辻希美 土屋太鳳 MEGUMI 山本美月/ライフイベントは「キャリアの停滞」じゃない。第一線を走り続ける4人の“働くママ”マインド
「母」になったからといって、キャリアややりたいことを諦める必要はない。そうは思っていても、現実には環境の激変に戸惑い、自分を後回しにすることに罪悪感を抱えてしまう女性は多いものです。
そこで今回は、Woman typeの過去のインタビューから、母としての顔を持ちながら、一人の表現者・職業人としても第一線を走り続ける4名の著名人の記事をピックアップ。
辻希美さん、土屋太鳳さん、MEGUMIさん、山本美月さん――。彼女たちの言葉から、ライフステージが変わっても「自分」を大切にし、納得感を持ってキャリアを歩み続けるためのヒントを紐解きます。
辻希美:一人で抱え込まず「応援団」を育てる。周囲を味方につける軽やかなコミュニケーション
モーニング娘。でのデビューから25年、現在は5人の子どもの母として多忙な日々を送る辻希美さん。
夫の杉浦太陽さんや子どもたち、それから仕事仲間までもが彼女の活動を支える「応援団」となっている背景には、かつてのワンオペ育児での葛藤から学んだ「周り育て」の秘訣がありました。
一人で頑張りすぎず、素直に助けを求める。その実直な姿勢が、家族やチームとの強い絆を生んでいます。
私は仕事でも育児でも、つらいことやしんどいことがあったら、夫や母、職場の人たちに「助けて」ってすぐ言っちゃうんです。そうすると、みんながそのつらさを一緒に受け止めてくれて、ふっと軽くなる。
しんどさって、口に出さないと伝わらないんですよね。だから素直に「つらいよ、しんどいよ」って言ってみると、周りの人たちも少しずつ“応援する側”に回ってくれるんじゃないかなと思います。
土屋太鳳:がむしゃらな20代を経て。「今を慈しむ」ことで見つけた、他者を見守る強さ
10代から俳優として走り続け、20代前半には「休みが年間で4日」というほど多忙な日々を過ごした土屋太鳳さん。当時は目の前の「今」を掴もうと必死にしがみついていたと振り返ります。
しかし、結婚・出産というライフステージの変化を経て、その姿勢は「今を慈しみ、味わうもの」へと変化しました。
自分ではない誰かを大切に思う経験が、役作りにおける「沈黙の中にある強さ」への共感に繋がり、仕事においても「心が通うこと」をより重視するようになったと言います。
「今」をどう大切にするか。当時に比べるとその姿勢は変わりました。 しがみつくというより、慈しむというか……包みたくなる、味わうようになったイメージです。
私の場合はライフステージの変化がきっかけの一つだとは思いますが、こういう変化は周りの同年代の友人にも感じるので、仕事もプライベートも「人生経験の積み重ね」が感覚を変えるんだろうなと思います。
MEGUMI:「自分軸」で人生の舵を握る。葛藤の末に見つけた、納得感のある働き方
俳優、映像プロデューサー、実業家と、マルチな才能を発揮するMEGUMIさん。
今でこそ「自立した女性」の象徴のような彼女ですが、出産後は「周囲から求められる役割」と「本当にやりたいこと」の狭間で、10年以上にわたる葛藤を抱えていました。
「ママタレ」としてのニーズに応えようとするあまり心がすり減っていく中で、彼女は少しずつ環境と折り合いをつける「シフトチェンジ」を決断。
同時に、理想の仕事を引き寄せるための努力を積み重ね、自らの手でキャリアを切り拓いてきました。
最初から完璧じゃなくたっていいんです。格好悪くても「もがいてみる時間」がすごく大切なんじゃないかな。
きっと自分の人生に本気で向き合って悩んだり失敗したりした時間は決してむだにならない。私の人生がその証です。
山本美月:ブランクは「視野」を広げる準備期間。自分に完璧を求めないバランスの取り方
モデル、俳優として全力で走り続けた20代を経て、出産による休止期間を経験した山本美月さん。
復帰前は「ブランク」への不安もあったと言いますが、いざ現場に戻ってみると、母となった経験が「視野の広さ」や「相手を受け止める余裕」に繋がっていることに気付いたそうです。
焦って遅れを取り戻そうとするのではなく、今の自分にしかできない表現を楽しみ、パートナーと対話を重ねながら「自分たちの形」を模索する。時には立ち止まることを恐れず、自分の心に正直にバランスを整えていくことの大切さを教えてくれました。
これまでのキャリアを振り返ってみても、仕事にどう向き合うか、そのバランスってその時々で変わっていくもの。
だから、自分に対して完璧を求め過ぎないことが大切なのかもしれませんね。
自分にとってちょうどいいと思えるバランスを、ゆっくり探していく。それは仕事だけじゃなく、人生全体についても同じことかなと思います。


