歓送迎会や新年会の幹事になったら? 一発芸を振られたら? 会社の飲み会が憂鬱じゃなくなる心得9つ
新年度や新年に多い会社行事と言えば、歓迎会や送別会、そして新年会。新たに部署異動した人や新入社員にとっては、職場の飲み会は戸惑うことばかり。
さらに、幹事や余興をやらなければいけなくなったりしたら、戸惑いが募るあまり、「職場の飲み会は面倒くさい!」なんてイヤになってしまう人も少なくないはず。
「宴会は、良い人間関係を築くためのツールの一つだと思いましょう。自分にとっての参加メリットを見つけることができれば、嫌だと感じなくなるかもしれません」と語るのは、ビジネスマナー講師で宴会における幹事術にも詳しい篠原あかねさん。
宴会に参加するメリットとは例えば何だろうか?
「上司や先輩の新たな一面を発見できてコミュニケーションが促進されるといったことはよく言われますが、他にも、職場では面と向かって言うチャンスがない謝罪やお礼を伝えやすいという効果もあります。
仕事での失敗も『あの時は申し訳ありませんでした。助けていただいてありがとうございました』と謝りやすい場なんです。幹事をやって飲み会を成功させれば、自分のファンができて、仕事での支援者増加にもつながりますよ」
飲み会のメリットは理解できるものの、幹事や一発芸となるとそう簡単にはこなせない人も多いだろう。社内外の人をもてなし、接待しつつ、空気を乱さずコントロールするのはなかなか難しいもの。
というわけで、女性が身に付けるべき飲み会での接待術のポイントを、篠原さんに教えてもらった。
「楽しい会だったよ」と褒められたら成功!
幹事になったら気を付けたい3つのこと
■まずは会の目的を分析! ただの飲み会では終わらせない
職場の飲み会をつまらなく感じる原因の多くはコレなんだとか。
「宴会には、新年会や歓送迎会、プロジェクトのキックオフなどの目的があります。この宴会は何のためのものなのかを握っておかないと、ただの飲み会に終わり、満足感も薄くなりがち。例えば、新年会なら『新年のフレッシュな気持ちのまま、期末までの残り3カ月を走り抜けよう』という決起の意味、など。こうしたテーマを掲げて、それらしい演出を心掛けましょう」
幹事になったらまずは飲み会の目的をはっきりさせよう。
■予算は、自分ではちょっと高いかなというレベルが目安
幹事としての最初の仕事は、日程を確定させること。いくつかの候補日程をメールして参加者を確認し、正式な日程が決まったら、顔ぶれに合わせたお店選びを。
「予算の目安は、『4,000円飲み放題込み』が私のおすすめです。学生時代の飲み会とは違って、年齢の幅が大きい職場の宴会の場合、学生レベルよりちょっとだけ高いぐらいがちょうどいいものです」
■接待の基本は観察から。自分の価値観で勝手に動かない
女性に期待されがちなお酌や大皿料理の取り分け。しかし、環境が変われば飲みの席の常識も変わることが多いので、最初はむやみに動かない方がいいようだ。
「料理は自分で取る文化の部署で、率先して取り分けしたら他の女性から『媚を売っている』と反感を買ってしまう危険性も。勝手が分からないのであれば、まずは周囲を観察し、女性の先輩に『私もやった方がいいですか?』とこっそり聞いてしまうのもアリ。また、お酌をしたり料理を取り分けるなど気を遣うのが面倒だと思うなら、お店選びの時点で、一人ずつ料理が出てくるようなお店を選ぶなど、自分の都合に合わせることもできますよ」
無理をせず、周囲も納得させられるのが一番!
女子流一発芸の心得
■一発芸は「上司の親心」と「トラブル対応力の試験」と思え
そもそも、なぜ一発芸を振られるのか? それは、上司や先輩に「目立たせてあげたい、みんなにこの子を知ってほしい」といった親心があるから。
「決して若い女の子に恥をかかせようと意地悪しているわけではないんです。そこをおおらかに汲み取り、一瞬だけでも頑張りましょう。一発芸を振られたときの対応力を見て、仕事でトラブルが起こったときにこの子はどう対処するのか、と仕事と重ねて見ている上司もいます。『できません』の一点張りでは『自分はその能力はありません』と宣言するようなもの。飲み会での振る舞いだからと思っているのは自分だけかもしれませんよ」
■来るもの拒まず、サッとやってスッと流す
「振られたらさっさとやってしまって、次の人に回すのが肝心。『無理です』とゴネればゴネるほど、逆に視線が集まり、辛くなってしまいます。実は、女性は一発芸を“頑張る”だけで喜ばれるんですよ? ウケなくてもいいので、『じゃあ、ニワトリをやります! コケコッコー!』でも許されてしまうのが女子の役得です(笑)」
定番は、歌やモノマネなど。突っ込みを入れづらい自虐ネタや、品位を下げる下ネタ系はNG。周囲の女性に不快感を与えないかどうかを判断の基準にしよう。
■どうしても苦手なら、事前の準備で回避する
一発芸を振られたときのために、錠剤タイプのウコンや飴を用意。「こんなこともあろうかと、皆さんに用意しておきました。芸の代わりにこれで許してください!」と言って配るという手段も。逆に「気がきくね!」と評価されそう!?
「もしくは、同期や親しい同僚にヘルプを頼んでおくのも手です。職場に1人や2人は得意な人がいるもの、『一発芸を振られたら助けてね!』と事前に協力要請しておきましょう」
良かれと思ったことが裏目に!?
2次会の定番「カラオケ」のお作法
■実は鬼門の「80年代アイドル」
先輩方の年齢層にあわせて松田聖子の曲を選んだら、女性上司の十八番だった…なんてことも起こりうるのが、カラオケの怖いところ。
「松田聖子、ピンクレディ、山口百恵あたりは避けた方が無難ですね。無理して懐メロを歌うよりも、サビの部分を全員で歌えるようなノリのよい曲がいいでしょう。冒頭にサビ部分がある曲なら尚良し! 最近なら、AKB48の曲がおすすめです」
■手拍子と拍手と合いの手を的確なタイミングで
「歌っている人にとって、みんなが選曲に夢中で、誰も聞いてくれないことほど悲しいことはありません。よく知らない曲でリズムを取れなかったとしても、音を出さずに手拍子の身振りをするだけでも『聞いてますよ』の姿勢を伝えられます。そして最後は必ず盛大な拍手を。女性の声で『ステキ!』『うまーい!』といった合いの手を入れてあげるのも優しさです。よほどイヤでなければサービスしてあげましょう(笑)」
注意したいのは男性とのデュエット。あらぬ誤解を受けないためにも、2人の立ち位置の距離は適切に保っておいた方がいいそう。
■避けた方がいい曲は「長い曲」と「バラード」
カラオケは流れが大事。次にどんな曲が予約されているかも観察しておかなければならないのだ。
「1曲が5分以上あるものや間奏がやたら長い曲は避けた方がベター。バラードが2~3曲続いてしまうのも、場がしっとりしてしまうので、気付いたら盛り上がる曲を挟んで。最初に曲を入れる順番も気を遣うところですが、社外の方がいる接待の場合は、お客さまに先に勧めて、それから自分の上司に勧めましょう。『先に入れて』と振られたら自分が一番に曲を入れて楽しい雰囲気を作りましょう」
まだ盛り上がってるけどもう帰りたい・・・、そんなときも空気を壊さず抜けるにはどうしたらいいのか聞いた。
「『両親がうるさいので』などと家族を言い訳に使うのが賢いやり方。また、『修業中の身なので・・・』は、引き留めを振り払って帰る際や、無理な余興を断る際に役立つ万能の言葉です。自分は未熟者だから最後までいられないのだ、という不思議な納得感を演出することができます」
職場の飲み会への抵抗をなくすその他の心得としては、「無理にしゃべらず、7:3の割合で聴く側になる」、「お酌をする場合は、相手に『いかがですか?』と一言かけてからでOK」、「お酒が苦手なら最初に宣言すべし」など。コンパニオンのように無理して気を遣わなくてもいいのだと思ってほしい。
「私は『宴会はプロジェクトだ』とアドバイスしていますが、その真意はマイナスの意味ではありません。仕事と同じように、宴会も成功したときの達成感や一体感を楽しみましょうということ。宴会を無駄なものと決め付けず、コミュニケーションの場として楽しんでくださいね」
取材・文/朝倉真弓