これで落ちる人が多数!? NG行動から見る「面接突破」のコツ

30~40%――。これは一次面接の通過率だ。女性に人気の事務職や、募集枠の少ない求人の場合、この数字はもっと下がる。
「面接通過率を上げるための第一歩は、面接官の知りたいことに答えること。自分の話したいことを話すのではなく、相手がこの質問で何を知りたいのか、真意を理解することがポイントです」
こう話すのは、3月3日に開催された『女の転職@type』主催の『転職活動初心者のためのはじめての「面接」対策セミナー』で講師を務めた『typeの人材紹介』キャリアアドバイザーの星野莉奈さん。ここではセミナーを通じて見えてきた、面接を通過できない人がやってしまいがちなNG行動を紹介する。
NG1
職務経歴の説明を1分で簡潔にまとめる
会場では隣の人とペアになって、面接を想定した職務経歴を話すワークが行われた。制限時間は3分。ところが、2分が経過する前に多くの人が話すことがなくなるという事態に。
「時間が余ってしまった方が多いように見受けられましたが、2~3分が適正。1分程度だとアピール不足の可能性が高く、面接官に採用に価するかどうかの判断材料を伝え切れてないおそれがあります。面接官は人事や担当者に面接結果の報告をしますが、このときに良いと思った理由が話せないと推薦ができず、不合格となってしまう。逆に、面接官が長いと感じ始めるのは3分を超えたくらいから。転職回数が多い方はもう少し長くても大丈夫ですが、2社以内であれば3分、3社以上でも5分以内を目安に話すように心掛けましょう」
NG2
どの会社に対しても職務経歴や自己アピールの内容が同じ
「職務経歴や自己アピールを聞く目的の1つは、自社ですぐに活躍できるのかを見るため。例えば、仕事内容に『PCによる事務処理』と書いてあったら『営業をしていた時の提案資料作成は通じるものがありそう』という具合に、応募した仕事と今までやってきた仕事の共通点を意識することが大切です。だからこそアピールポイントは企業ごとにカスタマイズすべき。どのポイントが応募先の会社で生かせそうなのか、明確に伝えてみてくださいね」
任せたい仕事ができそうだという印象を持った面接官が次に気にするのは他の候補者と比べてどうなのか、違う環境であっても同じような実績を上げられるのか、ということ。
「どのような実績が出せたのかは、数字でアピールしましょう。事務職の場合であっても、事務処理の量やどのくらいコストや時間を削減ができたのかなど、できるだけ具体的な数字を出したいところ。その上で、なぜその実績が出せたのか、経緯を話してみると良いでしょう。実績が出せた理由が話せるということは、偶然ではなく結果を出すためのやり方が確立できているということ。会社が変わっても活躍してくれるはず!と判断してもらえるはずです」
NG3
「成長したい」を転職理由にしている
ネット検索で出てくる面接対策でよく見かけるのが「転職理由はポジティブに」というもの。この言葉に踊らされ、『成長したい』『スキルアップしたい』といった、当たりさわりのない、具体性に欠ける転職理由を話す人が多いと星野さん。
「面談にお越しいただく方の中にもこれを意識している人はすごく多い。この質問で面接官が確認したいのは、入社後に同じ理由で辞めないか、転職理由に納得感があるか、ということです。ネガティブな理由なしに転職する人がほとんどいないことは面接官も分かっていますから、例えば『人事業務を専門的にやっていきたい』というように、具体的な表現にしてみましょう。その際、改善しようとしたけれどかなわなかったことを併せて話し、転職でしか解決できないことを伝えてみて」
NG4
「勉強させていただきたいです」と言う
中途採用で求められるのは即戦力。新卒のような「教えてもらう」意識では通用しない。
「面接で最もやってしまいがちな発言がこれ。企業が中途採用で求めるのは、一緒に会社を成長させてくれる、自社にとって役に立つ人です。だからこそ、勉強したいというスタンスではだめ。たとえ未経験の仕事であったとしても『こういう点で貢献できる』というアピールは必ずしましょう」
NG5
「この仕事がしたい」という熱意を強く伝える
採用には多大なコストが掛かっている。求人広告などの募集時の費用はもちろん、採用後に会社の風土に慣れて一人前になるまでにはある程度時間が掛かるし、その間の教育費も必要だ。だからこそ、企業は採用した人に長く働いてほしいと考えているもの。そんな面接官から見て、長期就業に不安を覚えるのがこのタイプだ。
「もちろん希望する仕事への熱意は大切ですが、裏を返せば、『この仕事しかしたくない』というように受け取れます。最初はその仕事を任せるつもりであっても、将来的に部署異動の可能性だってある。やりたいことが限定的過ぎると、その仕事ができなくなった途端に辞めてしまうのでは? という懸念が生まれます。目の前の仕事だけでなく、中長期的に見てどのような人材になりたいか、併せてアピールしてくださいね」
NG6
最後の質問で「残業はどのくらい?」と聞く
多くの面接で、最後に聞かれるのが「何か質問はありますか?」。つい、働き方や制度について尋ねたくなってしまうものだが……。
「この質問から面接官が量りたいのは、志望度と応募者が気にしていることの2つ。ここで残業について聞いてしまうと、『長時間労働は嫌な人なんだな』という印象を与えてしまう可能性が高いです。とはいえ長く働いていきたいと思うからこそ、気になるのは当然。内定が出た後に確認するのが一番選考に影響がないのですが、選考段階で確認したいときは聞き方を工夫しましょう。同じ仕事をしている社員の方の1日の仕事の流れや、繁忙期と閑散期を聞くことで探ってみて」
NG7
「産育休制度が充実している」が志望動機
女性が長く働ける環境を整備していることをうたった求人広告や募集要項は多い。だが、これに同調するのは注意が必要だ。
「福利厚生や年収UP、残業の少なさなど、入社した時点で実現できてしまうことをアピールするのは避けた方が無難です。入社後にどのようなモチベーションで働いてくれるのかが見えにくく、企業側としては『制度が充実していればどこの会社でもいいのでは?』という印象に。『貴社にこういう風に貢献して、長く働きたい。だから制度が充実しているところに魅力を感じた』というように、ただ賛同するだけに終わらないようにしましょう」
「これらのポイントを踏まえつつも、会社に合わせた準備をすることが大切」と星野さん。
「会社によっては、例えば長期就業希望の人よりも独立志向の人を好むケースもあります。事前にインターネットや四季報、人材紹介サービスを利用するなどして、情報を集めましょう。そうして志望動機や自己PRを準備したら、必ず口に出して話してみることを忘れずに。『ちょっと長いな』『ここは変かも……』というふうに、実際に言葉にしてみたからこそ気付くことがあるはずです。緊張しない人なんていない! と言ってもいいくらい、面接は緊張するもの。だからこそ事前準備をしっかりして、本番に臨んでくださいね」

お話を伺った方 typeの人材紹介 キャリアアドバイザー
星野 莉奈さん
求人広告媒体営業を3年経験した後、金融・不動産業界に特化した部門や管理系職種を専門とするアドバイザーを経験。その後、IT業界の転職を支援するアドバイザーに。学ぶ姿勢を大切にしており、産業カウンセラーやキャリアカウンセラーなどの専門資格を有する
■typeの人材紹介 https://shoukai.type.jp/
取材・文/天野夏海