人は結構多いんですよ。仕事の愚痴は言わないよう心掛けましょう。

編集部

どんな関係性の相手であっても、愚痴っぽい人は嫌だもんなぁ……。

植草

あとは、以前から変わらず重視する人が多いのは、見た目の美しさ。

編集部

結局顔か……!

植草

いえ、ポイントは努力です。

極端に言えば、ノーメイクで見た目に気を遣っていない若い美人よりも、肌や髪のお手入れをしてきれいにしている30代の方が好まれます。

きれいにしているっていうのは、物事をちゃんと考えているってことでもありますから。

編集部

なるほど。「良い印象を与えよう」とするのは相手に対する気遣いとも言えますもんね。

仕事を頑張る人ほど「男性へのマウンティング」に要注意!

植草

そして最後に、最も重要なのは「男性と戦わないこと」です。

編集部

どういうことですか?

植草

男性優位な意識が残る会社などで働く女性は、戦闘モードになりやすい人が多いんです。年収が上がったり部下ができたりするとなおさら、男性と肩を並べて競争心を湧かせてしまう。

結果として仕事に意欲的な女性ほど、プライベートでも男性との会話でマウントを取ってしまいやすいのです。

「それは違うと思います」と議論を吹っかけたり、「決めつけですよね?」と喧嘩腰になったりしてしまう人もいます。

編集部

婚活市場でモテる、モテない以前に、友達や同僚だとしても怖いですね……。

植草

プライベートでは重い鎧を脱ぎ捨ててほしいですね。芯がしっかりしているのは良いところですが、同時に優しさも必要ですから。

編集部

優しさって、具体的には何でしょうか?

植草

人に対して一歩踏み込んだ気遣い、心遣いができるのが、男性が求める優しさです。

お花を見て「わーかわいい!」とか、ワンちゃんをかわいがったりすることではなく、相手の顔色の悪さに気付いて「疲れてる?」と声を掛けられるような優しさを求めています。

編集部

その優しさは「尽くす」とはどう違いますか?

植草

自分が自立していて、かつ相手と支え合える関係性にあるかどうかだと思います。

尽くす人は相手の言いなりになって、全部やってしまう。そうではなく、「こうしてほしい」と相手を指導することも必要です。

編集部

なるほど。

植草

相手がやってくれるから、自分もやる。相手の姿から、自分も気遣いを学ぶ。そうやってお互いに支え合い、成長できる関係が今の理想の夫婦なのだと思います。

一言で言えば、優しい人はただ都合が良い女ではないってことです。

「謙遜さん」の本

婚活も「仕事と同じ」で成功率アップ

編集部

教えていただいた「結婚したい女性」の条件は、女性が思う「結婚したい男性」と似ている気がします。

植草

支え合える関係を求める人が増えた結果、従来の「女性は女らしく」「男性は男らしく」ではなく、お互いに求めるものが一致してきたのでしょうね。

だからこそ、婚活や恋愛を男性任せにするのは止めて、仕事のつもりでやるのがいいと思いますよ。

編集部

仕事のつもり?

植草

初めての商談で名刺交換をしたら、当日にお礼のメールを送りませんか?

なかなか連絡が来ない場合、そのまま待ちますか?

会食を設定してもらったら、「次回はこちらでセッティングします」と提案しませんか?

仕事で全てを相手任せにすることはないはずです。婚活や恋愛も同じ。男性に丸投げしちゃダメですよ。

編集部

裏を返せば、仕事ができる人は婚活の素地があるとも言えそうですね。

ただ、「男性を立てた方がいい」というのはどう考えたらいいのでしょうか? そこだけなぜこちらが気を使わないといけないんだろうと思ってしまうのですが……。

植草

男性を立てることにプンプンする女性も多いですけど、立てているふりをして動かせばいいんですよ。

例えば、本当は自分でもできるけれど、楽をするために男性に調べてもらう。それは男性を立てることであるのと同時に、自分が得をすることでもあるわけです。

まさに、仕事で部下をほめて伸ばすようなやり方ですよね。そういうふりをするのは利口だし、相手に甘えることにもつながりますから、賢くいきましょうね。

「結婚したい」と思ったときが適齢期

編集部

先ほど「頼りたい」「自信がない」といった男性の変化について教えてもらいましたが、「立ててほしい」という気持ちはまだ残っていると思った方がいいんですか?

植草

男性にもプライドがありますからね。

それに小さい頃から「結婚したら奥さんを養うのよ」と言われて育った男性は多いでしょうし、もしかしたら亭主関白な父親の姿を見てきたかもしれません。

編集部

女性が親世代の価値観の影響を受けて、「男性にリードしてほしい」と思うような気持ちが男性にもあるわけですね。

双方ともに専業主婦世帯が主だった時代の価値観を引きずっている部分もあるわけで、そこはお互い様だと考えた方がいいのかも。

植草

そうですね。親世代から好き放題言われることもあるでしょうけど、時代が違うことはしっかり認識しましょう。

その上で、自分が生きたいように生きればいい。仕事が好きなら、誇りを持ってやってほしいですね。

編集部

そうやって仕事を頑張って収入を上げることは、婚活市場でのモテにもつながるわけですもんね。

植草

その通り。そして仕事を頑張る女性たちには、ぜひ結婚することで「楽になる人生」を目指してほしいです。

編集部

どういうことですか?

植草

人生を共に生きる人がいれば、つらい時に相手に寄りかかれるんですよ。パートナーが一番の味方になってくれますから。

そこでお荷物になるような男性と結婚するくらいなら、結婚しない方がいいくらいです。

編集部

仕事をしたくないから専業主婦になる、ではなく、自分が自立して生きる上で時に寄りかかれる人がいる。それが令和の今、結婚することで得られる「楽」であると。

植草

そういうことです。

周りが結婚して焦るとか、結婚したい理由は何でもいい。「誰かと生きていきたい」という思いがあるのなら、それがその人の適齢期です。

皆さんには、仕事も家庭も充実して、心豊かに生きるための結婚をしてほしいと心から願っています。

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取材・文/天野夏海 写真/本人提供 編集/大室倫子(編集部)