内田真礼 早見沙織 花江夏樹 来栖りん/4人の人気声優に学ぶ、「完璧」を手放して自分らしく進むための思考法
「100点満点の準備をしなければ」「常に正解を出さなければ」――。仕事に真面目に向き合う人ほど、「完璧主義」の罠に陥り、自分を追い詰めてしまうもの。
そこで本記事では、Woman typeの過去のインタビューから、内田真礼さん、早見沙織さん、花江夏樹さん、来栖りんさんの記事をピックアップしてお届け。
声優・アーティストの世界の第一線で活躍し、多くのファンから熱く支持される4人の言葉から見えてきたのは、意外にも「完璧」を手放し、自分の中に「余白」を持つことの重要性です。
4人がどのように自分なりの「心地よいリズム」を掴み、第一線を歩み続けてきたのか。その独自のキャリア観に迫ります。
内田真礼:「執着の手放し」と、心地よいチームの作り方
声優・アーティストとして10年以上トップを走り続ける内田真礼さん。彼女の転機は、コロナ禍で夢だったアリーナライブが中止になったという大きな挫折でした。
絶望の中で彼女が手に入れたのは、「道は一つじゃない」という柔軟な思考。
かつては「願掛け」のように強いこだわりを持っていたという内田さん。しかし、その執着を手放したことで、周囲とのコミュニケーションやチームでの調和をより大切にできるようになったと語ります。
きつかったですが、「道は一つじゃない」と思考を切り替えられたのが大きかったと思います。最終的に幸せであれば、どんな道のりでもいいのではないかなと、少しずつ思えるようになって。
それまでの私は、「ライブの時は赤いネイルじゃなきゃダメ」というように、願掛けのようなものがすごく多かったんです。ですが、その経験を経て「いやいや、大丈夫」と、こだわりを一つずつ手放せるようになったことで、すごく柔軟になれた気がします。
人生の節目でいろいろな経験をしたことで、少しだけ強くなれたのかもしれません。
早見沙織:スランプを救う「余白」の仕事術と「ご機謙リスト」
『SPY×FAMILY』のヨル・フォージャーや『鬼滅の刃』の胡蝶しのぶなど、数々の国民的アニメ作品で印象的なキャラクターを演じ、多くのファンを魅了してきた声優・早見沙織さん。
彼女が現場に向かう際に意識しているのは、あえて「キャラクター像を作り込みすぎない」こと。自分の中に「余白」を残しておくことで、現場での自在な対応が可能になると言います。
また、スランプ時には感情を無理にフタせず「味わい切る」こと、そして元気な時に作っておいた「自分をご機嫌にするリスト」を実行することを語ってくれました。
現場に入る前には、「キャラクター像をあまり作らない」ことを意識しています。その場で何を言われても柔軟に対応できるよう、自分の「余裕」や「余白」を残して現場に向かう。その方が結果的にうまくいくと感じています。
花江夏樹:「完璧なプラン」より、現場で生まれる化学反応を信じる
『鬼滅の刃』の竈門炭治郎役をはじめ、数々の人気作品で唯一無二の存在感を放つ声優・花江夏樹さん。
彼は、「自分一人で決めすぎない」ことや、家での準備に固執せずに現場で相手の芝居を「聞く力」を重視することの重要性を語ってくれました。
「自分のため」から「誰かのため」へ。家族を持ったことで視点が変わったと語る彼は、意図的に休暇を取り、心身をいたわることも「良い仕事」へのプロセスだと捉えています。その温かくも芯の通ったスタンスが、チーム全体のパフォーマンスを引き上げているのです。
もちろんしっかり準備はしますが、この仕事は瞬発力がすごく大事。だからこそ、あんまりガチガチに固めすぎないようにしています。それよりも、現場で相手の芝居をしっかり「聞く力」や、そのキャラクターの気持ちに「寄り添う気持ち」の方が重要だと思っているので。
来栖りん:未熟な自分を認め、さらけ出すことで手に入れた「実直な成長」
アイドルグループ『26時のマスカレイド』の元センターで、アイドルから声優へと憧れの世界に飛び込んだ来栖りんさん。そこで彼女を待ち受けていたのは、自身の「無力さ」を痛感する日々でした。
しかし、彼女はその「できない自分」を責めるのではなく、成長のための原動力へと変えていきました。
自分を認めすぎてあぐらをかくことを恐れ、常に「未熟であること」を自覚しながらも、ファンの声援をやすらぎに変えて一歩ずつ進む。その嘘のない実直な姿勢が、新しいフィールドでの彼女の信頼を築き上げています。
私は養成所に通っていたわけではなく、アイドルを辞めてすぐにこの世界に来たので、同期の仲間たちが知っているようなことも何も知らないし、皆が当たり前にできていることができない。
アイドルとして約6年間活動してきたので、ステージに立つことだけは得意だと思っていたけれど、いざマイクの前に立つと、何をしたらいいか分からなくてパニックになってしまう。「あぁ、フィールドが変わったら、私はこんなにも何も持っていないんだ」とすごく追い込まれました。
ただ今思えば、キャリアチェンジしてすぐにこの経験ができて良かったなと思っています。


