20代の転職……「逃げる」は必ずしもネガティブではない。キャリアのプロが教える上手な逃げ方・自分の守り方
これまでのカウンセリング件数は2万件以上! 女性に大人気のキャリアカウンセラー水野順子さんへの連載取材で、長く働き続けたい女性に役立つ転職・キャリアの情報を発信していきます。初めての転職活動に役立つノウハウも盛りだくさん! 長期的な視点で今後のシゴト人生を考える上でも参考にしてくださいね。
「期待を持って入社したはずだけど、思っていたような会社ではなかった」
「毎日終電帰りで心も体もくたくた。このままじゃ身が持たない……」
「上司のパワハラにもう我慢の限界!」
20代、若手社員の中にも、上記のような理由から「転職したい」と考えたことがある人は少なくないだろう。だが、そこで頭をよぎるのは「すぐに会社を辞めた問題のある人」、「忍耐がない人」などというレッテルを貼られ、「次の就職先が決まらないのでは?」という不安だ。何とか自分を騙し騙し、無理を重ねて職場に向っている人も多いかもしれない。
だが、キャリアカウンセラーの水野順子さんは、「仕事で自分を壊してしまっては本末転倒」と警鐘を鳴らす。
「諦めたり、逃げ出したりすることに対してネガティブなイメージを持っている女性は多いと思います。でも、時には逃げることが必要な時もあるものです。限界になって倒れる前に“上手に逃げる”ことができれば、やり直しはできるものですよ」(水野さん)
最近、過労やハラスメントなどが原因となり、電通の新入社員の女性が自殺してしまうという悲しい事件があった。無理を重ね、知らず知らずのうちに限界を超えてしまう前に、“健全に逃げる”ことも大切だ。
こんな症状が現れたら迷わず逃げてOK!
自分を守るために知っておきたい危険シグナル
“健全に逃げる”ためには、「限界」のサインを正しく理解しておくことが必要となる。
水野さんによれば、下記のような症状を自覚したら「要注意」だという。
・仕事のことばかり考えて眠れなくなる
・不安感でいっぱいになり朝早く目覚めてしまう
・会社にいるのに涙が止まらなくなる
・休みの日も仕事のことしか考えられない
・いつも通勤電車を飛び降りて逃げ出したくなる
・以前まで好きだったことが、全く楽しいと思えなくなった
・楽しい、嬉しいなどの感情が消えた
・美味しいものを食べても味がしない
……etc
思い当たる症状があれば、信頼できる身近な人、医療機関、キャリアカウンセラーなどにできるだけ早く相談しよう。
「急にプッツン!」は健全な逃げ方とは言えない
自分の心と体の健康まですり減らしながら、今の仕事を続ける必要はない。だが、気持ち良くやり直すためには、「逃げ方」に注意する必要もある。
「『上司に怒られてむかついたから』など、一時的かつ感情的な判断で逃げることを選ぶのはやめましょう。それでは後悔する退職になりがちです。周囲の人に相談したり、じっくり時間をかけて考えてみても決意が変わらないということなら、それは健全な逃げになると思います」(水野さん)
良い逃げ方をするためには、自分にまだ余裕があることが大前提だ。まともな判断ができなくなるまで自分を追い込み過ぎないように、日頃から「悩みは一人で抱え込まない」よう意識しておきたい。
「次どうするか」は、いつもの自分に戻ったときに考えよう
また、もしも転職先が決まる前に会社を退職した場合、「次の行き先を早く決めなければ!」という気持ちになってしまいがち。しかし、そこでも焦りは禁物。「心と体をしっかり休ませて、自分がいつもの状態に戻ったと感じられるようになってから判断をしましょう」と水野さんはアドバイスする。
「次は失敗できない!」とまた自分にストレスをかけてしまったり、「今度は全然違う業界に行こう」と志向性を無視した転職先を選んでしまったり、早急に判断してしまうとまた後悔することになりかねない。
まずは健康第一。フラットに物事を見られる常態になったとき、広い視野で転職活動を始められるようにしよう。
取材・文/栗原千明(編集部)
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