子どもがいたら挑戦は無理? 2歳児ママの「変わりたいけど怖い」気持ちを軽くするキャリアのプロの思考法【転職Q&A 森数美保】

子どもがいたら挑戦は無理? 2歳児ママの「変わりたいけど怖い」気持ちを軽くするキャリアのプロの思考法【転職Q&A 森数美保】

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働く女性の転職Q&A

20代~30代の女性が抱える仕事・キャリア・転職のお悩みに、その道のプロが本音でアドバイス! 「私らしい働き方」の発見や「いい転職」をかなえるためのヒントを提供します

今回、転職に関するお悩みに答えてくれたのは、「選択できる自分になる」ためのキャリア戦略を共につくるパートナー『キャリパト』を運営する株式会社Your Patronum 代表取締役、森数美保さん。

届いたのは、2歳の子どもがいて「挑戦がこわい」となかなか一歩を踏み出せないという女性からのお悩みです。

キャリア戦略のプロが解説する、子育て中のキャリアの考え方とは……?

森数美保さん

株式会社Your Patronum 代表取締役
森数美保さん

新卒で人材紹介会社ジェイ エイ シー リクルートメントに入社。最年少マネージャーを経験。大手企業で人事を経験した後、株式会社Misoca(現:弥生株式会社)などを経て、18年11月 株式会社キャスターに入社。21年4月 同社執行役員に就任し複数事業を管掌。22年5月株式会社ミライフに執行役員として入社。キャリアコンサルタント/人事/事業経営の経験を活かして、本質的なキャリア構築や組織づくりを推進。24年に株式会社Your Patronumを創業。社会保険労務士有資格者。

お悩み:2歳の子どもがいるので「変化」「挑戦」がこわい

31歳/カスタマーサクセス/転職経験2回

2歳の子どもがいて、フルタイム(フレックスで8時~16時半)で働いています。育休中に改めて自分のキャリアを考えなおして「自分を変えたい」と思うようになりました。

今はベンチャーでカスタマーサクセスをしていますが、もっと事業開発に近い仕事を経験したいと思っています。異動が難しそうであれば転職も考えています。

でも子どもがいて新しいことに挑戦して失敗したらどうしよう、うまく両立できるのかなと、怖くてなかなか一歩を踏み出せません。

特に転職となると、不安が大きいです。変化への恐怖と、どう向き合うべきでしょうか?

森数さんの回答:「変わりたい」気持ちを大切にしてみて

「挑戦してみたい。でも、うまくいかなかったらどうしよう」

そんなふうに不安になる気持ち、よく分かります。2歳のお子さんを育てながら働いている今、変化に対して慎重になるのは、むしろ自然なことです。

私自身も、0歳と2歳の子を育てながら転職活動をした経験があります。

日々を回すだけでも精一杯の中で、「仕事も諦めたくない」と思う自分に、どこか後ろめたさを感じていました。「こんなこと、考えるべきじゃないのかもしれない」と何度も立ち止まりました。

でも、考えてみてほしいんです。

「もし、チャレンジせずに今のままでいたら、5年後、どんな気持ちでいるだろう?

後悔する可能性があるなら、それは「一歩踏み出した方がいい」というサインかもしれません。

失敗することよりも、挑戦できなかった理由を誰かのせいにしたり、自分を責めたりする方が、きっとつらい。

だからこそ、「変わりたい」という気持ちを大切にしてほしいです。

完璧じゃなくていい。大きな一歩じゃなくてもいい。小さな一歩からでいいんです。

何かを変えると、分かりやすく影響があります。でも、変えないことによる影響も、気付きにくいだけで確実に存在します。

だから、変わることだけを不安に思う必要はありません。

「バランスを取る」を手放す勇気

子育てとキャリアを両立しようとすると、つい「どちらも完璧にやらなきゃ」と思いがち。

でも、「キャリアに変化があるなら、家の中のバランスも変えていい」という前提を、自分に許してあげてほしいんです。

仕事で新しい挑戦をするとき、家庭の役割をそのままにしようとすると、どうしても無理が出てきます。「家に何の影響も与えない前提で、仕事も全力でがんばる!」という状態は、長くは続きません。

だからこそ、変化を一人で完結させようとしないことが大事です。

家族、特にパートナーと対話しながら、「どこを一緒に調整していけるか」を話してみてください。

今の役割分担が、なんとなく決まっていたというご家庭も多いはず。

だからこそ、「今の自分にとっての働く意味」や「この先どうありたいか」について、改めて共有してみることが、挑戦への第一歩になります。

「変えること」を目的にしない

もう一つ大切なのは、「変えることそのもの」を目的にしないことです。

例えば「事業開発に関わりたい」という思いがあるなら、それは「肩書」や「職種」ではなく、「アイデアを形にする仕事がしたい」「事業の成長に手応えを感じたい」という気持ちからかもしれません。

その「変えたいと思った理由」や「変えることで得たい状態」がはっきりすると、他の職種やルートもみえてくるはずです。

変化は手段であって、目的ではありません。

どうありたいのか、どんな働き方が自分らしいのかを言語化していくことで、納得のいくキャリアが描けるようになります。

「今後数年をどう過ごすか」の設計図を描く

この先、数年をどう過ごすかは、思っている以上に人生を左右します。

育児との両立で「今はまだ無理かな」と思う気持ちもあって当然。でも、変わらないままでいることにも、見えにくいリスクがあることを忘れないでいてください。

また、今の状態は一生続くものではありません。

「今はこういう働き方を選択するけど、〇〇年後はこういう働き方がしたい」「家族としてはこのスタイルを目指したい」といった中長期的な見通しを、パートナーと一緒に描いていくことをお勧めします。

・「働くこと」はどんな意味を持つのか
・理想の自分はどんな姿か
・家族としてありたい状態はどんな形か

これらを共有し合うことで、キャリアの選択は「一人の問題」から「家族のプロジェクト」に変わります。一人で抱えこみすぎないことが大切です。

一度の変化や選択で「成功」や「正解」にたどり着こうとする必要はない

変わることは、やっぱり怖いですよね。それでも、「変わりたい」と感じている自分の気持ちを、どうか大切にしてあげてください。

「うまくいかなかったらどうしよう」という不安や、働くことへの罪悪感。きっと、いろんな気持ちが交差していると思います。

でも、「もう少ししたら挑戦しよう……」を繰り返して、変わらないまま月日が流れた時、自分がどう感じるかにも、少しだけ想像を巡らせてみてください。

「働く」ことが、あなたにとってどんな意味を持つのか。
どんな自分でいられたら、日々に手応えや誇りを持てるのか。

その問いを、家族とともに、少しずつ言葉にしていけば大丈夫です。

一度の変化や選択で「成功」や「正解」にたどり着こうとする必要はありません。大丈夫です。

その時々で最適な選択を積み重ねていくことで、きっと今よりよい未来にたどりつけます。応援しています!

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