レジを占拠、電車で大暴れ! 働く女性たちが激白する“困りもの老人”事件簿
急に大声で怒鳴ってくる……。人の気持ちなんて全く気にせずわがままを言う……。通勤電車の中や職場で、“困りもの老人”に悩まされた経験がある働く女性は多いかもしれない。
「どうしてこんな行動を取るの?」 理由が分からないから対処法も分からないし、ストレスもたまる。そこで今回は、働く女性から寄せられた「老人」に関するお悩み5つをピックアップし、『老人の取扱説明書』著者の平松類先生にお答えいただいた。
相談1:居座り老人
百貨店の販売スタッフとして働いています。
レジを担当することがあるのですが、空いている時ならまだしも、どんなに混んでいてもずっと話をやめずにレジに居座ってしまう70代くらいのお客さま(女性)がいます。
彼女の後ろに並んでいる方たちはイライラした様子で私を睨みますし、「お待ちのお客さまがいるので」と伝えても聞き入れてくれません。
いつもハラハラさせられるので、店頭でその方を見かけると「あぁ、またか」と思ってしまいます。どう対処すればいいでしょうか
Answer:老人の視野は思っている以上に狭い!体の向きを変えてお話してみましょう
まず初めに、これから私がお答えすることは、医学的な内容および、多くの高齢の方への接してきて感じてきたことの一つの解答です。さまざまなケースがあるので、一アドバイスとして受け止めていただけたらと思います。
上記のご相談のように、レジに居座られてしまうというのは、仕事のペースが乱れてしまうので確かに困りますね。これはもちろん、「寂しい」という気持ちがそうさせる事もあると思います。
一方で、高齢になると視野が狭くなるために周りが見えなくなるという事も起きるもの。どれだけ他にお客さんが待っているかという所にまで目も頭も回りにくくなってしまうのです。結果として「自分だけ」のような感覚となってしまいがちです。
そこで試してみていただきたいのが、彼女の視点を動かすという事です。まず「お会計を先にさせてください」と必要なお会計を終わらせた後に、商品を持って「一緒に」その場から動きます。
そうすることで、周りに他のお客さまがいて、待っているのだという事を認識してもらえると、その場から自然に離れてもらえるかもしれません。
逆に、彼女と向かい合って口だけで説得しようとすると、気持ちを逆撫でして怒らせてしまったり、余計に居座る原因になりがち。
本人としては「悪気なく」居座ってしまっていることが多いと理解して、口だけでなく体を動かして行動を起こしてみることをオススメします。
相談2:大騒ぎ老人
毎朝、通勤電車の中で周囲の人に何かといちゃもんを付けてはどなり散らす男性の老人がいます。
「優先席付近で携帯をいじるな」「お前のカバンが邪魔だ」などと、大声でどなり散らすのです。
そんなマナー云々より、大声で騒がれる方が周囲をハラハラさせて迷惑ですし、それでケンカが起こって電車が止まることも多々あるのです。
見ているだけでイライラや不安がとまりません
Answer:耳が悪いために自然と声が大きくなってしまう人が多い。会話は静かにゆっくりと
これは、その方の「性格が悪い」という根っこの問題も少なからずあると思います……。ただ、それだけではなく自分が「大声を上げている」ことに気づいていない人も多いのです。
『老人の取扱説明書』の中でも書いたのですが、高齢になると難聴になるために大きな声を出していることに自分で気づきにくくなります。そのため、周囲の人にとってはうるさい声になってしまいがちなのです。
まずは、大きな声をあげているから敵意が大きいと判断しない事。あくまで高齢で耳が遠いために声が大きくなってしまっているのかもと理解することで多少冷静になれます。
とはいってもイライラしたりストレスにはなってしまいますよね。会話はなるべく避けられればいいのですが、話す必要がある場合、自分は静かにゆっくりとした口調で話すべきです。
相手が大声だからと大きな声をはりあげると、高齢者の方には“キンキン”と聞こえてしまいます。
すると相手もイライラしますし、腹を立てる。高齢者側は余計に語気を強くして話してくるでしょう。しまいには、ヒートアップして喧嘩になってしまいます。
静かにゆっくりと会話して低めの声で対処すべきです。
相談3:贈り物老人
医療現場で働いているのですが、やたらと物をくれようとするおじいちゃんがいます。
職場のルールで患者さんから物をもらうことは禁止されているので断るのですが、毎日山ほどプレゼントを持ってくるのです……。
気持ちはありがたいのですが、同僚からの目もありますし、正直困っています
Answer:上司や同僚に相談して職場ぐるみの対応を!自分だけで対処するのはNG
高齢者の方の中には、コミュニケーションツールとして贈り物を使う方が少なくありません。「飴ちゃん」を渡すというのはよく知られている事ですね。
また、若い人と高齢者では感謝の表し方などの表現が違います。
例えば食事の時はお腹いっぱいで食べきれないぐらいの料理を出すのが礼儀と高齢の方は考えがちですが、若い人の場合はおいしいものを食べられるだけ食べてもらいたい。
という風に考えることが多いです。また贈り物の場合は、多くの人に渡しているときはいいですが、特定の人に渡している場合は「好意」が裏にある可能性があり注意が必要です(好意がある場合とない場合で大きく対応が変わります)。
対応策としては、院内で「贈り物禁止」の掲示をしたり、口頭注意をすることが基本です。でも、今回の相談者さんもおっしゃっている通り、なかなか聞いてくれない人も多いものです。
一つには毎回、物品をもらう事の禁止が決まっている旨、紙などを配布して周知する方法もあります。ただし効果は限定的です。
ですから上司に現状を相談・報告して病院としての対応を決めておきましょう。事態が大きくなったときに隠していたとなるとあなたが要求していたのでは? などと勘繰られてしまいます。
異性としての好意がない場合は、大きなトラブルに発展する可能性はあまり高くないですが、好意がある場合は「好意を無にされた」と自分を否定されたように感じてしまい、大きなトラブルに発展することもありますので特に注意が必要です。
以前、対応した例で言いますと上司や他職員に協力してもらい、なるべく接触を避けて、ほかの職員が対応するようにするというのが効果的な方法でした。
好意がある場合などは断る事で逆上などのリスクもあります。自分だけで解決するとトラブルが大きくなることがあるので注意しましょう。
【書籍紹介】
『老人の取扱説明書』 (SB新書/平松類)
9刷、6万部突破のベストセラー!
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