「私の方が実績あったのに…」育休中に同期が昇進。悔しさと向き合い、前向きに働くヒント【十束おとは】
自分のキャリアは大切にしたい、でもいつかは子どもも欲しい。出産のタイムリミットとキャリア形成の狭間で、いつ、何を選べば後悔しないのか。自分らしい仕事人生を送るための“産みどき”のヒントを、さまざまな角度から考えていきます。
働き盛りのタイミングにライフイベントを迎える不安の一つが、それまで横並びだった同僚たちから遅れを取ることではないでしょうか。
そこで今回、「育休から復帰したら、同期がリーダーを務めるチームに配属になった」というモヤモヤを抱える女性のお悩みを、「キャリア×メンタルヘルス」の専門家、十束おとはさんに相談してみました。
ライフイベントにより、キャリア形成で悔しい思いを抱えてしまったとき、どのように感情を受け止め、今後の仕事と向き合っていけばいいのか。十束さんが示す、前向きに働いていくためのステップとは。
十束 おとは(とつか・おとは)さん
アイドルグループ「フィロソフィーのダンス」を2022年11月に卒業。会社員を経て、現在はキャリアコンサルタントとして芸能人のセカンドキャリアや学生・女性のキャリア支援にも取り組む。キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、メンタル心理カウンセラー、メンタルヘルス・マネジメント検定、産業カウンセラーを取得。ゲーム・アニメ・漫画・映画といったサブカルチャーにも精通し、イベントMC・タレント・ライターなどパラレルキャリアを邁進中■X/Instagram
お悩み:育休から復帰したら、同期が上司になっていた
先日、育休から復職しました。
すると、私が休んでいる間に同期入社の仲間が昇進しており、彼女がリーダーを務めるチームに配属されることになりました。
努力して結果を出した彼女が昇進するのは当然のことですし、納得しているつもりなのですが、育休前は私の方が営業成績が良かったことを思い出すと、どうしてもモヤモヤした気持ちが湧いてきます。
家に帰ると悔しさが込み上げてきて、涙が出ることもあります。この気持ちをどう整理すれば、前向きに仕事に取り組めるようになるのでしょうか。
ご相談いただき、ありがとうございます。
育休中や育休を経て職場に復帰したとき、同僚の昇進や活躍を目にすると、胸の奥にざわつく感情が生まれることがありますよね。
「自分の方が成績が良かったのに、どうして……」と、つい比べてしまう自分に戸惑う方も少なくありません。
これは、決してあなたの心が小さいわけでも、卑屈になってしまっているわけでもありません。仕事に真剣に向き合ってきた証拠であり、自分のキャリアを大切に思っているからこそ湧く自然な感情です。
まず大切なのは、その気持ちを否定せず、ありのまま受け止めることです。家に帰って涙が出る、悔しさやもどかしさを感じる、この気持ちは決して罪悪感を抱くべきものではありません。自分の感情を認めることで、次のステップに進むためのエネルギーを作ることができます。
今回は、そんな感情と上手に付き合っていくための方法を、キャリアとメンタルヘルスの視点からお伝えします。ぜひ参考にしてみてくださいね。
【STEP1:「事実」と「解釈」を分ける】
心の整理の第一歩としておすすめなのは、「感情の言語化」です。
悔しい気持ちやモヤモヤを紙に書き出したり、日記にまとめたり、信頼できる人に話したりすることで、自分の中で感情を客観視できるようになります。
このときに意識したいのは、事実と解釈を分けること。
「同期が昇進したこと」「産休を取得する前は自分の方が営業成績が良かったこと」は事実ですが、「自分より劣っているはずなのに昇進した」と感じるのは解釈です。事実と解釈を分けることで、感情に振り回されにくくなります。
その上で、「なぜ、このような解釈をしたのだろう」「どんな自分になれたら今のような気持ちにならない?」「どういう時に、モヤモヤとした負の感情が生まれてしまうのだろう」と考えてみると、解釈から少し顔を出している自分の本心と向き合えるのでおすすめです。
自分の本心を言語化できると、ネガティブな感情に飲み込まれず、「これからどうしたいのか」「どんなアクションを取ろうか」と次のステップを考える心の余裕が生まれます。
【STEP2:他者との比較ではなく、自分のキャリアと向き合う】
相談者さんは今、「他者との比較」でキャリアを捉えてしまっている可能性が高いため、自分のキャリアに焦点を当ててみましょう。
同期の昇進は自分の目標やキャリアを考えるための参考程度に捉え、「自分の強みは何か」その上で、「自分は次に何を目指すか」という問いに意識を向けてみてください。
育休前に積み上げた営業成績やスキルは消えることはありません。過去の成果や自分の強みを書き出してみると、自己理解を深めることができますし、自分の価値を客観的に再確認する助けにもなります。
キャリアコンサルタントに相談してみることもぜひおすすめしたいです。
厚生労働省が発行している『私のキャリアと子どもの成長シート』や『2つの視点で考える~キャリア&子育て分析シート』などを用いながら共にキャリアプランを考えることができます。
参考:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/0000198692.pdf
キャリアは人によって“時差”があるものです。ライフイベントを迎えるタイミングは人それぞれ異なりますし、キャリアにアクセルがかかる時期、ブレーキがかかる時期も人それぞれ。
点で切り取って、他者と比較できるものではないので、自分のキャリアを長い目で捉えて、一歩ずつ進むことができていたら、自分自身を褒めてあげてくださいね。
また、育休で経験したことが今後のキャリアに活かされる可能性もあります。育休は、決して停滞していたわけではなく、経験を蓄積していた時期と捉えていいと思います。
日々の心のケアも忘れずに
復帰直後は慣れない業務や時間配分でストレスが増えやすい時期です。
帰宅後も育児に追われ、ほっと一息つくことができないお母さんも多いのではないでしょうか。
可能であれば、短時間でも深呼吸や軽いストレッチ、ウォーキングを取り入れると自律神経が整い、感情が落ち着きやすくなります。
さらに、就寝前にその日の「うまくいったこと」や「良かったこと」を3つ書き出すプチ日記も効果的です。毎日、小さな目標を掲げて、達成できたら自分を褒めるなど、小さな成功体験を積み重ねていくのも良いでしょう。
夜はどうしても思い悩んでしまいますが、敢えて良かったことに目を向けることで自分を責めずに前向きな気持ちを取り戻す習慣になります。
必要であれば、社内の産業医やメンタルヘルス相談窓口に相談するのも有効です。
育休復帰後の心のざわつきは、キャリアや自己成長への意欲の裏返し。ネガティブに捉えることなく、運動や日記などの簡単なメンタルケアを取り入れながら、自分のキャリアと向き合っていけば、徐々に前向きに働く力が戻ってきます。
何より、あなたは毎日とても頑張っています。自分を認め、労いながら日々を過ごしていってください。応援しています。
『私らしい“産みどき”』の過去記事一覧はこちら
>> http://woman-type.jp/wt/feature/category/lifestyle/umidoki/をクリック


