「会社の外でも専門性を磨きなさい!」人生100年時代、“自分らしい働き方”の実現に欠かせないたった1つのこと【GE谷本美穂×平田麻莉 対談】
これからの人生をどう生きていくべきか。30代を目前に、悩みは尽きない28歳。人生を自分でコントロールすることが、自分らしい働き方を見つけることにつながる。そんな事実が、会社員としてキャリアを築いてきた谷本美穂さんとフリーランスの平田麻莉さんの対談から見えてきた。
では、「自分らしい働き方」を実現するためには20代でどんなアクションを起こすべきか。2人の話から、これからの時代で必要とされるものを探る。
正社員は減っていく。未来を生き抜く鍵は「エキスパティーズ」
−−「働き方改革」が進んでいます。女性たちを取り巻くこれからの働き方は、今後どのように変わっていくと思いますか?
平田:会社員とフリーランスって、2つの違うものというイメージが今はありますが、そこがグラデーションになってきていると思うんですよね。その中間にあるのが兼業や複業、いわゆるパラレルワークで、そういう働き方はどんどん増えていく。他流試合ってすごく大事だし、その経験が本業にも生きてくるから、社員が成長する機会として推奨する企業も増えています。
谷本:そういう機会を活かしていくためには、ますます一人一人の好きなことや得意なこと、つまりは自分のエキスパティーズ(専門性)を深めていく必要がありますよね。
平田:ある意味、シビアな世の中になっていきますよね。自分の強みや専門性を何も考えずに仕事をしていると、結構厳しい。「人生100年時代」って言われていて、これから65歳以上が総フリーランス化するとも言えるじゃないですか。既にセカンドキャリアを考え始めているミドルシニアの方の中には、社外で通用する自分の強みが分からなくて困っている方も多いです。でも20代だったら、まだ時間はたくさんある。自分のテーマやエキスパティーズを考えながら、主体的にキャリアと向き合う感覚を持ってお仕事をするといいのかなと思います。
谷本:GEでも“Future of Work”といって、将来の働き方がどうなっていくのかを考えています。これまで当たり前だった「企業は人材を正社員として抱え込む」「自社で一から育てる」っていう概念はなくなってきています。「エキスパティーズは外からでも買える」という価値観がますます広がれば、正社員はもっと少なくなっていくでしょうね。だから、自分の強みや専門性を意識することは本当に大事です。オペレーション業務はデジタル化していくわけだし、なくなる仕事もたくさん出てくる。人間じゃないとできないことだけが残る。ますます本人の興味やテーマがないと、力を発揮できなくなっていくと思うんですよね。
自分の強みを見つけるヒントは“会社の外”にある
−−「強みがない」と悩んでいる女性は、何から始めればいいでしょうか?
平田:パラレルキャリアはトライアンドエラーのために使えばいいと思うんです。転職は勇気がいるし、合わなかった時にまた転職するのも難易度が高い。でも複業やお給料が発生しない社外活動であれば、違うと思った時に辞めるコストが少ない。シェアリングエコノミーやクラウドソーシングのプラットフォームもいろいろ出てきているし、プロボノ的な活動をしてる人もたくさんいる。情報は溢れているから、いろいろな所に顔を出しながら、自分の専門性やテーマを考えていくのはありだと思います。外に出てみたら、会社では当たり前だと思っていたことが実は強みだったってこともたくさんあると思うんですよね。
谷本:自分から行動を起こすっていうのが大事ですね。日常生活から離れて異質なものに触れてみると、自分を振り返る良い機会になる。知らないことを知りに行くことが、結局は自分のことをより深く知るきっかけになるんですよ。
−−年配の上司には「若いうちは一つのことに集中しろ」っていうタイプの人が多くて、パラレルワークに否定的な人も多いように思います。
谷本: 若い時はいろいろなことにチャレンジできるから、自分の世界に対して疑問を感じているなら、それに固執することはない。特に20代のうちは、自分の力をつけられる環境に身を置くことが大事だと思います。これからの人は特にそうなんじゃないかな。
平田:一方で「石の上にも三年」も一理あると思っています。いろいろやってみてほしいっていうのは28歳くらいの女性にだから言えることで、新卒1~2年目であれもこれもとふらふらしちゃうと、何の専門性も身につかないということもある。会社を何度も変えることが悪いってわけじゃないんですけど、「これは自分に合ってそうだな」と思えることがあったら、ある程度継続して努力することで、どこでもバリューが発揮できる自分になれると思うんです。そこの判断を間違えないようにしないといけないなとは思いますね。
「仕事は楽しい!」出会いと経験の中から“人生のテーマ”を見つけて
−−お二人にとって「仕事」とは?
谷本:素直に「楽しみ」ですね。楽しいもん、絶対。自分を活かすことは苦しいこともあるけど、やっぱり楽しい。そして仕事を通じて色んな人と触れることによって、自分もエネルギーをもらえる。自分から手を広げていけば、社会にはこんなに素晴らしい人たちとの出会いがあるってことを、子供たちに話せるのもすごく嬉しい。
平田:「働く=人生」というか、シームレスな気がします。私、働く中身は何でも良いタイプで、PTA活動でも楽しめると思うんですよね。仲間がいて、目標やビジョンがあって、成し遂げるために皆で頑張ろうっていうのが楽しい。その活動が社会に対して良いインパクトを与えられるものであればあるほど、やりがいも楽しさも増していきますよね。
谷本:あとは自分の成長ですね。働くことで自分の成長を感じられて、自分の人生も豊かになっていく。もっとたくさんのことを知って、まだまだやってみたいと思えるんですよ。それがまた楽しい。
−−自分が追求したい人生のテーマと仕事が重なれば、より楽しくなりそうですね。
谷本:そうなんです! だから、どんなに悩んでもモヤモヤしてもいいから、皆に早くテーマを見つけてほしい。見つかるフェーズはそれぞれ違うと思うけど、自分と向き合うことから逃げずに追求していれば、必ず見つかるから。そしてそれに向かって自分から一歩を踏み出す。そうすると自信に変わってきて、ワクワクしてくると思うんですよね。
平田:仕事の延長だけで考えると、狭い中でぐるぐるしちゃう気がするんです。違う場所に顔を出してみるのはもちろん、学生時代に心が躍ったことを振り返ってみるのもいいのかなと思っています。原点って、実はもう過去にあるかもしれないですよね。
谷本:日本の女性には、もっともっと楽しみながら働いてほしい。この歳になって私、これまで働いててよかったって本当に思ってるんですよ。仕事をしていると、出会える人の数も、情報量も、世界の広がり方も全然違う。それで自分の生活がすごく充実しているから、外に出ないともったいないと思うんです。本当の幸せは、ラクして得るものじゃない。ラクな道の先に、幸せはないですね。
取材・文/天野夏海 撮影/洞澤佐智子(CROSSOVER)
・「人事にキャリアを丸投げしてない?」20代女性に伝えたい “自分らしく働く”の見つけ方【GE谷本美穂×平田麻莉 対談前編】
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