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MAR/2014

「部下の退職をしつこく引き止める上司」の本音3つのパターン

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堂園稚子
上司に対する「何で? どうして?」をズバっと解説
堂園姐さんの「上司のキモチ」翻訳講座

上司に対して日々感じている「なんでそんなこと言うの?」「どうしてそういうことするの?」という不満や疑念。それを直接上司にぶつけたいと思っても、「余計に怒られるんじゃないか」「印象が悪くなるんじゃないか」とモヤモヤしたまま自己完結してしまっている女性も多いのでは? そんな働く女性たちの疑問に、最強ワーキングマザー・堂薗稚子さんが、上司の立場からズバッと解説! 上司って、ホントはすごくあなたのことを考えてるのかも!?

堂薗稚子(どうぞの・わかこ)
株式会社ACT3代表取締役。1969年生まれ。1992年上智大学文学部卒業後、リクルート入社。営業として数々の表彰を受ける。「リクルートブック」「就職ジャーナル」副編集長などを経験。2004年に第1子出産を経て翌年復職。07年に当時組織で最年少、女性唯一のカンパニーオフィサーに任用される。その後、第2子出産後はダイバーシティ推進マネジャーとして、ワーキングマザーで構成された営業組織を立ち上げ、女性の活躍を現場で強く推進。経営とともに真の女性活躍を推進したいという思いを強くし、13年に退職し、株式会社ACT3設立。現在は、女性活躍をテーマに、講演や執筆、企業向けにコンサルティングなどを行う

みなさん、こんにちは。堂薗です。

もうすぐ4月ですね! 新入社員が入ってきたり、自分自身も異動があったり、はたまたいやな上司がいなくなることが判明したり、大きな人事の季節です。わくわくしている人も、がっくり肩を落としている人もいるでしょうねえ。いろいろな気持ちが交錯するのが人事ですものね。

事前相談のない「退職を決めた」報告に上司はすごく動揺している

堂園稚子
先日、元メンバーたちとごはんを食べに行ったら、「退職したくて相談したのに、だらだらと引き延ばすことばかり言ってきて、私のことをちゃんと考えてくれていない!」と怒っている女性がいました。自らを翻って考えても、退職の相談をされて慰留しまくったり、退職時期についても、「○月までなんとかならない?」と哀願したりした覚えがあります。困った顔をしたメンバーが何人か、思い出されます……。

よくよく話を聞いてみたら、彼女が上司に転職先について話すと、「そんな仕事、今のあなたに務まるはずがない」「経験もないのに何ができるの?」と言われて実力や経験を否定されたらしく、そう言われた瞬間に転職について少し迷っていた気持ちも吹っ飛び、「絶対に辞める!」と決めたそうです。また退職の合意後も、退職時期について散々引き延ばされて新しい職場にも迷惑を掛けたのに、ふたを開けてみたら、他の退職予定者はとっとと辞めるスケジュールになっていたんですって。元メンバーは、ワイングラスをぐるぐる回しながら、「ホントむかつく!」と毒づいていました。

上司というのは、部下から「退職の相談」ではなく、「退職を決めた」と告げられると、相当に動揺するんです。「ええー??まじ?」という衝撃とともに、「一体なぜ、こんなことに?」と部下のこれまでの言動が走馬灯のように思い出されるのです。決意の固さを確認するために、必死に動揺を隠しながら、「どんな会社なの?」「どんな仕事なの?」など根掘り葉掘り聞くことになります。後で上層部に報告しなければならないし、決まっている人事案も狂ってきてしまう。「突然すぎ! 事前に相談なしなんて勘弁してよ~」と腹立たしく思うこともあります。

実を言えば、「そう! おめでとう」と言いつつ、ほっとしてしまうこともあるにはあります。上司自身の力不足もありますが、手を尽くしても会社や仕事と志向が合わないなと思える人もいるし、他にやりたいことがある人もいます。新しい職場を探したと聞き、それが本人のためにもいい転機になると思えば、慰留はしません。でも、そういう場合は、決断の前から相談があることも多いですから、突然の告白の場合は、普通は慰留するでしょうね。この時の上司の本音は私の経験上は、3種類あると思います。

本音その1:会社として困る

本当に事業計画に影響が出るような場合や、会社にとっての重要人物で「あなたが必要!」というとき。この手のメンバーから「突然」かつ「固い決意」で退職を告げられると、舌打ちしたくなるくらい自分を責めたい気持ちになります。「なぜ気付かなかった?」という気持ちが一番大きい。それとともに、「もしかしたら、アレが原因かな」「あの時、もっとこうしてあげておけば」と後悔の念も頭をぐるぐるします。そんな時は、何とかとりあえず「保留」にできないか、あの手この手で慰留し、偉い人やら他の部署やらの「その人への影響力がありそうな人」の投入に奔走します。自分のミスを取り返そうとするような気持ちでしょうか。「例えば、だけれど、この部署のこの仕事に異動するとしたら、転職を思いとどまる、ということはあり得るの?」などと慎重に言葉を選んで話をします。焦りのあまり、転職先やその仕事を否定して、何とか保留させようとする上司もいるでしょう。

本音その2:上司としての立場を守りたい

上司が自分の立場のことしか考えていない場合です。「人が足りないのに」と会社の事情ばかり押し付けてきたり、「なぜ相談しなかったのか」と責めたり。後は薄々感じていた、他から既に聞いていたといった場合に、もう諦めているのだけど、一応慰留してみる、という形だけの慰留もここに入ると思います。「どうして退職しようと思ったのか」きちんと思いを聞くことをせず、とりあえず「慰留」するのは、何とか上司としての体面を保つための形だけのコミュニケーションです。

本音その3:退職が本人のためになるとは思えない

「退職が本人のためにならない」と本当に思うときですね。今抱えている仕事や職場で起こっている本人の問題からその人が逃げようとしていて、その状態は決してためにならない、と思えるときや、本人の志向や強みとどう考えても転職先が一致していないとか危なそうな会社だと感じるときは、やっぱり必死に保留にしようとします。それは退職を踏みとどまるように、というより、退職を決めたプロセスをもう1度見直してもらいたい、という慰留で、「本当にその判断でいいの?」と問います。

私自身も29歳の時に、「転職したい」と上司に相談しにいったところ、木っ端みじんにやっつけられたことがあります。その時の上司からは、「お前みたいなじゃじゃ馬がのびのびと働ける会社、認められる職場がここ以外にあると思っているのか?」というようなことを、ここには書けないようなひどい言葉でまくしたてられましたね(笑)。私はしょんぼりして会議室を出て、いろいろ考えた結果、転職を断念しました。心のどこかで、行き詰った自分の状況を打破するためには、全く新しい世界に飛び込むしかないと思い込んでいた、ということに気付いたのです。まさに、「逃げようとしていた」タイプで、それを上司が指摘した、ということなのだと思います。「本当にそれでいいのか?」と指摘できるのは、上司が部下を本当によく見ていて、かつ部下の成長を願っているからなのです。それが本当に理解できたのは、自分が部下を持ち、コミュニケーションの大切さや難しさを知ってからでした。

私の元メンバーの話に出てきた上司は、どんな心情で発言したのでしょうね。同じようなシーンを経験して、29歳の時の私はしょんぼりし、彼女は「分かってくれていない」と憤っている。常日頃から自分の強みや仕事ぶりをよく分かってくれている上司だ、と思っていれば、同じ言葉を言われても受け止め方も変わったでしょうけれど。まあ一方で、そんな上司だったら転職を決めきる前に、相談もしたことでしょうが。

「辞めないで!」というのが慰留だと思うのですが、愛のない上司の慰留は、「辞めてやる!」という気持ちをふくらませるばかり。本音がどこにあるか、よりも、愛があるか、の方が大事なのかもしれませんね。

 堂園稚子

【著書紹介】

『「元・リクルート最強の母」の仕事も家庭も100%の働き方』(堂薗 稚子/1,404 円/KADOKAWA/角川書店)
「仕事も子育ても両立したい! 」と思っても現実はなかなか難しいもの。それにも負けず、子どもを育てながらてカンパニーオフィサーになった著者の働き方を紹介 >>Amazon

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