
【2025年版】面接の短所、どう答える? 好印象な回答例10選&NG例
自分の短所を他人に教えることに抵抗を覚える人は少なくありません。それでも「あなたの長所と短所はなんですか?」は、面接では定番の質問です。面接官が長所と合わせて短所まで尋ねるのには、もちろん意図があります。この記事では適切な「短所の答え方」について解説していきます。
面接で短所を聞かれたらどう答える?
面接時に、あなたの短所や苦手なことは何かを質問される場面があります。この時に企業側の質問の意図を知らずに素直に回答をしてしまうと、あまり良い印象を与えられない可能性も。
では実際に、面接官はどんな意図で短所を聞いてきていて、それに対してどう回答するのが適切なのでしょうか?
なぜ面接官は短所を聞くのか?
面接官が応募者の長所だけでなく、短所まで尋ねるのには理由があります。まずは4つの観点から、短所を聞くことで面接官が何を知りたいと思っているかを解説していきます。

1.自己分析ができているか
短所=欠点と思いがちですが、面接の場面で尋ねられる「短所」とは「自らが改善すべき課題」を意味します。
面接官は短所を聞くことで、応募者が「自らが改善すべき課題(自分には何が足りないのか)」を理解し、他人に短所として説明できるかどうか、つまり「自己分析ができているか」を見ています。
2.課題を解決する意欲・工夫があるか
自身の課題を知るだけでは不十分で、それをきちんと受け入れ、なおかつ改善しようとする向上心があるかどうかまでがセット。
面接官は、短所を聞くことで応募者が「ちゃんと自己分析ができており、改善しようと行動する力がある人」なのかどうかを見ているのです。
3.求める人材として相応しいか
応募者の短所を聞くことで、自社の「求める人物像」に合致する人材かどうかを確認しています。業務内容や職種によっては、向き・不向きな性格というのは少なからずあるので、短所を聞くことでマッチングを図ろうとしているのです。
例えば、チームで動く仕事なのにコミュニケーションが苦手、逆に個人プレーを求める職種なのに優柔不断、では業務に支障が出てしまいます。近年はリモートワークやハイブリッド勤務も増えているため、自律的に仕事を進められるか、といった観点も見られています。
4.都合が悪いことにも誠実な対応ができるか
短所を聞かれるのは、応募者にとっては気持ちのいいものではないかもしれません。しかしそういう厳しい局面に立たされたときに、その人がどんな対応をするのかを面接官は見ています。
短所=欠点と考えて「短所はありません」と答えたり、はぐらかそうとしたりする人がいますが、誰にでも一つくらい短所はあるものですから、このような答えは不誠実な回答とも言えます。質問に対しての対応が不誠実な人は、入社後に何かトラブルを起こすのではないかと不信感を抱かれてしまう可能性もあるのです。
面接で伝えやすい「短所」の表現

面接で短所を伝えるとき、ネガティブなイメージにとられてしまうような言葉選びは避けたいものです。以下に、面接などで伝えやすい短所の表現の例を挙げました。より自分自身の性質に近しい、そして適切に伝えられる単語を考えてみてください。
よくある「短所」の例
短所には、性格的な要素、行動的な要素、思考的な要素、対人的な要素など、さまざまな切り口があります。要素に合った理由や、具体的なエピソードを添えられると説得力が増します。ここでは、面接で語られることの多い、短所の一覧を紹介します。
性格
頑固、優柔不断、心配性、慎重すぎる、繊細、引っ込み思案、気が強い、鈍感、完璧主義
行動
行動が遅い、マイペース、せっかち
思考
熟考型、負けず嫌い、八方美人、意志が弱い、理屈っぽい、打たれ弱い、溜め込みやすい、計画性が高すぎる(柔軟性に欠ける)
対人
人の頼みを断れない、お人良し、自己主張が激しい、人に厳しい、人に頼るのが苦手
どんな「短所」を選ぶかは、企業の社風や募集職種などに合わせて十分に検討してみてください。また、面接は口頭で行うものなので、耳慣れない言葉や小難しい表現は避けた方が良いでしょう。相手がイメージしやすいよう、一般的な表現を選ぶのがおすすめです。
短所を答える時に押さえたい5つのポイント

自分の短所について話すときは、単に説明をすればいいというわけではありません。5つの押さえるべきポイントがあります。
1.短所を克服しようとしていることをアピール
課題に対して自分がどう考えているか、どう対処しているのかを伝えましょう。短所自体が仕事とは直接関係ないことだとしても、課題に取り組む姿は仕事にも通じるものがあります。ただ、注意したいのは、「克服が完了している」状態なのであれば、そもそも短所の回答内容として成立しません。あくまでも「短所を克服しようとしているスタンス」をアピールしましょう。
2.ポジティブな言葉で表現する
マイナス要素のある説明だと、つい「~できない」と否定的な言葉を使ってしまいますが、これはできるだけ避けましょう。「~しがち」「~してしまうことがある」という風に言い換えたり、「時々」「少々」など程度をやわらげる表現を付け加えたりすると良いでしょう。また「苦手」は「得意ではない」、「難しい」は「努力が必要」など、ポジティブな単語へと変換することも聞き手の印象をやわらげる効果があります。
3.具体性・客観性のある内容を伝える
短所を伝える際は、感情的・主観的になって根拠の薄い話をしてしまいがちです。「自分がそう思ったからここが短所なのだ」と言っても、これでは説得力に欠けますし、聞く側としても内容を捉えにくくなってしまいます。
長所もそうですが、できるだけ自分から切り離して考え、客観的に分かりやすく説明できるようにしましょう。「仕事でこういう失敗をした経験から、ここが課題だと言える」「上司から指摘されることが多い」など具体的なシチュエーションを想像できるように話すと、相手にも伝わりやすくなります。
STARメソッド(Situation:状況、Task:課題、Action:行動、Result:結果)を意識すると、エピソードを構造化しやすくなるのでおすすめです。
4.「短所がない」という答えはNG
どれだけ自分に自信があったとしても、「短所がない」という回答はNGです。どうしても自分では思いつかないようであれば、友人や同僚など周囲の人に聞いてみて自分の短所を見つけ出すのも一つの方法です。
5.変えられないことや、致命的な弱点を挙げるのはNG
上述した通り、ここで言う「短所」は、言い換えれば自分自身の「課題」です。それなのに、「背が低い」といった身体的特徴や、「病気がち」など、本人の努力で改善しにくい点を挙げるのは質問の意図に沿いません。また、「時間にルーズです」「約束を守れません」といった社会人としての基本を疑われるような致命的な弱点も避けましょう。 コンプレックスと短所は異なるものだと覚えておきましょう。
どうしても短所が思いつかない時は?

「短所がない」はNGと言われても、どうしても思いつかない…という方もいるかもしれません。その場合は、以下の方法で自己分析を深めてみましょう。
過去の失敗体験を振り返る:仕事で失敗した時、なぜそうなったのかを掘り下げると、自分の行動や思考のクセ(=短所の種)が見えてきます。
周囲からフィードバックをもらう:信頼できる友人や元同僚に「私の改善した方がいいところって、どんなところかな?」と率直に聞いてみるのも有効です。
長所から考えてみる:「長所は〇〇ですが、その反面、時々△△しすぎてしまうことがあります」というように、長所の裏返しを短所として考える方法です。
転職エージェントに相談する:キャリアのプロである転職エージェントに相談し、客観的な視点から自分の強み・弱みを分析してもらうのも良いでしょう。
短所を聞かれた時の答え方例10選
短所を聞かれた時の答え方として、最終的には向上心があるように、ポジティブな印象を与えることが大切です。しかし、実際にどう言い換えればいいか、どう対策すればいいか考えるのは難しいもの。下記に10の例文を紹介します。
それぞれが自分の短所だという人はもちろんですが、「過大解釈されないようフォローを入れる」「実行している対策を伝える」「今後の目標を伝える」など、伝え方のパターンも参考にしてみてください。

「頑固」の例文
私の短所は頑固なところです。自分が決めたことにこだわってしまいがちで、自分の意見に執着してしまうこともしばしばありました。これを防ぐために、周囲と摩擦が起きているかもと感じた時には、ノートなどに自分の考えを書き出すようにしています。
文字にして客観的に見ることで「これはそこまでこだわる必要があることなのか」を吟味しています。こだわるべきことはこだわり、譲るべきことは譲るという判断ができるよう心掛けています。
頑固の「こだわりを持って仕事できる」という良いところは残し、「自分の意見に固執してしまう」という過度なところを直している、と伝えることが大事です。
「心配性」の例
心配をし過ぎる、とよく言われます。自信を持って取り組んだことについても、万が一間違っていたらと不安になり、2回、3回と確認を繰り返すこともあります。その分失敗は少ないのですが、人よりも確認作業に時間が掛かってしまうため、仕事は早め早めに進めるよう気を付けています。
上記のような伝え方をすれば、丁寧な仕事ができるという点を遠回しにアピールすることができます。また、あくまで心配しているのは見落としや勘違いであって、決して自分の「能力不足が心配」なのではないという言葉選びもポイントです。
「優柔不断」の例文
私の短所は優柔不断なところです。選択肢を多く提示されると考え込んでしまい、何か1つを選び抜くことがあまり得意ではありません。
しかし、いろいろと試してみた結果、直感や感情で選ぶのではなく、根拠となるデータがあれば雑念なく選べることが分かりました。そのため何かを判断するときは必ず根拠となるデータをもとにするようにしています。
それを応用して、上司やクライアントに判断を求めたいときにも必ずデータをつけるようにしており、提案が分かりやすく的確であると褒めていただくことも増えました。
長所に言い換えるとしたら、「優柔不断」は「慎重である」「物事をじっくり考えられる」などです。この側面からの改善策を考えるのも良いでしょう。
「せっかち」の例文
友人にはよくせっかちだと言われます。他部署の方からは仕事が早いと褒めていただくこともあるのですが、慌ただしい性格だと自覚しています。
ゆっくり丁寧にやろうと心掛けた時期もあったのですが、早く終わらせたいという衝動自体は変えられないことが分かったので、それ以降は早く終わらせた分最後に必ず見返す時間を取るようにしています。その結果、見落としなどの失敗はほとんどなくなりました。
「マイペース」の例文
短所はマイペースなところです。自分で計画を立てて、コツコツ仕事をするタイプなので、例えば周囲が慌ただしくていても、良くも悪くもあまり影響を受けることがありません。
しかしその姿が「進捗が悪いのではないか」と捉えられ、チームメンバーにいらぬ心配をかけてしまったことがあります。特にリモートワークでは状況が見えづらいため、その経験から、たとえ進捗に問題がなくても、チームには自分の計画を共有し、その都度進捗を報告するなどの工夫をしています。
「人見知り」の例文
時々人見知りをしてしまうことがあり、それが短所だと考えています。
仕事と割り切れば、業務に支障が出ない程度のものではありますが、他部署の方との打ち合わせなどではやはり緊張しがちです。傾向は自分でも理解しているので、オンライン会議など表情が伝わりにくい場面では特に、普段以上に笑顔で話すようにしています。
「自己主張が激しい」場合の例文
短所は自己主張が激しいところです。得意なことや自信のある事柄では特に声が大きくなってしまい、「自分の話ばかりしてしまったな」と後から反省することもしばしばあります。
ちゃんと周囲に耳を傾けて、相手からの意見も引き出せるようになりたいと思い、会議や商談の際は「まず相手の話を聞いてから、自分の意見を言う」という順番を意識するようになりました。
相手と交互に話をするようになったことで、自分だけでは思いつかなかったアイデアが出てきたり、企画がブラッシュアップされたりすることが分かってきたので、今後も意識して続けていきたいと思っています。
「緊張しやすい」場合の例文
今まさにですが、緊張しやすいことが短所です。何故緊張するのかを自分なりに考えたところ、『失敗したらどうしよう』という強迫観念が原因だと思い当たりました。
それからは、失敗したときの対処法について入念に考えるようになりました。さまざまなミスに対するトラブルシューティングを作り、『失敗してもリカバリーすればいい』と割り切ることで緊張を和らげるよう心掛けています。
「人に頼るのが苦手(抱え込みがち)」の例文
私の短所は、人に頼るのが少し苦手な点です。責任感から「自分でやった方が早い」と考えてしまい、仕事を抱え込んでしまうことがありました。後輩の指導を任された際、業務過多で納期に遅れそうになった経験から、それではチーム全体の生産性が上がらないと痛感しました。
それ以来、業務の目的やゴールを明確に伝えた上で積極的に仕事を任せ、進捗をこまめに確認するよう心掛けています。結果として、後輩の成長にもつながり、チームとしてより大きな成果を出せるようになりました。
「完璧主義」の例文
私の短所は、完璧主義なところです。資料作成などにおいて、細部までこだわり抜くあまり、想定以上に時間をかけてしまうことがあります。もちろん品質を担保することは重要ですが、スピード感が求められる業務では課題だと感じています。
この点を改善するため、仕事に着手する前に必ず「目的」と「納期」を確認し、どのレベルの品質が求められているのかを上司や関係者とすり合わせるようにしています。60%の完成度で一度共有するなど、優先順位を意識して業務に取り組むよう心掛けています。
こんな答え方はNG!注意したい回答例

「短所はありません」:自信過剰で自己分析ができていない、と判断されてしまいます。
「〇〇ができません」という断定:「苦手です」「得意ではありません」など、改善の余地を残した表現にしましょう。
ただの欠点の告白:「時間にルーズです」「嘘をついてしまうことがあります」など、社会人としての信頼を損なう内容は絶対にNGです。
企業の求める人物像と真逆の短所:「チームワークを重視する」企業に「個人で黙々と作業するのが好きです」と伝えるなど、ミスマッチを自ら露呈するのは避けましょう。
「短所」をうまく伝えられたら評価は下がらない
短所を答えることは、決してあなたの評価を下げることではありません。自分自身の課題と向き合い、それをどう乗り越えようとしているのか、その姿勢を伝えられるかどうかが重要です。
また、短所は長所と表裏一体なので、自分にとっては短所だと思っていたことが、企業にとって「長所」に見えることもあります。
「心配性なら、慎重に物事を進めるだろうからうちの部署に欲しいな」、「自己主張が強いということは、臆せず意見を言えるということだな」と、求める人材に合致していれば、良い方向に捉えてもらえる可能性もあるのです。
面接は、自分という商品をプレゼンする場。短所という一見ネガティブな質問も、自分を客観視し、成長しようとする意欲を示す絶好の機会と捉え、前向きに発言していきましょう!