非常勤からステップアップした副社長が語る、日本に女性幹部を増やすために必要なこと

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女性活用の波を受け、女性の管理職や役員を増やそうとする動きが活発化している今。しかし、海外に比べてその比率はまだまだ低いのが日本の現状だ。特に、女性役員がいる上場企業は全体のわずか13%と低水準のため、「自分とは関係のない話」ととらえている女性も多いだろう。一体なぜ日本では女性幹部が増えないのだろうか? そこで、女性幹部の割合が海外先進国と並ぶ高比率を誇る株式会社イーオンの取締役副社長・三宅和子さんにお話を伺った。

株式会社イーオン(英会話イーオン)の取締役副社長・三宅和子さん

株式会社イーオン(英会話イーオン)
取締役副社長
三宅和子さん

大学卒業後、旅行代理店に1年半勤務した後、結婚。3カ月半の専業主婦生活を経た後、「やはり働き続けていきたい」と考え、1980年にキッズ英会話の教師として株式会社イーオンに入社。81年、岡山駅前校のスクールマネジャーとなり、約6年間で生徒数を1000名近くにまで増やす。88年、同社の東日本への本格的な出校を機に取締役に就任し、男性同様、女性も積極活用することに注力する。2000年、株式会社イーオン・イースト・ジャパンの副社長に就任。14年の会社統合に伴い、株式会社イーオンに統一され、同社の取締役副社長に就任

スクールマネジャーを経て取締役に就任
「背伸びをせず、自分らしくやっていこう」と決意

私は、英会話教室の教師としてイーオンに入社しました。当時は、家庭と両立するために非常勤で週2~4日だけ働く日々。子ども達との触れ合いにやりがいを感じていたのみで、ステップアップについてはまったく意識していませんでしたね。それから1年後、スクールマネジャーを募集していると知り、もっと活躍の幅を広げたいと考えて自ら手を挙げました。フルタイムで働き始めたのはこのときから。岡山駅前校のマネジャーとして運営に力を入れ、大人だけでなく、大学生や高校生に向けた広告宣伝や、生徒さんに向けたきめ細かい対応を行い、当初200名だった生徒数を1000名近くにまで増やすことができました。その後、人財育成部長として運営スタッフの採用や育成なども手掛けていったのです。

取締役となる打診を受けたのは、それから8年後、30代半ばのことでした。このころはまだ会社の規模も小さく、私自身が若かったこともあり、責任の重さを感じるよりも、自分の力を認めてもらえたことが嬉しくて、引き受けることにしたのです。

「大変なことを引き受けてしまった」と気付いたのは就任直後ですね(笑)。社員や後輩にとって、私の言動が会社そのものの言動となるわけです。それに、取締役といえば基本的に男性の人格者が選ばれるイメージで、「自分はそんな風にはなれない」という気持ちもありましたし、お手本になるような女性の取締役はいない状態。けれど、それなら自分が女性のロールモデルになるしかないと思ったのです。「背伸びをしても仕方ない。自分らしくやっていこう」と考え、現場出身の自分らしく、スタッフと近い距離にいること、そして、一人一人の話に耳を傾け、身近な存在であり続けようと。おかげで、等身大の自分のまま、ここまで来ることができました。

力のある女性を引き上げることに注力
多様な人が働く環境が社員の視野を広げた

三宅和子さん

取締役に就任した後は、「男女問わず、力のある人を引き上げていくこと」に注力しましたね。男性の目線だと、どうしても男性を選びがちですが、イーオンは当時から女性スタッフの比率が高く、現在も7:3で女性が多い状況。男女に関係なく能力の高い人を抜擢していくのなら、比率的にも幹部は女性の数が多くて当たり前のはず。そこで、自ら女性活用の声を上げ、本部長に女性を抜擢したり、東日本で働く優秀な女性を責任者として関西方面に送り出すなどしていったのです。やがて、どんどん女性幹部は増えていきました。現在、部長以上の役職は全部で17名いますが、そのうち9名は女性。他にも全国6本部に本部責任者が4名、教務責任者が5名、全国6本部をさらに細かく分けたエリアマネジャー32名中21名が、それぞれ女性となっています。

頑張っている人を平等に引き上げてきた結果、現在では多くの女性が活躍していますが、これは社風の影響も大きいと思います。創業者でもある当時の社長(現会長)には、男女や国籍、年齢におけるこだわりは一切ありませんでしたし、外国人教師も多く働いているため、文化や考え方の違う人々と一緒に、仲間として同じ目標に向かっていくという土台がありました。多様な人が働く環境だからこそ、ダイバーシティーを日々体感する中で社員の視野が広がり、結果として女性の活躍をどんどん受け入れていく土壌ができたのだと思います。

こうして女性の幹部比率が高まったことで実感しているのは、女性幹部が活躍する会社で働くことは、女性自体にも大きなメリットがあるということです。「自分も頑張ればきちんと評価され、ステップアップできる」という実感を持てれば、働くモチベーションも上がるもの。また、女性幹部が多ければ、その分だけ「あの人を目指そう」というロールモデルが見つかりやすくなります。男性のみが活躍する会社では、自分の将来像をイメージしにくいものですが、女性なら目標としやすいでしょう。

私自身としては、「仕事も家庭も大事にしながらイキイキと生きてほしい」と考えていますが、どちらも完璧にやるのは無理なものです。でも、身近に家庭と両立する女性幹部がいれば、例えば「ダンナに家事をやってもらうための操縦法」「効率的に料理を作る方法」などを教えてもらうこともできる(笑)。難しく考えず、「このやり方でもいいのだ」と思えることが一番大事ではないかと思います。

「できるかどうか分からないけれど頑張る」で十分!
まずは女性自身が働く意識を変えること

三宅和子さん

日本において、女性がもっと活躍できるような環境をつくるためには、まず、女性の皆さんの仕事への意識を変えることが必要だと思っています。女性はステップアップの打診を受けても、尻込みしてしまうケースが多いもの。男性は基本的に二つ返事でOK しますが、女性の場合は「自分にできるか自信がない」「結婚や出産後も働き続けるか分からない」と迷うことがほとんどなのです。

けれど、ライフプランについても、任される仕事の責務についても、先のことばかり考えても意味がないもの。私自身もそうでしたが、目の前のことを一生懸命やっていく中で、認められて大きい仕事を任される喜びを知り、やりたい仕事への欲も増え、さらにステップアップしていこうと思うようになるのです。

一日の大半は仕事に費やすものですし、何より、仕事は自分自身が成長できるチャンス。「できる限り、責任は負いたくない」という甘えを捨て、自分の人生において仕事をどうとらえるのかをしっかり考えましょう。そして、打診を受けたらプレッシャーと思わず、チャンスだと思って挑戦してほしいですね。

一方、会社側も男女の性差なく平等に評価し、引き上げたらその人物にしっかりと任せていくという体制をつくるべきです。また、自信のない女性に対しては、「なぜあなたなのか、何をやってほしいと考えているのか」をしっかり話し、時間を掛けて説得することが大事なのではないでしょうか。私自身も女性社員にステップアップの打診をする際には、必ず時間を掛けてじっくりと面談をしています。

そしてその際、迷っている人の背中を押すために「こう言ってごらん」と必ず伝えている言葉があります。「できるかどうか分かりませんが、頑張ります」と。面白いもので、言葉にしてみると覚悟が決まり、すっきりとした笑顔になるんです。気負うことなんてありません。納得して一度覚悟を決めてしまえば、女性は本当に強いものなんですから!

こうして働く女性の意識が変わり、会社の体制が変わり、そして、活躍する女性のロールモデルが増えていくこと。それが女性管理職や役員を増やしていくために必要なのではないかと思っています。

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取材・文/上野真理子 撮影/赤松洋太