早く産む・遅く産む、キャリアにとってどっちが正解? 働く女性200人の“本音”大公開

早く産む・遅く産む、キャリアにとってどっちが正解? 働く女性200人の“本音”大公開

キャリアと出産、いつどちらを取る?
私らしい“産みどき”

自分のキャリアは大切にしたい、でもいつかは子どもも欲しい。出産のタイムリミットとキャリア形成の狭間で、いつ、何を選べば後悔しないのか。自分らしい仕事人生を送るための“産みどき”のヒントを、さまざまな角度から考えていきます。

早めに出産・育児を終えた方が、その後キャリアに集中できるのか。

それとも、キャリアを積んでから産んだ方がいいのか。

結婚、出産もしたいけれど、キャリアも大事にしたい働く女性であれば、頭を悩ませたことがあるのではないでしょうか。

そこで今回、40代の働く女性200人にアンケートを実施。20代前半で出産した人、30代後半で出産した人、それぞれが今、自分の“産み時”をどう振り返っているのかを聞きました。

20代前半で産んだ女性の半数以上が「早く産んで良かった」

まず、20代前半から半ばで出産した40代の女性100人に、「仕事・キャリアの観点で、早く出産して良かったと思うか」を聞いたところ、半数以上が「良かった」と回答しました。

早く出産して良かったと思うかどうかのアンケート結果を示す円グラフ
早く産んで良かったと思う理由

・若いうちに出産したことで、体力的にも精神的にも余裕があり、育児と仕事の両立がスムーズにできた。おかげで30代以降はキャリアに集中でき、資格取得や昇進のチャンスも逃さず挑戦できている。同年代の同僚が出産で一時的にキャリアが停滞する中、私は早めにライフイベントを終えたことで、希望する部署やプロジェクトに積極的に関われ、管理職としての経験と年収アップにもつなげられたと感じている。(26歳で出産・一般事務)

両親や兄弟も若かったため、子どもの急な体調不良時も預け先に困らず、仕事に専念することができた。40代になって仕事の疲労も感じやすくなったが、子育て・家事・仕事の3両立がないため、体調を労わりながら仕事を遂行できる。(21歳で出産・看護師)

・ライフイベントを済ませた後に転職したので、ブランクが発生することなく経験を積むことに全力を注げた。また、30代中盤になる頃には子どもが家事を手伝ってくれるようになっていたので、勤務時間に融通がきくようになり、責任が伴う仕事も任せてもらえるようになった。(22歳で出産・一般事務)

・30代以降は子どもの手が少し離れ、仕事にフルコミットできた。昇格試験や資格取得の学習時間を確保しやすく、転勤や出張も受けやすかった。体力面でも若い時期の産育休は回復が早く、復帰後のパフォーマンス維持につながり、結果として40代の今は管理職として年収も上がった。(23歳で出産・営業企画)

・早いうちに子育てがひと段落したことで、同年代の女性たちが産休・育休を取得している時に、さらにキャリアアップに向けて仕事に集中することができた。また、子供の塾や進学など一番お金のかかる時期にフルタイムに戻すことができたのは非常に良かった。(24歳で出産・サービス業)

良かったと回答している人たちは、「早くライフイベントを終えたことで、30代の働き盛りの時期にキャリアへ集中できた」点を挙げる人が多く見られました。

結果的に、30代後半から40代にかけて、管理職昇進を果たしたり、収入アップに繋がったという声も少なくありません。

また、自身やサポートしてくれる祖父母が若く体力があることで、仕事にパワーを割いても両立できたという意見も目立ちました。

では一方で、「早く産んで良かったとは思わない」と回答した女性たちは、どのような壁に直面したのでしょうか。

早く産んで良かったと思わない理由

・出産前に、さまざまな仕事を覚えてスキルを身に付けておきたかった。大したスキルもない状態での転職活動は難しい。(22歳で出産・一般事務)

・若いうちに学ぶ機会を失った気がする。周囲の人たちが仕事で学んでいる時期に一緒に学びたかった。今は、自分で意識しないと、新しいことに挑戦する機会がほとんどない。年をとるごとに、チャレンジに勇気がいるようになっていくのを感じる。(20歳で出産・事務)

・子どもが成長してから、35歳で転職活動をしたけれど、何のスキルもなく、子どもがいるとなるとなかなか雇ってもらえず苦労した。(22歳で出産・営業)

・出産育児でキャリアの空白期間ができたため、30代後半での復帰時には同期が管理職に昇進しており、同じスタートラインに戻れず悔しい思いをした。(22歳で出産・経理)

・責任のあるポジションを任される前に職場を離れることになった結果、キャリアの継続や昇進の機会を逃してしまったと感じる。また、子育てに時間と体力を取られる時期に、同年代の人たちがスキルアップや資格取得などで着実にキャリアを積んでいく姿を見ると、焦りや取り残されたような気持ちになることもあった。(24歳で出産・営業)

スキルが身に付く前に出産をしたことで、育児が落ち着いた後の転職活動に苦労したり、30代以降に新しいチャレンジをするハードルが高くなったりしたと感じる人が多いことが分かります。

また、同じ職場に復職したものの、育休中に同期や同僚が昇進し、焦りや悔しさを感じたという声も多く寄せられました。

中には、20代のうちは経済的に安定していなかったため、「やりたい仕事よりも、生活のための仕事を優先せざるを得なかった」(24歳で出産・営業)という声も。

20代のうちに出産して「良かった」と感じる人と、そうでない人の差は、子どもの手が離れ始める30代に、スキルアップや新しい仕事、責任あるポジションに挑戦できるかどうかが分かれ道になりそうです。

では次に、30代後半で出産した女性たちの声を見ていきましょう。

30代後半で産んだ女性「遅めの出産で良かった」は4割弱

30代後半で出産した40代の女性100人に、「仕事・キャリアの観点で、遅めに出産して良かったと思うか」を聞いたところ、36%が「良かった」と回答しました。

早く産んだ女性たちよりも「良かった」と回答する人が少ない結果となりました。

遅く出産して良かったと思うかどうかのアンケート結果を示す円グラフ
遅く産んで良かったと思う理由

・さまざまな仕事を経験し、安定した仕事と役職を得てからの出産だったので、産後も復職しやすく、収入維持ができている。精神的にも余裕を持って子育てに向き合えている。(36歳で出産・一般事務)

・30代半ばまでに職場での信頼を築けていたため、育休取得後もスムーズに復職できた。時短勤務でも責任ある仕事を任せてもらえ、キャリアを維持できたのは大きなメリット。また、周囲に同じような境遇の同僚が多く、育児と仕事の両立について相談しやすかったのも心強かった。精神的にも落ち着いて育児に向き合えたことで、仕事とのバランスを取る余裕があった。(36歳で出産・一般事務)

・十分な経験と実績を積んでから出産できたことで、仕事面での自信と精神的な余裕を持って育児に臨むことができた。若い頃よりも優先順位の判断や時間の使い方が上達し、効率的に働けるようになった。現在は、管理職としても働く母としても社内のロールモデル的な存在としての役割を担っている。(38歳で出産・営業)

出産までに一通りの業務を経験し、実践的な経理全般の知識をつけることができた。出産後は個人事業主として完全オンラインで経理業務を3社引き受けているが、スムーズに個人事業主として仕事を開始することができたのも、この経験のおかげだと思っている。(35歳で出産・経理)

・若く体力的に頑張れるときに仕事に集中できる環境だったのは良かった。周りの人がすでに子育てを経験しているので、寛大にみてくれたり、アドバイスをもらえたりしたのも助かった。精神的にも経済的にも余裕があるので、子育てが自由にできていると思う。(40歳で出産・空港地上職員)

・海外事業担当として、年に数回の海外出張が必須な業務を経て、経験を積んでからの出産であったため、望むキャリアを実現できた。(35歳で出産・国際協力コーディネーター)

若いうちにスキルを身に付け、社内での信頼関係やポジションを築いてから出産したことで、スムーズに復職できたという声が大半を占めました。また、自身の望むキャリア形成をライフイベント前に集中してやり切れたことを良かったと振り返る人も多く見られます。

そのほかにも、職場に育児と仕事を両立するロールモデルが増えていたことや、精神的・経済的な基盤が整った状態での両立だったことなどから、余裕を持って働けている人が多いことが分かります。

次に、「遅めに出産して良かったと思わない」と回答した人の声を紹介します。

遅く産んで良かったと思わない理由

・体力が落ち、仕事から帰宅し抱っこをねだる子どもを抱いてあげる力さえなかった。仕事との両立が難しくなり、正社員からパート勤務に。もっと若ければ正社員のまま働き続け、経済的な余裕を持って、子どもへの投資もできたと思う。(40歳で出産・飲食店接客)

・プレ更年期症状も表れ、体力的にも育児と仕事の両立がきつく、フルタイムで働く気力がなくなってしまった。周りは育児もひと段落していて、バリバリ正社員で働いていることをうらやましく思う。(37歳で出産・医療事務)

・キャリア形成のタイミングと出産・育児の負担が重なってしまう。仕事で責任ある立場や昇進のチャンスが巡ってくる時期に妊娠・出産を迎えるため、十分に挑戦できない。(35歳で出産・語学講師)

祖父母も高齢で体力がなく、サポートが得られにくい。(35歳で出産・障害者支援施設の生活支援員)

・育児が落ち着いてきてから転職をしようと思ったものの、募集要項を見たら35歳以下の人を求める求人が多く、苦労した。(35歳で出産・事務)

・39歳で職場復帰したものの、時短勤務により会社への貢献度が下がったことでキャリアがストップ。マミートラックに乗ってしまい、今に至るため。会社の価値観が古いせいもあるけれど、若いうちに出産して40歳くらいで子どもの手が離れている女性は、挽回がきいている印象です。(37歳で出産・人事)

「遅めに出産して良かったと思わない」と回答した人の約半数が、体力面でのデメリットを感じているという結果になりました。

遅めの出産を選択する場合は、行政の支援制度を事前に調べたり、パートナーとの協力体制を話し合ったりと、体力の低下を前提に「一人で抱え込まない」準備をしておくことが重要そうです。

また、キャリアチェンジや転職に挑戦する際に、年齢がネックとなり苦労したという声も少なくありません。

キャリアに集中できる20代のうちに、どれだけ汎用性のあるスキルを身に付け、市場価値を高められるかが、40代以降のキャリアの選択肢を左右すると言えそうです。

出産年齢よりも、「仕事に集中できる時の過ごし方」がカギ

早く出産した人・遅く出産した人、それぞれの声から見えてくるのは、「いつ産むか」以上に、「仕事に集中できる期間をどう過ごすか」が、その後のキャリア満足度に大きく影響しているという点です。

20代前半で出産した人の場合、30代後半以降に仕事へ再び集中できるようになったタイミングで、チャレンジを恐れず、新しい学びに前向きな人ほど、40代で管理職昇進や収入アップを実現していることが分かります。

一方で、年齢を重ねたことによってチャレンジをためらってしまうと、その後のキャリア形成に苦労する可能性も高まります。

30代後半で出産した人の場合は、20代のうちにスキルを身に付けたり、昇進を経験していたりする人は、復帰後もスムーズにキャリアを築いている傾向が見られました。

40代以降も、年齢や体力を理由に選択肢を狭めないためには、20代のうちに「戻ってこられる場所」や「武器になるスキル」を作っておくことが重要だと言えるでしょう。

「早く出産する」「遅く出産する」――どちらが良いキャリア形成につながるかは、人それぞれ。

自分にとって納得のいく仕事人生を考えるヒントとして、本特集では今後もさまざまな角度から、働く女性たちの“産みどき”について掘り下げていきます。

▼今後のラインナップ▼

・産婦人科医・宋美玄さんと考える「医学的知見」を踏まえた、働く女性の産み時とキャリア

・フリーランス歴10年・漫画家あんじゅ先生と考える、フリーランスの産みどき

・メンタルヘルス×キャリアの専門家・十束おとはさんが「働きどきに出産した女性」のお悩みに回答

・働き時真っ盛りに出産した、イモトアヤコさんが考える“産みどき”

・女優賞を連続受賞した年に出産した木村佳乃さんが、10年以上たった今思うこと

etc.

【調査概要】
●調査方法:40~50歳の働く女性へのWebアンケート(クラウドワークス)
●調査期間:2025年10月08日~2025年11月04日
●有効回答者数:200名

文/光谷麻里(編集部)