起業家アナウンサー・国山ハセンが「本気で熱くなれること」を見つけられたワケ

起業家アナウンサー・国山ハセンが「本気で熱くなれること」を見つけられたワケ

TBSアナウンサーとして数々の人気番組で活躍し、順風満帆なキャリアを歩んできた国山ハセンさん。しかし31歳の時、安定した大企業を離れ、スタートアップへ転職。さらに2025年にはアメリカで起業するという大きな決断を下しました。

常に挑戦を続ける国山さんのキャリアから学べる「いい仕事人生」のヒントとは?

※本記事は2025年11月に発売予定の雑誌『type就活』から先行公開をしています。

株式会社フォックスユニオン 代表取締役社長 国山ハセンさん

株式会社フォックスユニオン 代表取締役社長 国山ハセンさん

TBSテレビに入社し数々の番組でメインMCなどを務める。 2023年に独立後、ビジネス映像メディア「PIVOT」に参画しメインMCとして当メディアの躍進に貢献。 25年アメリカでFOX UNION Inc.を立ち上げ、日本発のグローバルメディア「UnKnown」を合わせてローンチ■X

31歳でTBSを退社
決断を支えた、尽きない成長意欲

2013年にTBSテレビ(以下、TBS)にアナウンサーとして新卒入社しました。そして10年後の2023年、ビジネス系映像メディアを運営するスタートアップPIVOTにジョイン。今年はアメリカで起業もしました。

働く環境は様変わりしましたが、僕の胸にある思いはいつも同じです。

自分が夢中になれるものに挑戦し続ける。振り返ると、僕のキャリアは常にその連続でした。

もともとTBSに入社する前から、絶対にアナウンサーになりたかったわけではなかったのです。

社会に貢献できるビジネスパーソンになりたい。グローバルに活躍したい。そんな漠然とした思いがあって、アナウンサーはその夢をかなえるルートの一つでした。

入社してからは、アナウンス技術をしっかり磨きたいと思う一方、MBA(経営学修士号)の取得やビジネスを学ぶことへの興味も尽きなかった。「自分はこの先どうなりたいのか」を常に考えていた気がします。

その中でキャリアチェンジを真剣に考え始めたのは、30歳を過ぎた頃からでした。

報道番組『news23』のキャスターになる目標を達成し、喜びをかみしめる一方で、自分の成長に壁を感じることも。民放キー局のような大きな組織にいると、それぞれの役割がしっかり決まっていて、アナウンサーは用意された原稿を読むのが仕事。

もっと自分で企画や取材をして、自分の言葉で伝えたいと考えるようになりました。

そんな中、人づてにPIVOTの存在を聞いてオフィス見学に行くことに。当時のオフィスはヴィンテージマンションの一室。そこには、新しいメディアを生み出そうと奮闘している僕より年齢もキャリアも上の人たちがいた。その気概にガツンとやられたのです。

ここでなら新しい挑戦ができるかもしれない。気づけば、TBSを辞めて、PIVOTに参画することを決めていました。

もちろん、社会的信用という観点から言ってTBSというブランド力は絶大です。

その名刺がなくなることで、失うものはたくさんあるかもしれない。でもその代わりに手に入るものもある。

その時の僕が一番欲しかったのは自分で意思決定ができる環境でした。今、何を取り上げるべきか。誰に取材に行くべきか。オーナーシップを持って働いてみたかった。

TBSにいた頃は自分で企画書を書いたこともなかったのです。でもPIVOTでは、参画して早々にゼロから番組を企画して取材相手に直接交渉することもできました。

泥臭いし手探りだけど、そうやって全部自分の意思で仕事を動かせることが、たまらなく刺激的でした。

株式会社フォックスユニオン 代表取締役社長 国山ハセンさん

『UnKnown』『UnKnown Japan』制作チームの仲 間と一緒に、ロサンゼルスに構えた事務所で記念撮影

自分は生涯を懸けて何がしたいか
その答えが、キャリアの軸となる

転職後は自分の関心領域もグッと広がった気がします。

それこそテクノロジー分野はTBSにいた頃は全く触れてこなかったジャンル。でも、PIVOTで取材経験を積んだ今では、僕の大きな柱の一つとなっています。

確かにテレビ局にいた頃に比べると、扱っている領域はニッチかもしれないし、リーチできるオーディエンスも限られているかもしれない。だけどその分、より深く掘り下げたコンテンツを作ることができる。

一人一人が自分の興味関心に合ったコンテンツを選択できる現代においては、そういった番組づくりも大切なんじゃないかと思います。

結局、大企業もスタートアップも一長一短です。

大企業は資本が豊富で、よりスケールの大きなプロジェクトに関われる楽しさがある。その反面、組織内の意思決定には時間がかかりスピード感に欠けるというデメリットもある。

逆にスタートアップは主体的に動けるし、一人が組織に与えるインパクトが大きい分、自分の存在価値を感じながら働ける面白さがある。しかしそれは、ある程度ハードワークが求められるということでもあります。

どちらが正解なんてことはない。大事なのは、自分に合った環境を選ぶことです。

僕は就職活動って、自分が生涯を懸けてやりたいことは何なのかを探す最初の扉だと思っています。僕はすでに新卒で入社した会社からは離れていますが、本質的にやりたいことは変わっていません。

当時からずっと「伝えること」が、僕の喜びです。今、僕はアメリカで起業して『UnKnown』『UnKnown Japan』という二つのYouTubeチャンネルを運営していますが、それも「伝えること」を通じて日本と世界をつなげたい思いから始まったものです。

そして、「伝えること」が自分の使命なのだと気付けたのは、間違いなくTBSで過ごした10年があったから。

決してキャリアに無駄なものなんてありません。だから皆さんにも、本気で熱くなれるものを見つけてほしい。

そのためには、いろいろな扉を開けて回る必要があるかもしれません。でもきっと、それが自分自身の人生を豊かにしてくれると思います。

取材・文/横川良明

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