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NOV/2014

「私に任せて」の一言が悲劇を招く!? 同僚が「うつ病っぽい」ときの正しい接し方

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職場の同僚など身近な人に対して、「あれ、この人“うつ病っぽい”?」という疑念を抱いたことがある人は少なくないはず。だが、そんなとき、自分の接し方次第では相手の症状をさらに悪化させかねないことを考えると、どんな態度を取るべきか、どんな言葉を掛けるべきか、いろいろと悩んでしまうものだ。

そこで、職場の「うつ病」で悩む人々の診療・復職支援を行う精神科医の五十嵐良雄さんに、「この人、うつ病かも?」と思う同僚を精神的に追いつめないための、正しい接し方を教えてもらった。

励ましの言葉は不要! 聞き役に徹するのがベスト

職場のうつ

「一般的に、職場の同僚に“うつ病疑惑”のある人がいれば、心配でいろいろと聞きたくなってしまうと思います。中には、元気のない同僚に対して親切心から『頑張って』『元気を出して』などと励ましの言葉を掛ける人もいるかもしれませんが、実際にその人がうつ病だった場合、もう既にこの憂鬱な気分をどうにかしようともがいているところでしょう。そこで、自分の状況を理解していない人から励ましの言葉を掛けられたところで、余計に追いつめられたような気持ちになってしまう人も多いものです」

うつ病状態にある人は、基本的に常に憂鬱な気分を抱え、心身の不調を感じているもの。「元気がないことや仕事が手についていないことについて、あれこれ言われることを気持ち良く思う人はいないはず」と五十嵐さん。

「職場の同僚に対して『この人、うつ病かな』という疑惑を感じ、その人を今以上に追いつめたくないと思うなら、自分本位な励ましの言葉を掛ける必要はありません。ただ、うつ病の人の中には、『悩みを誰かに聞いてほしい』と思っている人も多い。もしも、“うつ病疑惑”のある同僚への接し方に迷っているならば、余計なことは言わず、相手の話をただ聞いてあげるスタンスでいるのがベストでしょう」

本題に入る前に「心配している」事実を伝える
立場を明確にした上で会話を始めよう

とはいえ、相手が職場の同僚となると、聞き役として話を聞いているだけでは済まないシチュエーションもあるはず。仕事のことでコミュニケーションを取る際には、「『自分はあなたを心配している』ということをまず伝えてから本題に入ってほしい」と五十嵐さん。

「職場でよくあるのが、明らかに仕事のパフォーマンスが落ちている“うつ病っぽい”同僚に対して、どのような言葉を掛けるべきか迷うケース。人は、うつ病になると、仕事の作業効率が落ちたりミスが増えたりするものなのですが、経験の無い人にはなかなかこの状況は理解できないもの。以前までは出来ていたことが出来なくなっているということは本人にも自覚があるはずなので、そこで、『最近、仕事でミスが多いよね?』と結果から指摘したり、『もっとちゃんと仕事してよ』と責めてしまうと、相手を余計に追いつめてしまう結果に。そうならないようにするためには、『最近、以前と比べて仕事があまり手についてないみたいで心配しているんだけど……』といったように、相手の身に起こっている変化を例に挙げ、その点を“心配している”というあなたの立場を分かってもらった上で話を進めていくのが良いでしょう」

自分が相手を責めているのではなく、「あくまで心配しているから話をしている」という立場を事前に明確にしておくのが無難ということだ。

絶対にNGなのは、一見頼りがいのある一言

これをふまえ、五十嵐さんが「これは絶対に言ってはダメ!」と念を押すのは、「悩みがあるなら私がどうにかしてあげるよ」というような言葉を掛けること。一見頼りがいのある言葉だが、そこには大きな落とし穴が……。

「同僚が落ち込んで見えるからと言って、『悩みがあるなら私に任せて』のような“自分が何とかしてあげる”という類の言葉を安易に掛けるべきではありません。うつ病の人のつらさや不調は医学的に治療すべきものであり、同僚レベルでどうこうできるものではないんです。結果的に何もしてあげられなかったとなると、無責任な言葉で相手の期待を裏切り、余計に傷付けてしまうことになります」

また、同僚に対して“うつ病っぽいな”と思ったときに、接し方や扱い方に悩む人は多いものだが、「本来的には、自分だけで抱え込むのは止めた方が良い」と五十嵐さん。

「もしも自分の身近に“うつ病疑惑”のある同僚がいて、どのように接すればいいのか悩んでいるのなら、まずはメンバーの管理に責任を持つ上司に相談すべきです。周囲の同僚に対して自分の言動や接し方を過剰に気を遣わなければいけないような職場環境は、自分にとって大きなストレスになっていくはずですから」

「自分の言動が相手を余計に追いつめてしまうといやだな……」という気持から、何かと気を遣ってしまいがちな、“うつ病疑惑”のある同僚への接し方。もしも、自分の身近な同僚が「うつ病っぽいな」と思って迷いを感じたら、「自分だけで抱え込まないこと」「自分の意見を押し付けないこと」、この二つに注意して接するように心掛けよう。

【お話を伺った方】
精神科医 五十嵐良雄さん
1949年、東京都生まれ。メディカルケア虎ノ門院長。医学博士。精神保健指定医。1976年、北海道大学医学部卒業。埼玉医科大学、ミラノ大学やユトレヒト大学への留学、秩父中央病院長などをへて、2003年にメディカルケア虎ノ門を開設、院長に就任。現在、うつ病リワーク研究会代表世話人、東京大学大学院非常勤講師などを兼務。専門はうつ病の治療、復職支援。主な著書に『うつ病リワークプログラムのはじめ方』(共同執筆、弘文堂)など
■HP:http://www.medcare-tora.com/care/doctor.html
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