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SEP/2014

その会社、長く働けそうですか? プロの投資家が伝授する「成長する会社・しない会社」の見分け方

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転職活動中に会社を選ぶとき、仕事内容や福利厚生の充実度、給与などの条件を重視して、入社を決めることが多いだろう。でもどんなに希望に合った会社でも、もしその会社に将来性がなかったら? 入社時に魅力に感じていた福利厚生が縮小してしまったり、最悪の場合倒産してしまうこともありえる。では、会社の将来性や成長性について、何をもって良し悪しを判断すればいいのだろうか。財務諸表や決算書に関する専門知識が無くても分かる判断のポイントを、資産運用のプロとして数多くの会社を見てきた藤野英人さんに伺った。

成長企業=顧客からの支持が増えている会社
売上高と営業利益、株価の3つでチェック!

そもそも、会社が成長しているとはどういうことなのだろう。藤野さんは、「お客さまからの支持が増えている会社」こそが成長している会社であると断言する。

「お客さまからの支持が増えているというのは、単純に客数が増えている、または、一人当たりが使う金額が増えているということ。そういう会社には勢いがあり、明るく楽しい雰囲気があるほか、給料が増えたりポジションが増えたりすることで、社員自身の成長のチャンスも増えていくと期待できます」

その判断は、会社四季報オンラインなどを元に、売上高で見るのが基本となる。売上高が上昇傾向を描いているのが最も理想的だ。続いてチェックしたいのは営業利益。売上高・営業利益が共に増加している状態である「増収増益」が続いていれば勢いがあるという証拠だが、売上は増えていないけれど営業利益が伸びている、売り上げが増えているのに営業利益が出ていないといった場合は、いろいろな可能性を考えておくべき。

「売上高が下がって営業利益が増える『減収増益』の場合は、何かをリストラしている可能性があります。広告宣伝費なのか、無駄な店舗や部署そのもののリストラなのか、何が理由で営業収益を上げているのかをチェックし、その理由が自分にとって納得できるかどうかを考えてみてください。逆に、売上高が増えているのに営業利益が下がっている『増収減益』の場合は、営業利益を将来のための投資に回しているのかもしれません。その場合は成長段階にある会社だと考えられますが、経営に無駄が多いという可能性も。面接のときなどに、会社の様子を注意深く観察してみてください」

また、特に大きな企業の場合は、多くの人が注目しているからこそ「株価に全てが表れる」と藤野さん。株価は会社の資産や収益、将来への期待感、業界の動向などの影響を受けて決まり、投資のプロたちの判断や思惑も反映されるもの。「大手企業だから安定していると安易に考えず、株価が下がり続けている企業は、基本的に避けた方が無難」なのだとか。

ちょっとした違和感を見逃さないで!
観察して「なぜなのか」を考えよう

【チェックポイント:成長しない会社にありがちな傾向とは!?】
<ネットで>
・社長の顔写真がない

<会社を訪問して>
・入り口やトイレが汚い
・晴れているのに傘立てに煩雑に傘がたくさん立ててある
・受付嬢がモデルばりに美人で派手
・すれ違う社員と目が合わない

<面接のときに>
・会議室の時計が止まっている
・社長から型にはまった回答ばかり返ってくる

数字を見て、ある程度どのような状態にある会社なのかをチェックしたら、次に確認したいのが自社ホームページだ。

「まずは社長の顔写真が掲載されているか、確認してみてください。社長自ら顔を出すということは、経営に向き合っている責任感や覚悟の表れでもあります。役員の写真も載っていればベストですね。一方の写真がない場合ですが、そもそも会社の顔ともいえる社長こそ広告塔であるべきなのに、顔が出ていないというのは違和感があると思いませんか? こういう会社は、社長がお客さまや社員との接点を持たない人であることが多かったりと、コミュニケーションが不足していることが多いです」

また、女性役員の数も加点ポイントの一つ。女性や外国籍の人、障害のある人など、「多種多様な人が活躍している会社は勢いがある会社であることが多い」のだとか。そして冒頭のチェックリストにあるように、実際に会社を訪れた際にも注目すべきポイントがある。

「受付などのお客さまの目に触れる箇所が汚かったり、整理が行き届いていないようであれば、細かいところまで管理する余裕がない、もしくは社員が会社に対して愛情を持っていないことが考えられます。すれ違う社員から挨拶がなければ、会社全体に覇気がなく、過労気味なのかも、と推測できるでしょう。受付嬢が極端に美人である場合は、女性を見た目で判断する会社なのかも……という具合に、何となく違和感を覚えることに対して、『なぜなのか』を考えてみてください」

そして最も大切なのは、社長や支店長など、経営に関わる人の言葉だ。

「面接時に、会社をどう経営しているか、商品やサービスを通じてどういう価値を提供しようとしているのか、社員の健康についてどう考えているかなど、本質的だけれど抽象的なことを尋ねてみてください。型にはまった発言や表面的な意見、キレイなそれらしい言葉が目立つようなら要注意。一方、ズバッと答えが返ってきたり、自分の言葉で話しているのが感じられたり、悩みや課題と共に答えが返ってくるようであれば、普段から会社の成長に対して真剣に考えている証拠。答え方や表情などをよく観察し、正直な印象を受けたら、良い会社だと判断してもいいと思いますよ」

ただし、たかだか数回の訪問、1時間程度の面接で、人間や会社の全てが分かるわけではないという謙虚さを持つことも大切だ。良し悪しを決め付けてしまうと、それ以上の情報に気付きにくくなってしまう。

「たとえば、『初デートに遅刻する男はダメ』というセオリーがあります。確かにその男はダメな確率が高いのかもしれませんが、遅刻の理由に納得がいくのであれば、ダメな男とは言い切れませんよね。不安に感じる兆候やちょっとした違和感が複数あったときには疑いを持つべきですが、一つ当てはまったからダメ! という訳ではないということを念頭に置いてください」

せっかく自分に合った希望通りの会社だと思って転職したのに、長く働き続けることができなければ、また一から転職先を探すことになってしまう。仕事内容や条件だけでなく、長期的に成長し続けそうな会社かどうか、併せてチェックしてみよう。

  レオス・キャピタルワークス株式会社 取締役CIO藤野英人さん

レオス・キャピタルワークス株式会社 取締役CIO
藤野英人さん

早稲田大学卒業後、野村證券、JPモルガン、ゴールドマン・サックス系列の資産運用会社を経て、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。中小型、成長株の運用経験が長く、ファンドマネジャーとして豊富なキャリアを持つ。現在、成長する日本株に投資する「ひふみ投信」を運用。高パフォーマンスを上げ続けている。東証アカデミーフェロー

取材・文/朝倉真弓

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