「藤田ニコル ブス」がトレンド入りしたことも…想定外の容姿バッシング、折れずに人気爆発させた彼女のブレない夢

藤田ニコル

ローティーン向けファッション雑誌のモデルとしてデビュー。その後タレントとして、一躍お茶の間の人気者となった藤田ニコルさん。

25歳で結婚し、最近ではアパレルブランドやパーソナルジムを経営するなど、実業家としての一面も持つ。

公私ともに順調なイメージが強いニコルさんだが、世間からは心無いことを言われることも多かった。

「『藤田ニコル ブス』がSNSでトレンド入りしたこともあるくらい。容姿のことはいろいろと言われましたね」とテレビに出始めた当時を振り返る。

そんな悔しい思いもパワーに変えて、自分を磨くことで次々と夢をかなえてきたニコルさん。なぜ彼女は、逆風に負けずに走り続けていられるのだろうか。

「可愛くないなら、可愛くなればいい」

小学6年生でオーディションに合格し、モデルデビューを果たしたニコルさん。自由な発言と天真爛漫なキャラクターが注目を集めると、テレビのバラエティー番組からひっぱりだこに。

テレビに出るということは、多くの人に知ってもらうということ。応援してくれる人も増えたが、いわゆるアンチも増えた。当時17歳だったニコルさんに浴びせられたのは、「ブス」という強い言葉だった。

ニコルさん

雑誌を買ってくださるのは雑誌のファンの読者の方だけですけど、テレビは、私のことを好きじゃない方も見るわけですよね。

「ぶっちゃけキャラのギャルモデル」の登場にビックリした方がたくさんいたみたいで、本当にいろいろと言われました。

当時のキャラクターに、もちろん嘘はない。正直に生きていただけの10代の少女が浴びせかけられた心無い言葉。当時のニコルさんの心中を思うと胸が痛む。

藤田ニコル

ブレイク当時のニコルさん

ニコルさん

私はお母さんからずっと「可愛い、可愛い」と言われて育ってきたので自己肯定感がすごく高くて、自分が可愛くないわけがないと思っていたんです。

モデルもやっているし、ファンの方からも可愛いねってといつも褒められていましたから。

だから、見た目についての批判的な声の多さにかなり衝撃を受けました。「こんなに言われるのか」って。悔しいし、悲しかったです。

落ち込みながらも、悔しさをパワーに変えられるのがニコルさんのすごいところ。

ニコルさん

当時は、みんなに憧れられるはずのモデルが、可愛くないなんてダメじゃん!」と思いながら相当もがきました。

一度立ち止まって自分自身と向き合って、メイクを研究したり、美容に関して勉強したりと、自分磨きを頑張ろうと思ったんです。

もがいた時期でもポジティブにいられたのは、モデルとしてカッコいい存在でありたい、タレントとして人気者になりたいという目標や夢があったから。

ニコルさん

見た目のことを言われたくらいで折れるような夢ではなかったので、自分磨きを頑張って見返したいなと。

今思えば、何も言われないでいたら現状に満足して、新しい自分を探していなかったと思うので、一度気付かされて良かったかな。

もちろん私以外の人には、こんな悲しい経験はしないでほしいですけどね。私は何とか乗り越えたけど、他人の心を折るようなことはしてほしくないです。

デビューから15年。ニコルさんが新しい自分を探すために実践したワザをまとめたのが、新著『私が垢抜けた82の方法』(講談社)だ。専属モデルを7年5カ月務めた雑誌『ViVi』の卒業と同じタイミングとなる。

藤田ニコル
ニコルさん

最近はやっと、「可愛くなったね」と言われることが多くなりました。自分でも明らかに変わったと思える節目のタイミングでもあったので、“垢抜け”をテーマに本を作ったんです。

心無い言葉に苦しんだ17歳の可愛い少女が、27歳の美しい女性になった裏側には、自分と向き合い続けた絶え間ない努力があった。

ニコルさん

今回出した本には、私が実際にやってきて効果があった82個の実践例を盛り込みました。すべてをやる必要はありませんが、ぜひ一つでも試してみてもらえたらうれしいです。

例えば、マインド面の改善はお金も必要ないのですぐにできるかなと。この本が、誰かが自分を磨くきっかけになったらいいなと思っています。

「私なんて…」と落ち込む暇があるなら“自分会議”をする

テレビに出る以前、モデルデビューしてから人気者になるまでの道のりも、順風満帆ではなかった。

藤田ニコル
ニコルさん

私、モデルのオーディションに受かったら人気者のスーパーモデルになれると勘違いしていたんです。

でも、デビューからしばらくは、モノクロページばかりでなかなかメインのページに載せてもらえなくて。選ばれ続けないと人気者になれない世界だということを、その時に知りました。

流行を発信するモデルとして人気者になるためには「個性」が不可欠だ。「自分の個性ってなんだろう」と自問自答して悩んだ末に、自分の「好きなこと」を改めて考えた。

ニコルさん

好きなメイク、ファッションを明確に持ってないと戦えないと思ったので、たくさん自分と向き合いました。

ただ、どんなときでも「私なんて……」と思うことは一度もなくて。それよりも、自分を良くするためにこうしなきゃ、ああしなきゃと考える方が好き。だから、落ち込むことはそんなになかったです。

ニコルさん

落ち込みを次の日に持ち越すのは、彼氏に振られたときくらい(笑)。

自分ではどうしようもない失恋は引きずりますけど、自分の問題のときはすぐに解決できるように、自分と作戦会議をすることを心掛けています。

常に心掛けているのは、「ちゃんと自分の声を聞くこと」。自分との作戦会議を繰り返した結果、「にこるん」は、さまざまな雑誌の表紙を飾る人気者となった。

ニコルさん

あとはやっぱり、口に出すことが夢をかなえる近道だと思います。私は言葉で言わないと届かないと思っているので、やりたいことも苦手なことも全部言います。

目標や夢をあえて口に出して、誰かに聞いてもらうことによってつながるご縁もあると思うんです。自分の内に秘めているだけでは、何も始まらない。

実際に、「25歳で結婚したい」とことあるごとに言っていたらかないましたから(笑)

自分の好きなことだから「嘘」のない仕事ができる

モデル、タレント、アパレルプロデュース、パーソナルジム経営と、やりたいことに挑戦し続けてきたニコルさん。プロとして心掛けていることは、仕事によって違う。

藤田ニコル
ニコルさん

例えばモデルだったら、撮影の現場にいるプロにすべておまかせして自我を消すようにしています。あくまでも主役はお洋服ですから。

反対にテレビはもう、自我しか出さない(笑)。いかに自分の意見が言えるかを意識しつつ、空気を読んで引くところは引く、と出し分けています。

アパレルやパーソナルジムでは経営面も担うため、より大きなプレッシャーがつきまとう。

「全部あってこそ今の自分。大変だけど楽しいです」と覚悟を持って話す姿に、実業家の顔がのぞく。

ニコルさん

自分の得意なことや好きなことじゃないと嘘になっちゃうから、日頃から続けてきたことをビジネスにしているだけなんです。そこは私が仕事をする上でのこだわりの一つ。

経営のお仕事は芸能界だけでは経験できないことばかりなので、27歳の今やっておけば、いつかどこかで役立つときが来るんだろうなと思いながら頑張っています。

でもまぁ、私は実業家風、ですけどね(笑)。

仕事に関してゆずれないことがもう一つある。それは、「ライフステージに合わせた働き方をすること」だ。

現在、27歳。30代に突入したら、そのときの自分にあったスタイルで仕事をしていきたいという。

藤田ニコル
ニコルさん

まわりのカッコいい先輩たちのおかげで、30歳になるのが楽しみなんですよ。

私は仕事を頑張るとプライベートがおろそかになっちゃうから、家庭やプライベートを仕事と両立できている先輩たちは本当に憧れます。

ブレイクから早10年。ニコルさんのように広く、長く活躍するために何をしたらいいか。読者へのアドバイスを求めると「私の職業は特殊だから」と前置きをしつつ、ていねいに答えてくれた。

ニコルさん

お仕事って、結局楽しむことが一番だと思います。

ただ、楽しくなくてもやらなきゃいけないこともありますよね。そういう時は「これを乗り越えたら先には楽しいことがある」と思うようにしています。

大変なお仕事を経て、立ち位置が変わってキャリアアップできれば、もっと楽しいことができるわけですから。

仕事のことって、みんな悩んで、みんな戦っているんですよね。だからみんなで一緒に頑張っていこう! ってエールを送りたいと思います。

藤田ニコル

藤田ニコルさん

1998年埼玉県出身。2009年、ローティーン向けファッション雑誌『nicola』のモデルオーディションでグランプリを獲得し、モデルデビュー。その後さまざまなバラエティー番組出演しタレントとしてもブレイク。25年5月号をもって『ViVi』モデルを卒業する XInstagramYouTube

書籍情報

『私が垢抜けた82の方法』(講談社)3月12日発売!

藤田ニコル

メイク、スキンケア、ボディケアから垢抜けマインドまで。「可愛くなるための美容テク」が詰まった一冊。20時間におよぶインタビューで、藤田ニコルが82の「可愛くなった秘密」を語りました。
https://www.vivi.tv/post434500/

取材・文/石本真樹 撮影/赤松洋太