【最終面接対策】気鋭のスタートアップが「最終面接」で必ず聞くことは? 起業家4人に聞いた突破ポイント

自己主張、自己PRが苦手……
「控えめさん」のための面接・交渉攻略術

自分のことをうまくPRできない、自己主張が苦手……そんな“控えめさん”が転職活動をするときに直面するのが、面接の壁。周囲のペースに飲まれずに、控えめさんが面接突破・交渉成功を実現して「後悔しない転職」をかなえるための秘訣を解説していきます!

気鋭のスタートアップ

転職活動もいよいよ終盤。選考の最後の砦となる「最終面接」は、どんな心構えで臨めばいいのでしょうか?

そこで今回は、女性人気の高いプロダクトを運営する、気鋭のスタートアップの代表4人に「最終面接で必ず聞くこと」をテーマに聞いてみました。

経営者たちはどんな意図で質問をしているのか、最終面接でPRすべきことは何なのか——。緊張してなかなか自分を出せない「控えめさん」へのアドバイスと共に、語ってもらいました。

4人のスタートアップ経営者に聞いた三つの質問

Q1.「最終面接」で求職者に必ず聞くと決めている質問は?
Q2.最終面接では求職者のどんな自己PRが有効だと思いますか?
Q3.最終面接に緊張してしまう読者に向けてのアドバイスは?

【mederi 坂梨亜里咲】「私に質問はありますか?」

はじめに話を聞いたのは、オンラインピル診療『メデリピル』を中心に、女性向けのヘルスケアブランドを展開するmederi株式会社の坂梨亜里咲さん。

豊川美玲さん

mederi株式会社
代表取締役
坂梨亜里咲さん

1990年生まれ、明治大学卒業後、ECコンサルティング会社にてマーケティング及びECオペレーションを担当。2014年より女性向けwebメディアのディレクター、COOを経て、同社代表取締役に就任(19年退任)。自らの長年にわたる不妊治療経験から「1人でも多くの女性に望むタイミングで妊娠・出産・キャリアが実現できる社会にしたい」と、19年よりmederi株式会社を創業。7年の不妊治療を経て、23年に第一子を出産
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Q1.「最終面接」で求職者に必ず聞くと決めている質問は?

坂梨さん

当社が発信してるプレスリリースの中で、特に印象に残ってるものは何ですか?」。

最終面接であれば、会社の最新動向を把握するためプレスリリースくらいは見て来てくれているかなと期待しています。

その中でも何が印象に残っているかを聞くことで、どのくらい熱い思いでうちを志望してくれているのか、興味関心を持っているのかを見ています。

坂梨さん

あとは、「私に質問はありますか?」という質問は必ずしていますね。

そのときに会社のHPに載っているような情報ではなく、今後の事業の展開や利益について聞かれると、経営者視点や当事者意識を持ってうちに来てくれそうだなと感じます。

そういう質問をしていただけると、私も身が引き締まるのでうれしいですしね。

スタートアップの場合は上場企業のようにIRなどで業績を詳しく出していないことがあるので、そのあたりを聞いてもらえた方が認識の齟齬なく、お互いがフィットするかどうかを探れるようにも感じます。

Q2.最終面接では求職者のどんな自己PRが有効だと思いますか?

坂梨さん

これは職種にもよりますが、これまで面接の中で資料を用いてプレゼンしてくれた人は強く印象に残っています。

例えばデザイナーなら「メデリにはこういうバナーがあるといいと思う」とデザインを持ってきてくれたり、マーケターなら新規の事業計画を資料化してくれたり。広報なら「こういう企画でメディアに周知した方がいい」といった提案をくれたら印象に残りますね。

つまり、与えられた質疑応答の中に留まらずに、自分ができることをPRしてくれるかどうか。

そうすることで当事者意識の高さを感じますし、うちに入ったときの活躍イメージもしやすくなるので、採用する側としても「この人は大切にしなければ!」と感じます。

Q3.最終面接に緊張してしまう読者に向けてのアドバイスは?

坂梨さん

とにかく事前に徹底的に調べ上げることが、緊張しなくなるコツです。

ビジョン・ミッション、社員数や売上、利益、プレスリリースなどに目を通して「会社のことを割と知っている」状態にしておけば、何か質問をされて応えるときの自信にもつながると思います。

坂梨さん

あとは、緊張のあまり相手の質問にうまく答えられなかったときに備えて、面接官への質問を用意しておくのも大切です。

いわゆる「逆質問」って、事前に用意しておけますし、その質の高さで評価を高めることもできますから。

面接前の1時間だけでもいいので、準備の時間をつくっておくことが大切です。

【SHE 福田恵里】「潮目を変えた経験はありますか?」

次に聞いたのは、リスキリングを通じた女性のキャリアアップ支援事業を行う『SHEllikes』を展開するSHE代表取締役の福田恵里さん。

SHE株式会社 代表取締役 / CEO・CCO 福田恵里さん

SHE株式会社
代表取締役 / CEO・CCO
福田恵里さん

1990年生まれ。大阪大学在学中、サンフランシスコ・韓国に留学。帰国後、ウェブデザイナーとして制作会社でインターンをする傍ら、初心者の女性限定のウェブデザインスクール「Design Girls」を立ち上げる。2015年リクルートホールディングスに新卒入社。ゼクシィやリクナビのアプリのUXデザインを担当。2017年、26歳の時にミレニアル女性向けのキャリア支援を行うSHE株式会社を設立。主要事業である「SHElikes」は累計受講者17万人以上を突破。2020年に同社代表取締役/CEOに就任
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Q1.「最終面接」で求職者に必ず聞くと決めている質問は?

福田さん

潮目を変えた経験はありますか? 今までのやり方を疑って、変化を起こした経験はありますか?」です。

スタートアップに入ってくる1人って、組織や事業の潮目を変える存在になる可能性があるんですよ。

既存のやり方を踏襲するだけの人ではなく、その人が入ることで社内に良い変化が起こる、会社の潮目を変えてくれることを期待して採用しているので、変化に対する勇気や当事者意識、柔軟性があるかを聞いています。

福田さん

もう一つは、「自分の価値が一番発揮できて、一番成果が出たと思うエピソードを教えてください」。

私たちのビジョンは「一人一人が自分にしかない価値を発揮し、熱狂して生きる世の中を創る」なので、自分の才能を何と捉え、どんな発揮の仕方をして、成果を最大化したのかを聞くことで、ビジョンマッチしそうな人かどうかを見極めています。

Q2.最終面接では求職者のどんな自己PRが有効だと思いますか?

福田さん

等身大でいることですね。

就職って恋愛や結婚と同じようなものだと思っていて、結局価値観(カルチャー)がフィットしているかがお互い幸せになるための最重要事項だと思います。

相手に合わせて自分をよく見せたり大きく見せたりして、それが評価されて入社しても、あとあと絶対にしんどくなるので、嘘偽りない等身大の自分をちゃんと見せることがお互いにとって良い結果になると思います。

福田さん

あとは、「私はこの会社にどう貢献できるのか」を提案してくれると、めちゃくちゃグッと心をつかまれますね……!

「SHEさんの課題や足りないピースはきっとここなのではと思っていて、私であればこんなふうに助けになれます。アイデアとしては、こんなものが考えられます」などと言ってもらえた日には、即採用したい! って思いますね。

Q3.最終面接に緊張してしまう読者に向けてのアドバイスは?

福田さん

自分も相手を選ぶ立場であるという意識を持つこと。そして確固とした自分を持つことかなと思います。

「選ばれる」「評価される」って思うとすごく緊張しちゃうと思うのですが、あくまで立場はフラットです。面接はこちらも相手の会社が自分にマッチするのか判断する場だと思うので、堂々と挑みましょう!

【ポジウィル 金井芽衣】「やりきった経験、成功体験は?」

続いて紹介するのは、キャリアトレーニング領域のパイオニア企業であるポジウィル株式会社の代表取締役、金井芽衣さん。

ポジウィル株式会社 代表取締役 金井芽衣さん

ポジウィル株式会社
代表取締役
金井芽衣さん

1990年群馬県出身。埼玉純真短期大学で保育士・幼稚園教諭の免許を取得した後、2010年に法政大学キャリアデザイン学部に編入。キャリアカウンセリングを習得する。2013年、リクルートキャリアに新卒入社し、人材会社の法人営業(RA)として勤務。2017年に国家資格キャリアコンサルタントとして登録。同年8月にポジウィル株式会社を設立し、同社代表取締役に就任
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Q1.「最終面接」で求職者に必ず聞くと決めている質問は?

金井さん

やりきった経験、成功体験、うまくいった・うまくいかなかった経験は?」という質問は必ず聞きますね。

学生時代でもいいので、何かをやりきった経験や成功体験がある人の方が、仕事でも最後までやりきれる人が多いからです。

何か一つでもやりきったことのある人は、「人から褒められたい」という欲求よりも自分が立てた目標を達成できるかを基準にやるべきことをできる人が多いと感じています。

うまくいった・うまくいかなかった経験は、それぞれの理由や行動の仕方を見ています。

Q2.最終面接では求職者のどんな自己PRが有効だと思いますか?

金井さん

話が端的で分かりやすいことが有効だと思います。

質問に対する回答と補足くらいで会話ができるような人は、コミュニケーションがスムーズで良いと思います。(経営者は、話を長く聞けない人が多いかもしれないです!笑)

Q3.最終面接に緊張してしまう読者に向けてのアドバイスは?

金井さん

転職活動は、自分と企業とのマッチングです。自分が入ることで企業にとってのメリットが何かを話せるといいのではないでしょうか。

「採用してほしい」「選ばれるか」という視点も大事ですが、「自分を採用した方がいいですよ」くらいのスタンスで面接に臨み、変に媚を売らなくていいと思います!

【すきだよ あつたゆか】「今まで最も情熱を注いだことは?」

最後に聞いたのは、家族やパートナーシップにおける課題に寄り添い、テクノロジーを通じて解決を目指す「カップルTech」のプロダクトを運営する、株式会社すきだよ代表のあつたゆかさん。

株式会社すきだよ  代表取締役  あつたゆかさん

株式会社すきだよ
代表取締役
あつたゆかさん

共働きのすごい対話術』(クロスメディア・パブリッシング)著者。 家族・パートナーシップに関する社会課題を解決し、 カップル・夫婦間のコミュニケーションに着目した事業を行なっている。 対話支援アプリ『ふたり会議』を運営するほか、 企業・自治体向けに共働きでのキャリア形成や両立支援セミナーも提供。 TBS・フジテレビ・アベマTVほか、日経ウーマン・日経新聞などメディア掲載多数
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Q1.「最終面接」で求職者に必ず聞くと決めている質問は?

あつたさん

あなたが今まで最も情熱を注いだことは何ですか?」です。

情熱を持って何かに取り組める人は、困難を乗り越えられる強さを持っています。そして、自分のモチベーションの源泉を理解している人は、どんな環境でも成長できます。

仕事においても、単に「任されたからやる」ではなく、「やりがいを感じるから挑戦する」ことができる人と一緒に未来を築いていきたいと考えているからです。

Q2.最終面接では求職者のどんな自己PRが有効だと思いますか?

あつたさん

「私にはこういう強みがあります」というだけでなく、「この会社でこう生かしたい」と具体的に話せるといいですね。

例えば、以前ある方が「私は変化を前向きに楽しめるタイプです」と話し、留学経験や前職でのプロジェクトを通して柔軟に対応してきたエピソードを語ってくれました。

スタートアップは日々変化の連続なので、「この人となら乗り越えていける」と思い、採用を決めました。

Q3.最終面接に緊張してしまう読者に向けてのアドバイスは?

あつたさん

緊張するのは、真剣だからこそ」と捉えると、少し気持ちが楽になります。

私自身は、大事な場面では「緊張してもいい。でも、それ以上に伝えたいことがあるはず」と思うようにしています。

面接では「正しく答える」より、「あなた自身を伝える」ことが大切です。深呼吸をして、「私はこの会社でこんな未来を描きたい」と考えるだけでも、前向きな気持ちになれるはずです。