女同士のハラスメントに注意! 「生理周期教えて」「いつ子ども産むの?」部下に言ってはいけないタブーワード
挨拶、言葉遣い、身だしなみ、所作――。もう新人ではないという人の中にも、「あれ!? こんな時どうすればいいんだっけ」とビジネスマナーで急に困った経験があるという人は多いのでは? そこで、マナーのプロ・美月あきこさんが皆さんの悩みにキッパリ華麗に回答していきます。
美月あきこ
大学卒業後、日系および外資系航空会社にて国際線客室乗務員として17年間勤務。その後、人財育成トレーナーとして、接遇サービス、対人コミュニケーションについての講演・研修を企業や団体にて行う。客室乗務員時代に身につけたファーストクラス仕様のサービスを元にした、ユニー クな研修手法が好評を博す。すぐに効果の上がる「売れる営業マン・販売員」研修は全国からオファーが絶えず、年間180回以上の研修と講演を行う。著書に、ベストセラーとなった『ファーストクラスに乗る人のシンプルな習慣』(祥伝社)。シリーズ最新刊は、『15秒で口説く エレベーターピッチの達人』(祥伝社)
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今回の質問
職場で部下の女の子に「いまの彼氏とそろそろ結婚するの?」と聞いたら少し怪訝な顔をされました。女同士だし、フランクに話せる間柄だと思っていたのでつい聞いてしまったのですが、上司という立場上ハラスメントにもなりかねないなと思って注意しようと思っています。ほかにも、マナーというかハラスメントという観点から、注意した方がいいことはありますか?(32歳/営業)
部下は基本的に本音を言わない
人として言ってはならない差別的・侮辱的な発言や、相手の名誉を棄損するような発言、暴力などの行動がハラスメントになることは明らかですね。また、今回のように「プライベートな事」に触れる発言がハラスメントになり得るかどうかは受け取る側の解釈によってしまうので、非常に定義するのが難しいテーマです。
例えば、同じ発言でも“誰が言うか”で、嫌がられるかそうでないかが別れたりしますし、信頼関係の有無や、上司と部下という立場によって受けての反応も異なります。部下は基本的に“ニコニコ”接してくれます。あなたを否定したりすることもしません。でも、それはあなたが上司だから気をつかっているだけかもしれないということを心に留めておくべきでしょう。自分が思っているほど、相手との心の距離が縮んでいないことはよくあるものです。
今回のケースも、自分が部下と仲良くなったと思い込んで、もっと親しくなろうとして、つい「結婚は?」と聞いてしまったのかもしれませんが、まだまだ距離があったのです。「結婚」について答えることで、何か「キャリアに響くことがあるか」と部下は考えてしまったのかもしれません。改めて、距離感を推し量ることが重要ですね。
自分のキャラクターを部下にあわせて変えるというのは難しいと思いますが、相手への接し方を常に気をつけることはできます。上司という立場上、あなたの言葉や振る舞いが部下に与える影響の大きさを自覚しましょう。
年齢、出産、休暇にかかわる発言に要注意
ほかにも、“女同士”であっても年齢、出産、休暇にかかわる発言には気をつけましょう。職場において、非常にセンシティブなテーマになりやすいです。
・「子どもはいつ産むの?」、「子どもほしくないの?」、「子ども産んだら仕事やめるの?」など
・「任期中の妊娠は困るよ」、「いま妊娠するとか職場的にあり得ないから」など
・「いま年齢いくつだっけ?」「結構、歳いってるんだね」など
・「生理で休むのはやめてほしい」「生理の周期教えて」など
とある職場では、皆が休暇を上手に取得し、円滑に業務進行できるようにという意図で、女性メンバーに生理周期を届け出るよう上司が命じたことがあるそうです。管理職としての過剰な責任感だったのかもしれませんが、部下にはそんな意図は伝わりません。そのため、ハラスメントだと認識されてしまいました。
なぜ体調の変化を報告させるのか、しっかり意図を説明し、また伝え方についても「生理周期を教えて」ではなく、「体調のリズムが崩れる時期を申告しておいてもらえば、なるべく配慮して業務スケジュールを組むよ」と説明すれば特に問題にならなかったかもしれません。実際、そうした伝え方をした結果、メンバーも協力的になってくれたそうです。
女同士であることに甘えない
改めて、女性同士だからといって立ち入ったことをあけすけに聞いても良いということはありません。ハラスメントととらえられたくないなら、男性女性かかわらず、業務上必要なことを告げた上で、相手に配慮する姿勢で言葉を選びながら話せば問題になることはないでしょう。
また、もし今回のように相手の気分を害するような発言をしてしまった場合、「許せない」と思う部下もいるかもしれませんが、「今日は言い過ぎた」「少々立ち入った話を聞いてしまった」と上司として至らなかった点を反省していることを素直に伝えてみてはいかがでしょうか。上司というのはあくまで会社組織を効率よく動かすための「立場」であって、人間として完璧なわけではありません。未熟なところを素直に伝えられると、相手も素直に受け取めてくれるはずです。
取材・文/栗原 千明(編集部)
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