「スキルがないから無理」の時代は終了? 2026年以降に伸びる、未経験からの副業3選【小森優】
副業解禁の流れや生成AIの急速な普及を受けて、「今年こそ何か始めた方がいいのかも」と感じている人は少なくないだろう。
一方で、SNSを開けば「未経験でも稼げる副業」「スキルがなくてもOK」といった言葉があふれ、結局、何から手を付ければいいのか分からない——そんな状態に陥ってしまう人も多い。
そこで今回は、女性向け実践型リスキリングスクール「リモラボ」代表で、8,100人以上のキャリア支援に携わってきた小森優さんにインタビュー。
今から始めるなら、どんな副業を選べばいいのか。未経験からでも挑戦しやすく、次のキャリアにつながりやすい仕事と、情報に振り回されずに選ぶための考え方を教えてもらった。
女性のためのWEBスクール「リモラボ」代表
小森優さん
保育士からWeb業界へ未経験で転身。SNS運用代行などのクライアントワークを経て、女性向けの実践型リスキリングスクール「リモラボ」を設立。これまでの経験をもとに8,100名以上の”女性の選択肢を広げる”サポートを行うほか、フルリモートワークのSNSコンサルタントとしても活動している。著書に「私たちは“通勤”を辞めました 新時代のキャリアの築き方と20人のリアルな経験談」「にゃるほど! 心のモヤモヤがスーッと消える仕事術図解100」(KADOKAWA)など。 X Instagram
2026年は「生成AI前提」で副業を考える年に
副業を取り巻く環境は、この数年で大きく変わってきた。副業解禁に踏み切る企業が増え、「副業をすること」自体が、少しずつ当たり前になりつつある。
そんな中で小森さんが語るのは、副業を“今の収入を少し増やすためのもの”として考えるのは、もう時代に合わなくなってきているということだ。
これからの副業は、収入の足しというよりも、将来の自分を助けてくれる“備え”に近い存在だと思っています。
本業を続けながら経験を積んでおくことで、転職や独立といった選択肢も、無理のない形で現実味を帯びてきます。
そして、その“備えとしての副業”を支えている大きな前提条件が、生成AIの存在だ。
生成AIは、もはや使うかどうかを迷う段階ではありません。AIを使うことを前提に仕事が進み、その中でどんな価値を出せるかが、問われるようになっている。それは副業でも同じです。
リサーチや資料作成など、これまで時間をかけていた作業を生成AIで効率化できれば、その分、提案や改善といった“人にしかできない部分”に時間を使える。
結婚や出産、育児などで仕事とプライベートのバランスが変わっても、無理のないかたちで働き方を調整しやすくなる点は、副業を考える女性にとっても大きなメリットだろう。
2026年は、その変化を実感しながら副業を始める女性が、さらに増えていきそうだ。
2026年に伸びる副業3領域
では生成AI前提の時代に、副業を始めたい女性はどんな仕事を選べばいいのだろうか。
小森さんが挙げるのは、「未経験からでも挑戦しやすく、経験を積むことで次のキャリアにつながりやすい」3つの領域だ。
1.オンライン秘書|事務経験を土台に、仕事の幅を広げる
オンライン秘書は、経営者やチームのサポート役として、スケジュール管理や資料作成、情報整理などをリモートで担う仕事だ。事務やアシスタント業務の経験があれば、これまでの延長線上で始めやすい副業でもある。
事務職の方ほど「特別なスキルがない」と感じがちですが、企業がある限り、バックオフィス業務がなくなることは当面ありません。スタートアップを中心に案件も多く、副業としては始めやすい分野なのです。
生成AIを活用すれば、議事録作成や資料のたたき台、情報整理などを効率化できる。作業時間を減らすことで、全体を見渡した調整や改善提案にも目を向けられるようになる。
言われたことをこなすだけでなく、目の前の業務に潜む課題を捉えて、少し先回りして整えたり提案したりできる存在になることで、企業からの信頼は一気に高まります。課題を起点に業務を見直し、効率化・自動化まで提案できる力が重要なのです。
日々のサポート業務を入口に、業務全体を支える存在へ。オンライン秘書は、経験を積むほど仕事の幅を広げていける副業なのだ。
2.SNS運用代行|「SNSマーケター」への道も
SNS運用代行は、企業やサービスのアカウントを預かり、投稿作成やコメント対応、数値の確認などを行う仕事だ。普段からSNSをチェックしたり、トレンドを追ったりするのが苦にならない人に向いている。
SNS運用はセンスや才能が必要だと思われがちですが、実は最も大切なのは、“なぜ伸びたのか”“次はどう改善できるか”を考えられるかどうかです。
生成AIを使えば、投稿案のアイデア出しやリサーチ、文章作成をスピーディーに進められる。作業に追われる時間を減らし、数字を見ながら改善を考える余裕が生まれることで、仕事の質も変わっていく。
言われた通りに投稿を作るだけだと単価は上がりにくい。でも、業務範囲を分析や改善まで任せてもらえる「SNSマーケター」にステップアップできると、企業との関係性も変わってきます。
投稿作業を入口に、マーケティング視点を身につけていける点が、SNS運用代行の大きな魅力だ。
3.カスタマーサポート|対応業務から、信頼をつくる仕事へ
カスタマーサポートは、問い合わせ対応などを通じて、顧客と企業をつなぐ仕事だ。チャットやメール対応が中心の案件も多く、副業として取り組みやすい。
“対応するだけの仕事”と思われがちですが、実は企業にとってとても重要なポジションです。お客さまの声が一番集まる場所でもありますから。
生成AIに情報の整理や要約を任せることで、「顧客の真意を汲み取ること」や「寄り添った言葉選び」に専念できる。 その結果、一つ一つのやり取りの質が上がり、より丁寧な対応が可能になるのだ。
対応を重ねる中で、「なぜ同じ質問が多いのか」「どこでつまずいているのか」を考えられるようになると、仕事の役割も変わってきます。信頼を積み重ねることで、改善提案やセールスなど、次のステップにつながっていくのです。
紹介してきた3つの副業に共通するのは、オンラインで完結できるかつ、生成AIを使って作業を軽くしながらより価値の高い仕事へと役割を広げていける点だ。
まずは始めやすいところから小さく挑戦し、自分に合った伸ばし方を見つけていくことが、副業を続けていくうえで重要になる。
副業の第一歩は、新しいスキルより「経験の棚卸し」から
副業を始めるにあたって、「自分にはアピールできるスキルがないから難しい……」と感じてしまう人は少なくない。そんなときに小森さんが勧めているのが、これまでの経験を棚卸しすることだ。
多くの方が「何をやってきたか」で考えてしまいますが、そこを「どんな価値を提供してきたか」という視点に変えてみてください。
例えば「事務をしていました」というよりも、「ミスなく整えるのが得意」「情報を分かりやすくまとめるのが好き」といったかたちですね。
生成AIと会話しながら、「この経験はどんな価値になりますか?」と整理していくのもおすすめです。
価値ベースで自身の強みを書き出してみることで、自分に向いている副業の輪郭が、少しずつ見えてくる。
棚卸しで出てきた強みをもとに、クラウドソーシングサービスで案件を探してみたり、身近な人に「副業を探していて…」と声をかけてみたり。もう少し自信をつけたい場合は、スクールなどを活用して強みを強化するのも一つの方法ですね。
いきなり大きな仕事を取ろうとしなくていいので、「この強みなら使えそう」というところから試してみるのがおすすめです。
大事なのは、考え続けることよりも、小さく動いてみること。その中で、自分に合うかたちが見えてくると思っています。
副業は、「今すぐ人生を変えるためのもの」ではない。本業を続けながら経験を積み、いざというときに選べる道を増やしておく。そのための準備だと小森さんは語る。
最初から完璧を目指す必要はない。まずは自分の経験を整理し、できそうなことを一つ試してみる。その積み重ねが、将来のキャリアの選択肢を静かに広げていくのだ。
取材・文/大室倫子(編集部)


